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THREE WORLD  作者: 織間リオ
第二章【チーム・スレイヤー】
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11、いざ、炎王の下へ

 チーム・スレイヤーという名前を決定した僕達四人は、次の日再び集まった。今回はミッションだったため、海はちゃんと最後までいた。今回、僕らが標的――ターゲット――としたのは・・・・・・。

「今回の獲物は、岩山にナワバリを張る竜、炎王と呼ばれるドラゴレイド・キル」

その名前に、修二は驚いた。かなりの驚きの様子で、目がまん丸になっている。

「あのドラキルですか!?」

ドラゴレイド・キルは、略されてドラキルと呼ばれたり、炎王と呼ばれるようだ。そのドラキルがどの程度の強さなのかは分からないが、奈々が自信を込めていうところを見る限り、四人で戦えば勝てる相手だと思っているのだろう。もちろん、炎王というだけのこともあって報酬も高い。だが、もしかしたら、奈々は新しく入ってきたこの二人の力を、試そうとしているのかもしれない。でも、それは僕には関係のないことだ。僕は僕なりにがんばれれば、それでいい。弱くて、戦場で足を引っ張ることしかできそうもない僕は、それが一番チームのためになるのだ。

「異議はないね、海も」

奈々が海に向かって同意を求める。さすがに否定はしなかった。こんな大物は、初めてだからかもしれない。

「はい。我々の強さを合わせれば、互角には戦えるはずです」

「じ、じゃあ、十分後に、またここに来て」

僕は僅かな恐怖感をすでに抱きながらも、集合の命令をかけた。

「了解」

「了解です」

二人が答える。僕は、その返ってきた答えに思わずほっとした。僕の中には、まだ、否定されるのではという不安が渦巻いていた。こんな性格だから、何かを、誰かを率いたことは一度もない。ましてやリーダーや隊長なんていうものが僕にはたしてできるかどうか。

 でも、その不安も、目の前にいる二人の声でかき消される。僕は、チームルームのドアを開けると、武器などの準備をしに自室へと戻っていった。


 ミーティング終了から十分後、全員が、再びチームルームで顔をあわせた。僕は、背中に剣を持っている。鞘に納まっている武器は、戦いを今か今かと待ちわびているような気もする。奈々は、通常攻撃用の槍のほかに、投擲用の槍も装備していた。この間のハリウス戦から学習したのだろう。海は、腰に鞭をたらしている。茶色がかったその武器は、どこか、彼にしっくりくるような気がする。修二は腰のベルトにいくつかの銃を携えていた。ハンドガン、アサルトライフル、スナイパーライフル、サブマシンガン・・・・・・。さまざまな銃器物は、その笑顔からは感じられないほどの威圧感を感じるほどだ。銃だってどこまでも軽い構造になっているわけではない。多少の軽量化は施されているにしても、これだけの量を一度に持ち歩けば、動きに支障が出る可能性も否定はできない。だが、この様子を見れば、そんなことはないのだろう。

「それじゃあ、チーム・スレイヤー、出発!」

僕は威勢良く声を出した。

 僕らは受付でミッションの手続きを終えると、さっそく「魔界」へと移動を開始した。奈々、修二、海、そして、僕という順番でワープしていく。

 ロント魔界支部に着くと、すでに僕以外の三人はシャトルRへと向かっていく。

「あっ! ちょっとー! 置いてくなぁ~」

わざとすがるような声で三人を追いかける。ようやく追いついたころには、三人はシャトルRに乗り込もうとするところだった。

「私と潤で前座るから。海と修二は後ろね」

「りょーかーい」

修二が眠そうに声を上げる。さきのミーティングでも二、三回あくびしていた。かなり遅い時間帯に起きたのだと思えた。奈々はシャトルRに取り付けられている無線機を全員に配る。そして、無線機の電源を入れると、奈々は高らかに言い放った。

「チーム・スレイヤー、シャトルR,発進します!」

シャトルRのエンジン音が響く。ゆっくりと機体が上昇していく。そして、射出口まで上がりきると、今度は横にエンジンを起動させ、前進する。シャトルRは,勢いよくロント支部を後にした。

 そのうちに、ワープに入る。ワープになると無線は使えないらしく、奈々は無線機を耳から外した。僕もそれにつられるように外す。流れ行く星々が僕をドンドン暇にしていく。ミッション前が一番暇だ。何もすることがない。もっと正確に言えば、何もすることができない。

 ワープが終了する。目の前には、この前いったモントール星とは違う星があった。山の多そうな星だ。奈々に小声で聞いてみる。

「あの星ってなんていうんだ?」

小声で聞いた僕をまるで無視するかのように奈々が話し始める。しかも、皆に聞こえるような声で。

「あれはガンダン星。ナワバリ主張するモンスターがそこらじゅうにうろうろしている危険レベルの高い星」

奈々によれば、この星の危険度はBランクらしい。最低がE、最高でSランクらしい。さすがにSランクには、ほとんどのチームは足を運ぶことはない。中堅から経験不足なチームやペアにとっては、ここが大きな通過点となるらしい。

 そんな話をしている間に、シャトルRは大気圏に突入する。あのときのように、赤い膜が機体を包む。もちろんシャトルRは大気圏をなんなく突破できる耐熱性を持っている上に、ロントの制服はそんなものの熱さや、Gがかかることがない。つまり、快適なのだ。さらに、ミッションからシャトルRが帰ってくるたびに、メンテナンスをしてから送り出すと言う非常に安全性も高いらしい。

 大気圏を突破した。目の前には、まず海が広がる。その上をシャトルRは進んでいく。そのうち、陸が見えてくる。一番最初は浜だったが、すぐに岩山へと変貌している。シャトルRは、その浜に着陸した。そこにもテントが張られている。モントールほどスペースは広くはないが、これだけあれば十分のようだ。

 僕は、ジャトルRから降り、ガンダンの地に降り立ち、入り組んだ岩山を見上げた。


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