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QPと恋するマリオネット  作者: ましだたけし
第十話 誤解✕和解✕閉会

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誤解×和解×閉会 Aパート

「久具津先輩。後はお願いしまーす」


 トンビが輪を描く空は高く、澄み渡った蒼の中をウロコ雲がまるで小魚の群体のように泳いでいる。校庭を駆け抜ける風も冷たく肌を撫で、揺れた木々から色彩豊かな葉がヒラヒラと舞い散る。本日、我が校は文化祭二日目を迎えていた。

 文化祭一日目は、在校生と招待された来賓が訪れるだけの内輪の堅苦しいイベントに終始した。そして本日、二日目は門扉を開き、一般外来を受け入れる、まさにお祭り騒ぎの文化祭になる。


 連れ立って部室を出ていく後輩ちゃん達を、小さく手を振って見送る。私は既に引退したはずの文芸部の部室で行われている展示会の受付席に座っていた。

 なんで? それは私が部活動をサボりすぎたからである。


『久具津さん。アナタ、結局年度末に書いたっきりじゃない。去年と一昨年も文化祭の展示会の手伝いすらしてないわよね?』


『他の子に悪いと思うなら、二日目の展示会受付を手伝いなさい』


 文化祭前日に、文芸部顧問の鈴木先生に職員室へと呼び出された際の有難いお言葉である。そんな訳で午前中は私が受付をする事で、後輩ちゃん達は自由に他の催しを観て回る事が出来るようになったのだ。トホホ……。


「久具津先輩、手伝ってくれて助かります」


 小柄で眼鏡をかけた、いかにも文学少女って感じの一年生。受付の隣の席に座る工藤さんが私に礼を言って控えめに笑った。


「まあ、身から出た錆って奴だから仕方ないさ。ところで何で工藤ちゃんは残ってるの?」


「友達を待っているんですよ。その間は私もお手伝いしますね」


 ええ娘や〜。同じ一年でも桜と大違いだ。そもそも、こんな文芸部の催しに来る物好きなんてほぼ居ない。話し相手になってくれるだけでも有難い。そんな訳で、受付といいつつ、暇に事欠きお喋りの花が咲く。


「え、工藤ちゃんのクラス担任って顧問の鈴木先生なの?」


「そうなんですよ。おかげで何かといい様に使われています」


 駄目じゃん。あの人何やってんだよ。

 あの人が担任とか、同情しか無いね。


「そっか、大変だね。ホームルームとかどんな感じなの?」


「入学初日のオリエンテーションの時とかインパクトありましたよ」


「え? なんか聞かない方が……」


「自己紹介で『人という字は支え合っていると言うが、実際は片方が支えて、もう一方は楽をしているとあるラノベで言っていた。だが私はあえて言おう。支えられたい! 君たちのお兄さんがもし支えてくれると言うなら紹介してください。お願いします!』ですよ。ドン引きです」


 鈴木先生……。なんて面倒臭い人なんだ。






「工藤さん、お待たせ~」


 鈴木先生を肴に盛り上がっていた所に、工藤ちゃんの待ち人が来たらしい。……あれ?


「……操乃先輩。こんな所で何やってるんですか?」


 工藤ちゃんの待ち人は春風桜だった。こんな所で悪かったね。


「見ての通り、受付だよ。桜は工藤ちゃんと仲が良いんだ」


「同中なんですよ。それより真夜先輩は居ないんですか?」


「……」


 見てのとおりだよ。QPとは夏休みの別荘の件以来、まともに会話すらしていない。同じクラスだってのに……。


「相変わらず……ですか……」


「まあ、そうだね……」


 桜にまで心配されるとは……隣の工藤ちゃんも居心地悪そうだ。簡単に言えば私は現在、QPに避けられている。

 今日も早々に教室から姿を消していた。おそらくマーくんが来ている可能性が高い。


「桜こそ、糸尾はどうした?」


「……なんか男友達に囲まれていて、声掛ける雰囲気じゃなかったです」


 ああ、廊下で騒いでたのを見たよ。”彼女居ない者同盟“とか意味不明な事を言っている男子に囲まれ苦笑いをしている糸尾を……なんか、男子の必死さがヤバかった。


「でも、後夜祭では必ずムッちゃんを捕まえて一緒に踊りますよ!」


 挑戦的に私を一瞥した桜は自信満々に笑った。

 後夜祭? ああ、たしかキャンプファイヤーを囲ってフォークダンスを踊るんだっけ? 前夜祭は無いのに後夜祭がある不思議。まぁ、どうでもいいか。

 それにしてもフォークダンスか。正直、勘弁してほしい。お手々繋いで仲良くダンスとか……。一瞬、糸尾と踊ってる姿を想像して寒気がした。だから私は満面な笑みで桜に言った。


「そっか、頑張れよ」

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