魅力パラメーターを振り忘れた最強聖女全然モテない。やっと手に入れた恋人は盲目王子。私なら盲目を治せるけど、治したらブスな私はきっとフラれる。怖くて………治せない。私は勇者じゃ無いから
私は死んだ。
死んで異世界に生まれ変わる。
初めに転生ボーナスポイントを貰った。
来世の自分能力にポイントをふる。
来世の自分は振り分けたポイントで、自由に好きな自分になれるそうだ。
ゲームのノリで、来世の自分パラメーターを決めれるそうだ。
世界。
性別。
産まれる国。
親もポイントがあれば自由に決めれる
地獄の沙汰も金次第ならぬ、来世の沙汰はボーナスポイント次第。
私が行きたい世界。
なりたい自分は………
やっぱり目指すは聖女。
魔法のある異世界に転生して。
回復魔法を極めて、国を守るの王道プレイをしてみたい。
産まれる国?
そんなの何処でもいい。
そこにはポイントを、無駄に消費したくない。
来世は修羅の国でも
試される大地産まれですらかまわない。
だってさ、私は聖女として無双するんだから。
修羅場上等。
修羅の国で試されてこそ
きっと聖女は輝くから
産まれる環境?
環境ガチャに無駄なポイントはふらない。
聖女はどんな環境からでも、生えてくる。 不遇な程輝くものだから
親?
どうでも良い。
そこにポイント消費するのは勿体無い。
私は最強聖女として羽ばたくのだ。
孤児の奴隷スタートでも文句は無い。
成り上がってみせる。
筋力?
そんなのいらない。
聖女には腕力は無用。
勇気?
不要だ。
臆病なくらいがちょうど良い。
運?
悪くても良い。
でも………少しはポイント入れとく。
そんなふうにほぼ全てのポイントを………
知力と魔力と回復魔法に特価する。
他の全てを、ためらわずに犠牲にした。
これで来世の私は聖女様
最強聖女の出来上がり、のはずだ。
全てをねじ伏せる。
最強聖女になって幸せになる。
そう、転生した以上は
『来世の私は聖女です』
モテまくって、
異世界聖女ライフを謳歌する。
と………
そう思ってた時期が私にもありました。
だけども………
転生後すぐに間違いに気がついた。
知力にポイントをたくさんふって賢い私。
しかし賢いのは来世の私。
転生前の自分のアホさに、転生したあと気がついた。
やっちゃった。
私はステータス振りに失敗してしまった。
望み通り聖女にはなれた。
生まれ育ちは最悪だったが私は聖女。
死者以外なら、どんな病も傷も癒せる最強聖女。
異世界ファンタジー世界を聖女の力で成り上がった。
予定通り順調に成長した。
今や私の評判はうなぎのぼりだ。
ほぼ全て、のぞみ通り上手くいく。
………たった1つだけ失敗した。
私は転生時、自分の魅力に無頓着だった。
だって………普通に日本でゲームをしてたら、魅力なんて関係ないもの。
魅力に初期ステ振りを、オススメするゲームなんて無い。
………ただ実際はゲームとは違う。
魅力重要。
魅力超重要。
るっきずむ無双。
私はコッチの世界で様々な功績をあげた。
なのにモテない。
前世よりも遥かに悪いルックスのせいだ。
神に愛された者は容姿が良いと言う思想。
あながち間違いじゃない。
神に愛されれば、当然容姿も良いはずだ。
まぁ私は自分のステータスを自分で決めた
ブスなのも自分で決めた。
私のブサイクは私のせいなので………
神を呪うことすらもできやしない。
過去の自分を呪うしかない。
私は回復特化の最強聖女。
それでも………私の回復魔法でも、私の顔面偏差値は治せなかった。
たまに他の転生者らしきブスを見かけた。
私と同じ失敗をした顔面残念転生者。
男はブスでも地位や名誉でモテてる。
なのに女のブスは、地位や名誉があってもモテない。
不公平だと思う。
私と同じ失敗をした女の転生者、魅力にステータスをふらなかった人達。
ブス転生者は早々に、異世界にて美少年奴隷を買ってる
飼ってる!?
あれは前世の基準では虐待だ。
でも………ここは異世界、奴隷も合法。
正直羨ましいとは思う。
真似………しようと思った。
でも私は聖女。
聖女は奴隷を所有出来ない様だ。
奴隷を所有する聖女とかあり得ないそうだ
悔しいので奴隷解放運動を異世界でやった
心ある人達に褒められた。
心無い人達に嫌われた。
つまり………
私の聖女としての名声は、更に上がった。
それでも、モテない。
なぜだ?
いや、理由はわかるよ。
魅力ゼロだから………
それでも言いたい。
なぜ私はモテない。
良い事してるのに………
理不尽だ。
解放された奴隷達は私に感謝する。
でも………モテない。
元奴隷は感謝こそするが………誰も私を口説こうとはしなかった。
そんな時に私は、とある田舎国の王子の治療を頼まれた。
王子は不治の病らしい。
王族の治療をするのは珍しく無い。
王族を治療して感謝されたり
ご褒美を貰えたりはもうなれた。
でも………やっぱりモテない。
モテないのには、まだまだなれてない。
愛が欲しい。
今回私が治療する王子は弱りきってた。
王子には意識が無く寝たきりだった。
意識も無く眠り続ける王子。
まぁ、それはともかく………
問題は眠る病弱王子の容姿にあった。
王子は私の好み、どストライク。
長い銀髪。
スラッとした病的な身体。
やつれてる。
なのに貴公子。
これは………間違いない。
『この王子には長い時間の治療が必要よ』
本気を出せば一瞬で治療出来るけれども。
今回の治療には今までに無い程、長い治療時間が必要だった。
私が飽きるまで………もとい
具体的には、王子が私に惚れるまで………
もしくはいっそ、いっしょうがい。
そうだ!
意識の無い状態をキープしたまま、私が世話を………
それもいいかも知れない
そんな邪悪な考えが頭に浮かぶ
そうだ。
治療にはくちずけも必要だ。
王道物語はキスで呪いが解けるもの。
この王子の治癒には、私のキスが必要に違いない。
私は興奮していた。
私は興奮して、意識の無い王子にイロイロやった。やりすぎた。
具体的には………聖女として王様の信頼を得た後。
他にひとけの無い王子の部屋で、意識の無い王子に治療と言う名のセクハラしました。
そのついでに、衰弱し意識の無い王子を回復させてました。
そんなある日。
勢い余って、ついうっかり回復させすぎてしまった。
『いけない。
王子が目を覚ます』
目を覚ました王子に………
私はきっとブサイクだと、ののしられる。
意識の無い人間を治療する時。
意識を取り戻した患者は毎回………
初めに目の前のブサイク聖女こと、私の容姿を見て驚く。
最悪、患者は悲鳴をあげる。
その事がどれ程、私を傷つける事か。
初めはショックだった。
だが、もうだいぶなれた。
でも………
こんな私の好み、どストライクな王子様に、ののしられる?
そう思うだけで、嫌になる。
この王子が意識不明の昏睡状態。
眠っている間、王子を独占出来ていただけに特に………もっと眠っていてほしかった
そう思った。
「う、う〜ん」
「まずい」
それでも王子は目をさまそうとしている。
『いっそ、もう一度魔法で眠らせる?』
そんな邪悪な計画をたてたが
でも………
王子は目をつぶったまま、意識を取り戻してた。
そして………
「楽になった。ありがとう」
「え………!?」
お礼!?
お礼を言われました。
『そ、そんな馬鹿な。
寝起きざまにブスな私を見て、驚かない人間はいないはずなのに』
私は内心驚いた。
自分ですら………寝起きに鏡を見ると、自分の容姿に、未だに良くビビるのに。
この王子は………
あ!?
そこで、気がついた。
銀髪王子の目が、未だ開いて無いことに。
「王子もしかして目が見えないのですか?」
「ん? この目かい。そうなんだ。生まれつき、僕は目が見えないんだ」
「そ、そうですか」
「それで………それを知らない君は誰?」
ベットに上体をおこした王子。
彼は閉じた目を、まぶたの上から、さすりながらつぶやいた。
「私は貴方を治療した聖女です」
「聖女………? そうか〜。有難う」
「!!!」
また、寝起きで『ブサな私』の方を見てるはずなのにお礼を言われた。
「聖女って凄いんだなぁ〜。こんなに体調が良いのは久しぶりだよ」
そうか〜。
私は王子を見つめながら、ぜんぜん別の事を考えてた。
私ブサイク。
王子は目が見えない。
王子は………目が見えないから、ブサイクがわからないんだ。
………
ちょっと哀しい気もするが………
でも………それより嬉しい。
そうか〜。
目の見えない人にとっては、
私はきっと理想の聖女様なんだ。
大発見だ!?
誰もが夢に思い描く聖女様。
私のルックスは、それから大きくハズレてる。
だが………しかし。
でも………目の見えない人には………
きっと私は輝いて見えてる。
私は理想の聖女に見えてる。
つまり………
私の全ての夢と希望が王子にあった。
………イケル。
コレはイケル。
この盲目銀髪王子は落とせる………かも
いや………
必ず手に入れる!
例えどんな手段を使っても!?
そためならば、悪魔に魂を売っても構わない。
時間がたった。
恋の障害は、全て聖女の力で排除する。
西に王子との交際反対する王族がいれば、聖女の力でねじ伏せた。
悪い事は………しようと思ったが、イロイロ考えてまだしてい無い。
逆だ、良い事をする。
ただ治療をしてあげた。
敵に塩を贈る。
本人が健康なら、その病気の知人を………
王族の交友関係は無限に広い。
つまり私の邪魔をする彼等。
彼等自身や、彼等の知人が怪我や病気になるたびに。私が治してあげた。
私が交際反対派関係者の怪我や病を治す。
それだけでも、私と王子の交際反対の声は小さくなる。
東に恋のライバルがいれば………
恋のライバルも同じ手で退けた。
私の味方になるのなら………
迷わず聖女の力を貸してあげた。
私には盲目の王子しか選択肢は無い。
しかし盲目の王子に恋慕する他の女性には、他にも選択肢がある。
盲目王子以外にも良い男はいる。
その良い男は盲目では無いのだ。
私にとって王子の盲目は希望。
しかし私のライバルにとっては王子の盲目は失望絶望だ。
そこにつけ込んでライバルの矛先を反らした。他にも良い男はいるよ、と。
私は聖女の力で障害をねじ伏せる。
そういう聖女を私は演じた。
私の作戦は当たり愛が募る。
盲目王子からの愛を感じる。
愛されれば優しくなれる。
王子との時間がたてばたつほど、
お互いに好きになってるのがわかる。
王子と会える1日が楽しい。
ずっと一緒にいたい。
そのうち、こう思うようになった。
王子の目を………治してあげたい。
今の私の………聖女の力なら簡単な事だ。
でも………目が治れば、きっと私は………
ブサイクだと、ののしられる。
私は最愛の人を失う。
でも………目を、治してあげたい。
好きな人を幸せにしてあげたい。
なんでもしてあげたい。
私は………愛されたいのだろうか?
それとも愛したいのだろうか?
愛されたいのならば、
目を治すべきでは無い。
今のままで十分だ。
昏睡状態の王子を死病から健康体へと治してあげた。
それだけでも………王子は喜んでいる。
満足している。
でも………彼は言う。
私に………
「ありがとう」
と………
「君から全てを貰った。救われた」
と………
彼に感謝されるたびに、その閉じた目を向けられるたびに………
私は………
本当はもっと………
目も治せるのに。
罪悪感が募る
「告白された」
私はブサイク。
私はブサイクだけども良いのかと聞くと
「盲目の自分には見た目は必要ない。君の心が綺麗な事が嬉しい」
とか言われる。
私の心は綺麗じゃない。
だって………
王子の目を治療出来るのに治療しない。
自分の為に………治療しない
こんなにも好きなのに、治療しない。
こんなにも、好きだから治療しない。
ある日………
私の横でスヤスヤ眠る王子を見て………
耐えきれなくなった
決心した。
眠りにつく王子の目を癒やそう
全ての想いを込めて
この王子様からはイロイロ貰った。
いただいた。
転生後、異性から愛されなかった私。
それが今や、私の胸は愛でいっぱいだ。
愛も、思いやりも、理想に描いた王子様。
私の王子様。
誰よりも大切。
私よりも
だから………
『王子の目を治そう』
そして………
私はこの国を立ち去る事を決めた。
お別れだ。
目から涙がボロボロこぼれる
もしも目を治した後
王子に、ブサイクだとののしられたら?
そう思うだけで、もう駄目だ。
心がズタズタになる。
もしかしたら、それでも愛してくれるかもしれない。
でも………
私には王子を試す勇気が無い。
私は聖女、勇者じゃ無い。
魅力にも勇気のステータスにもボーナスポイントをふらなかった。
王子の眼を治療すれば………その視線に耐えられそうもない。
その魅力も勇気も私は持っていない。
今まで愛をささやいてくれた最愛の王子にブサイクだとののしられる?
そんな想像するだけで………
今までの良い思い出が、悪い想い出に書き換えられるのだけは嫌だった。
だからお別れだ。
私の隣で眠る王子。
その目を治してお別れだ。
私はとても臆病だ。
だって………私は勇者じゃない。
勇気が無い。
魅力も勇気もゼロだ。
転生前にポイントをふらなかった。
私は愚かだった。
せめてその両方にすこしでもポイントをふっていれば………
目の見えるようになった王子と、私のブサイクな顔をあわせる勇気が無い。
王子と別れる勇気も無かったが………
それでも………
それを上回る思いで王子には、幸せになってほしかった。
王子の目を治してあげたかった。
王子に、綺麗な世界を見せてあげたい。
綺麗でない私を見られたくない。
その想いが勇気の無い臆病に勝る。
私の愛が臆病を上回った。
だからお別れだ。
私は泣いた。
泣いてしまった
「泣いた。しまった」
私のブサイクな顔は、涙で更にブサイクになってるはず。
眠る王子。
私はアッサリとその目を治す。
私はその足でブサイクな泣き顔のまま、王子のいる国からひっそりと離れた。
毎日、毎日
朝おきると、王子の事を思い出す。
王子は元気にしているのだろうか?
治った目で綺麗な世界を見ているのだろうか?
少しは私の事を………
思い出してくれているだろうか?
その思い出の中で、私はきれいな顔で笑っているだろうか?
私がいなくなった事。
その事を少しは………哀しんでくれてるだろうか?
私との想いでを覚えてくれてるだろうか?
良い………思い出ならば良いな。
そんな事を考えると、また泣いてしまった
違うって
私は………
「泣いた。しまった」
ある日町で………
王子の噂話を聞いた。
「あの有名な病弱王子が完全に健康体になったそうだ」
「あぁ、聞いたよ。なのに王子は乱心して、せっかく治った自分の目を自ら潰したそうな」
「誰も癒せないほど深く、自らの目を傷つけたと」
と………そんな噂話。
聞いた瞬間に体が凍った。
なんて馬鹿。
私の王子様はなんて馬鹿。
なんて馬鹿な事を………
私は一目散に駆け出した。
この世に絶対は絶対に無いけれど
絶対な事など絶対に何処にも無いけれども
それでも………
私の行先は………誰も………
誰もが絶対わかるよね!?
その日
私は勇者になった
転生時、勇気にポイントをふってない。
臆病者なのに………
勇気を持たない筈の私が、その日、勇者になった。
何も考えられず無いはずの勇気を振り絞って王子の元へと急いだ。
王子のもとへ急ぐ道中、先々で。
王子の噂で持ちきりだ。
乱心した王子。
治った自分の目を自分で潰した王子。
誰もが傷を癒やそうとしたが、まだ誰にも癒やす事ができないそうだ。
まだ………
視力を回復魔法で取り戻すのは困難だ。
私以外には無理かもしれない。
でも………目の傷をふさぐだけなら………
いずれは誰かが………
視力はともかく王子の傷はふさぐ。
その誰かが女だったらどうしよう?
あの王子の事だ。
私なんかにアッサリと口説かれたチョロい王子の事だ………
簡単に………
あの王子はチョロイのだ。
私が口説けたのだ。
私が出来たのだから、誰にでも出来るはず
急げ!?
急げ急ぐんだ!?
私はもう冷静さを失って自分の思考が何がなんだかわからない、
頭の中がグチャアグチャアで半泣きだ。
そして………いざ王子の元へと駆けつけてみると………
「僕の傷を治せるのは、君しかいないと思ってた」
「だからって」
「僕は自分の目をえぐれば、君がまた戻ってきてくれる事を知っていた。君はだれよりも優しいから」
「………」
王子に、はめられた。
この王子は案外腹黒い。
実際に私は王子の元に戻ってきたわけだし………
「君が戻れば僕の傷も治る。それもわかっていた」
「目の傷が治る事をわかってて、自傷したの?」
「違う違うそうじゃ無い」
王子は笑って否定する。
「???」
「産まれつき元々見えなった目など、どうでも良い」
「???」
「僕が治したかったのは、
君がいなくなった事でついた傷。
ポッカリ空いた僕の胸の穴のことさ。
君が戻ってきてくれて、もうスッカリ治ってしまったよ」
「!!!」
王子の、その言葉が………
転生後から私を苦しめ続けた胸の傷を
自分の醜い顔の事で、毎日悩んだ胸の心の傷も、ふさいでしまった。
王子の言葉でやっとわかった。
理解できたの。
私が治さなければいけなかったのは、私の生まれつき醜い顔では無かった………
治さなきゃいけなかったのは、私の醜い心の持ち方だったの。
その事を理解できたから………
生まれつきの悩みが晴れたから
王子へ………
私は………
晴れ晴れと………自信を持って
人生最高の笑顔で笑いかける事が出来る
だから………
私達は幸せになった。
おしまい




