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THREE WORLD  作者: 織間リオ
第三章【戦う理由】
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17、新たな真実

 次の日、僕は普段通りに登校した。昨日もゆっくり眠ったため、頭痛はないに等しいと言っていいほどに治まっていた。学校に着くやいなや、勇が飛び込んできた。

「潤、潤! 聞いたか! 蒼い翼の噂!」

 蒼い翼という言葉に、僕は一瞬ビクついた。それってもしかして、ジャスティスのことだろうか。いや、まさか。そんなことがあるはずがない。確かに、ドラキルとの戦闘には蒼い翼を背中につけて襲ってきた。だが、それは魔界だけのことではないのか?彼はもしかしたら僕達と同じように、世界間を移動することができるというのか。

「聞いてないけど・・・・・・何? その噂?」

「いいか。よぉ――く聞けよ」

「う・・・・・・うん」

僕はつばを飲み下した。勇は机に座っている僕に向かって喋り始めた。


 一方、奈々もその噂をクラスの者から聞きつけた。蒼い翼。普通に考えれば、ドラキルとの戦闘時に現れたあの青年のことだ。だが、あれは魔界で起きたこと。こちらで起こるはずがない。

「どんな話なの? それ」

奈々はクラスの女子に聞いた。彼女達はかわるがわるその内容を話した。


 付近の高校で、なにやら騒動が起こった。原因は、そこに居座る二つの不良グループが暴れたことによるらしい。高校のグラウンドで対峙した彼らは、バットやらなにやらを武器にして、にらみ合い、そして、双方が一斉に飛び出した。殴り合い、時には血を見せるほど大きな喧嘩だった。だが、そこに一人の青年が現れた。突然現れた彼を、ほとんどのものは目もくれずに戦い続けた。だが、そんな彼は銃を喧嘩している生徒達の武器となっているバットに命中させた。そのことに気づいた彼らは、青年に初めて気がついた。お互い攻撃をやめ、彼に視線を集中させた。

「誰だよ、おめぇ」

「やめてよ・・・・・・」

「ああん!?」

彼はゆっくりと迫ってくる彼らに全く屈せず、言い続けた。

「もう、戦うことは、血を流し合うのはやめてよね・・・・・・」

「うるせぇっ!」

不良の一人が彼に殴りかかるが、彼は軽々しくかわす。そして、彼は耳に手を当て、呟いた。

「ウイングパーツ、グローブパーツ、ウイングウエポンパーツ、射出」

「分けわかんねぇこといってんじゃねぇぞこらぁっ!!」

今度は先ほどよりはるかに大人数がこちらに向かってくる。

しかし、それすらも彼は軽々しくかわして、不良達に向かって走り出した。だが、不良グループは、突如現れた乱入者を叩くという同一の目的のため、手を組んで彼に襲い掛かってきた。

 彼は常人よりも高いジャンプで彼らの頭上に来て、そのうちの一人の頭を踏み、さらに高く舞い上がった。そこへ、なにやら不思議な飛行物体が飛んできた。空高くに舞い上がった彼は、そのうちの一つを背中に取り付けた。そして、腕になにやら手袋のようなものをはめ込み、さらに、その腕に円盤型のものを持っていた。彼らはその様に驚いていた。だが、彼らがさらに驚いたのは、その背中に取り付けたものによって、空を飛んでいることだった。

「キャストレーザーパーツ、レッグレーザーパーツ、射出」

それを言い終わると、彼は不良たちへと突っ込んだ。不良たちも屈することなく、上空から襲い掛かる青年を待ち構えた。

 青年は手に持っていた円盤を振り回す。自らも共に回転しながら、不良たちの間を抜けていく。その攻撃を受けたものは、ほとんどが気絶していた。どうやら、あの円盤についている刃は、ワザと刃毀れさせてあった。

 彼は、再び上空へと舞い上がる。そして、胸と足に、なにやら砲身を取り付けた。取り付けた数十秒後、胸の砲口から光の弾丸が飛んでくる。いや、あれは弾丸ではない。まっすぐにこちらに向かってくるレーザーだ。彼らはなんとかそれを避けた。

 それに引き続いて、今度は足に取り付けてある砲身を掴んだ。そして、不良が多く居るところに向かって、各一発ずつ打ち込んだ。ほとんどの不良はそれに巻き込まれた。かなり威力を弱めてあったらしく、直撃を受けたものも、気絶で済んでいた。

 それでも残った不良達は、青年に石や持っていた武器を投げた。が、かわされたり、上昇されたりして、全く当たらない。そして、彼は呟いた。

「言っても分からないから・・・・・・」

 彼はそういうと、持っていた円盤を背中の翼に取り付ける。そして、その円盤から八つの刃が飛び出す。そして、各武器のエネルギーをチャージする。そして、各武器から、レーザーが放たれた。

「はあぁぁぁっ!!」

その攻撃の範囲は広く、全てのものが巻き込まれた。彼はその光景を僅かな間だけ見て、どこかへ飛び去っていってしまった。


「・・・・・・っていう話なんだよ」

勇がようやくその口を閉じた。長い。というか、かなり細かいところまで伝わっている。いや、そんなことはどうでもいい。問題は、話の中に出てきた青年だ。翼といい、攻撃といい、全てがあのときと一致する。僕は、とりあえず、ジャスティスのことを避けて、別の質問をした。

「それって、一体誰からの話?」

「喧嘩を見ていた教師や生徒かららしい。まぁ、生徒はほとんど女子だったらしいけどね」

勇の話・・・・・・というより、その噂が本当なら、ジャスティスは、いつどこに現れるか分からない・・・・・・神出鬼没ということになる。

 その噂を聞いた僕は一日中悩みまくった。あのとき、なぜ僕を狙ったのか。攻撃はしていない。向こうの一方的な攻撃だ。彼が僕を狙った理由、そして、各地での戦闘介入。まだ、彼については分からないことだらけだ。

 長いように感じた一日が終わった。勇と共に家路に着く。家に帰ったらロントに行くか。他のメンバーのことも気になる。

「潤さぁ、蒼い翼と会ってみたい?」

「え・・・・・・」

会ってみたいもなにも、実際に戦ったんだから答えようがない。第一、会えるとしたら大きな騒ぎを起こしたりしたときだろう。勇はそのことを分かっているのだろうか。

「勇は? 会ってみたいと思うの?」

逆に質問をして、なるべく自分が答えるまで時間を稼ぐ。勇からは、割とあっさりと答えが返ってきた。

「とんでもない! あっぶないじゃん。あんなの」

やっぱり、勇もそう思っているのか。あの青年は危険だと。会ったこともないのにここまで警戒するところを見ると、よほど強いのだと感じているのだろう。まぁ、実際強いが。自分が技術的にも、精神的にも敵わないと感じている相手だ。

 そうこうしているうちに、家まで着いた。少しほっとする。僕は歩きながら振り返り、勇に向かって手を振った。

「じゃあね、勇」

「ああ、また明日な」

僕はその一言を聞くと、扉を開け、そして閉めた。そのまま、何も言わずに階段を上り、部屋のドアに手をかける。その瞬間、僕はハッとした。母さんは、今日は遅くなると言っていた。つまり、鍵は開いていないはずだ。それなのに、鍵がかかってなかった。まさか・・・・・・泥棒とか入ったのでは・・・・・・。

 そんな根拠のない被害妄想を膨らませながらドアの前でたたずむ。なにやら足音が聞こえる。しかも、僕の部屋の中から。僕は恐怖心のあまり、その場に凍りついた。ドアが開く。鼻をまともにうち、二歩ほど後ろに下がる。

「あ、潤」

「なっ。奈々!?」

なんと、僕の部屋には奈々がいた。どうやって入ってきたんだ!?家の鍵が開いてたならそこから・・・・・・、あ、もしかして、リエイトの僕の部屋からここに・・・・・・!

「奈々、どうやってここに・・・・・・」

「ロントから大掛かりなミッションが入ったの」

僕の話を完璧にさえぎり、奈々が話す。聞く耳すら持とうとはしなかった。とりあえず、どうやって入ってきたかはおいておこう。

「それで、そのミッションっていうのは・・・・・・?」

僕は、僅かな冷や汗をかきながら聞いた。

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