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QPと恋するマリオネット  作者: ましだたけし
第十一話 急ぎの客ありて心乱すべし

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急ぎの客ありて心乱すべし Bパート

「そういえば選手権、惜しかったね」


 フードコートに移動した私たち女性陣は、奥のテーブルに陣取り、戦利品を並べて喧々諤々と分配方法について盛り上がっていた。糸尾の予想通り、男性陣は蚊帳の外で事が収まるのを静観するしかない。

 流石に間が持たないと思ったか、お正月仕様の紙コップを片手にマーくんが高橋と糸尾に話を振っていた。


 今年、我が校のサッカー部は冬の選手権県大会を勝ち進み、初の全国大会へと駒を進めた。

 だが、快進撃もここまで。善戦はしたが一回戦敗退と相成った。


「全国の壁は厚かったよ」


 高橋はすっきりした顔で笑って言っていた。出し切っての敗退なので、本人も納得しているようだ。


「結局、俺は何も出来なかったよ」


 対照的に糸尾は悔しさを滲ませる。後半途中からピッチに立ったが、思うようにプレイ出来なかったみたいだ。


 女性陣の方では、ジャンケンで勝った順番で欲しいものを一点取っていく事になった。ただし、ABBA方式ならず、ABCDDCBA方式だ。サッカーPK戦の応用で、これにより多少は公平性が出るはず。ジャンケンの結果、私は三番手に決まったので、自分の番が来るまでは男性陣の話に耳を傾けていた。


「五対四だっけ? 派手な試合だったね」


「高橋がハットトリックを決めた関係で、負けたのにインタビューが来たからなあ」


「たまたまだよ」


 マーくんと糸尾の言葉に高橋が謙遜する。たまたまでハットは決められないと思うぞ?


「いやいや、洋輔は目立ってたよ。もしかしたらスカウトとか来るかもね」


「お、雅史鋭い! 実は大学とプロ下部リーグから誘いがあったんだよ」


「え、マジか高橋! そんな話聞いてないぞ」


 おいおい高橋。麗華からもそんな話は聞いてないぞ。詳しい話プリーズ!


「ちょっと、アヤちゃんの番だよ」


「……え? あ、じゃあコレ」


 QPに呼ばれてはたと気付く。いつの間にか順番が回って来ていた。話を聞き逃さないように適当に選んで男性陣の話に再度集中する。


「すまんな糸尾。別に黙ってた訳じゃないんだよ。オファーがあったのは期末試験前だったからさ」


「へえ、大学とプロか……どっちにするの?」


「大学なんて入りたい所に受験して入れば良いし、プロと言っても下部リーグだからな。雅史はどっちがいいと思う?」


 さすが、言うことが違う。好きな大学に入れる自信があるんだね。私と大違いだ。


「聞くな聞くな。僕は君の人生に責任は持てないよ」


「高橋、お前大学行く意味無いだろ。さっさとプロに行っちまえよ」


 プロか。そうなったら麗華はどうするのかな?


「何やってるの、アヤちゃんの番よ」


「えっと、コレで……」


 麗華に早く選べと催促されたので、眼の前のを適当に選ぶ。


「だよな。とりあえず話を聞いてからだな。ところで雅史は大学決めたのか?」


「親との約束もあるしね。とりあえず国立を受けるよ。それより――」


 国立か。やっぱ進学校は言うことが違うな。QPも同じ学校に行けないと嘆いていたな。


「――糸尾くんはどうするんだい?」


「俺? 大学でサッカーは続けるさ。俺程度かどこまで出来るか分からないけどな」


 まあ糸尾はそうだろうな。前にボール・プレーイング・センターバックを目指すって言ってたし。


「佐藤は大学でサッカーはやるのか?」


「ウ~ン。出来ても趣味程度だろうね」


「そっか、高橋から佐藤は最高のMFだったって聞いてたから一回試合したかったよ」


「だよな。雅史、お前も俺と一緒にプロに行かない?」


 凄い無茶振りしてるな高橋……マーくん困った顔してるじゃん。


「プッ、クスクス。次は操乃先輩の番ですよ〜」


「ハイハイ。コレで!」


 今いいところなんだから邪魔すんなよ桜。


「お、女子の方は終わったみたいだな。もういい時間だから今日は終わろうか」


 そうそう、女子の方も終わったしね。

 ……え? 終わった?


 私の目の前には趣味の悪い品物が並んでいた。……あれ?


「ゴメン。もう一回やり直してもらっていいかな?」


 見渡すと麗華と桜はホクホク顔で、QPは苦笑いで首を横に振って私の肩をポンポンと叩いた。


「ですよね〜」

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