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「」の物語   作者:
7/8

寒空の下 if【2-1-1】

「はぁ~…寒っ」

と手を温めながら帰っていると見知った顔があった。

麗奈れいな榊麗奈さかきれいな。こんな世界でもまだ関わりを持ってくれる人だ。


「おかえり~。そんなに寒いなら私を頼ってもよかったじゃん。耐寒魔法なんて初級寄りの魔法なんだから」と彼女は歪な形をしたバイク?のようなものに乗りながら話してきた。


そう。この世界には魔法というものが存在する。いや存在し始めた、自分が生まれる200年ほど前に某国の軍事実験により次元?(世界の境界?)なるものが壊れて、別世界から【魔力(マナ)】が入ってきた。

適正に成功した一部の人間は魔族と呼ばれ、今この世界を陰ながら支えている(支配している)人間だ。

麗奈のお祖父さんも、マナに適性がありその子孫に伝わっていったってことだ。


「いや~、やっぱり申し訳ないし立場が違うから周りの目が怖くて」


この世界では魔法を使えるのは世界総人口の4割割と多いと思うが、そのうちの2割…総人口の約1割しか、高度な魔法が使うことが出来ない。

ここまで話すと分かるだろうが、麗奈もその一人だ。


「幼馴染なんだから遠慮しなくてもいいのに…」と少し怒ったと思ったらすぐに残念そうな顔をした。


「わかったよ、次からは頼むね!」

そう言うと彼女の顔は明るくなった。


「そうしてね!また明日!」と買い物袋を持ち【魔導バイク】(マナを燃料として走るバイク。速度は良いが燃費は悪い)に乗って帰宅する彼女を見送り、寒い夜空を見ながら帰宅する…


ーーー


朝早くに起き俺は学校へ登校する。

この世界には学校の他に魔導学院ができた。

マナを持つもの適性があるものが、入る事が義務付けられている。

恥ずかしながら一応自分もこの学院に所属している。


麗奈とは一応同じクラスだが俺の魔力量はたったの200ぐらいしかないのに比べ麗奈は29万7千と高く、この学院の平均魔力量は約7千300ほど、これでどれだけ俺が劣等生なのかわかるだろう。なのに麗奈はただ『幼馴染』だからという理由で俺と仲良くしてくれている。


朝教室に着き毎日読書をするのが日課だが、劣等生には必ずと言っていいほどあるものがある。それはいじめだ。


ほぼ毎日と言っていいほど机が何処かにあったり、机の上に俺の写真と花の入った花瓶が入っていたりと、定番的ないじめや、マナというものが増えたことによる魔法によるいじめだ。

魔法によるいじめでは、席を消したり、物を何処かに転送さしたりなど…地味に迷惑なものばかりだ。


それらのいじめを回避、受け流したりして毎日読書を始めてるがマナが少ない俺にとっては魔法はあってないようなものなので、ほぼ元の力で対応しないといけない…


片付けをしている最中に扉が開き麗奈が来た。

緋向ひなた何してんの?」


「ん?あぁ掃除、誰も掃除しないから朝のうちに掃き掃除だけでも使用なって。」


嘘だ本当は机に埃と砂をいくらか入れられていたので、それを片していた。しかし麗奈に心配をかける訳には行かないので、適当に言う。


「偉いね、緋向も魔法が使えればすぐ掃除なんて終わるのに…」

と悲しそうにするが、先ほど話したように俺のマナは200しかないので、簡単な魔法しか使えないのだ。


「まぁ、マナが少ないから使えるのは物質の状態、形態変化の2種だけだし、量もあまりできないから」


「そうなんだよね〜…」

と2人で話すと7時50分をまわる。続々とクラスメイトが、クラスに来る。すると当然ながらいじめグループの4人が話しながら来る。


サブリーダーの高橋たかはしが話しかけてくる

「あ?緋向くーん!プレゼント喜んでくれた?」

プレゼントというのは先ほどのゴミのことだろう。


「あ~…うん?ありがとう」


そういうと高城たき

「喜んでくれて良かった!」 

と明らか棒読みで言葉を言う…もう少し感情込めろよ


他にも高橋と高城二人のモブである…えっと…モブAとモブBもなんか言ってくる

「一生懸命準備して良かった!」

「流石です!高城さん!高橋さん!」


そんな毎日をただ適当に過ごし…ていた。


1年後の2年生になると、麗奈から呼び出しをくらった。付き合って欲しいとのことだ、はぁ?


いくらなんでも急展開が過ぎるし、立場というものもある。彼女はそのことをわかっているのだろうか?


「えっと、ご…」

そこまで言いかけて、言葉を止めた。

俺には今2つの選択肢がかけられている。

断って女子や皆からの印象を悪くするか、OKして男子からのイジメが増えるかも。この2つだ…当然前者の選択肢は無いため、告白を受けた。その場の雰囲気もあったが、今後を考えると受け取らないと自分の身が危ない。

ほぼその場の雰囲気と今後のことでで、受けてしまったためにこの後に受ける惨劇を……していなかった。







麗奈から告白を受けて、2週間近く経とうとしていると、高城に体育館の裏に来るよう言われた。

「よぉ?ひなたくーんw」

と高城は空を飛び魔法を構えながらこちらを見おろしてくる。


「ど、ど、どうしたの」

と声があがってしまう。

すると高城は地面に降り「消音領域結界(サイレントエリア)」の魔法をかけ俺と顔面を近づけ眼の前で言ってくる。


「君は劣等種!俺は優等種!なのになのになのになのになのにな゙の゙に゙な゙の゙に゙な゙の゙に゙!どうして?どうしてどうしてどうしてどうして?麗奈は俺でなくお゙ま゙え゙を゙え゙ら゙ん゙だ?ふざけるなあ゙あ゙あ゙ぁ゙」

と目がありとあらゆる方向を見て荒ぶっている…縦横無尽に怨み妬み怒り嫉妬などの視線を込めて睨んでくる。


「わ、わからないで、で、です」

と冷や汗が止まらい…今にも魔法を撃つき満々な高城を刺激しないよう答える。


涙と怒りが併せ持つ顔をして

「そうか」と安堵したと思ったらすぐに「本当にそうか?」と疑問を抱き「そうなのか?」と怒りをむけ「そうか」と勝手に納得して「そうか」とあきれたふうに言葉を漏らす…


「もういいですか?」

と高城に゙質問をしてくるが返事は来ない… 


ずっと先程と同じように

「そうか」この一言を無限に言う。

それと同時に高城の魔力がどんどん増幅していく。

()()()()()本来魔力量は生まれつきか、長期間の努力により、自然と増えているものだ。なのに急に魔力量が増えている。こんな状態は存在してはいけないはずだし存在が許されるわけないんだ。


「そうかそうかそうかソぅ゙がソウカ゚ソうカソうかソぅ゙カ゚蔬甕駈麁鶲咼(そうかそうか)」そうかを繰り返す…それと共に発音も表情も全てがおかしくなっていく。


やがて体は痣?のようなものができ、膨らむ。統一性はなく指が膨らんだと思ったら腰が膨らみ、その次は舌が膨らみ、徐々に体中が膨らみ球のように丸くなっていく。


まずい!すぐに魔取まとり(魔法を使う犯人を取り締まる警察)に連絡をする。

「魔導学院の体育館裏で生徒が魔力暴走をおこしています!通常の魔力暴走とは異なり体の至る所が膨らみ球のようになっていきます」


「はぁ?…失礼。一応2、3人送っときますので、現地に赴いた警察官に事情を説明してください。」

と言われ切られてしまった。

バリ、バリバリ…と音が響くと遂にはバリンッ

高城が張った消音(サイレント)の結界は俺を逃げられないように物理結界も兼ねていたのか、高城?は膨らみそして結界を押し壊した。


俺は走った意識するより前に走っていた。逃げれば良いものを職員室まで、走り現状を伝える。息が切れそうになったが職員室についた。数人の先生はどうしたと聞いてきたが、息切れのせいで細かく伝えることが出来ない。クソッ少しでも運動をしとけばよかった。


なので俺は分かりやすく簡潔に。

()()()()()()()()()()

そう言うと数人の先生が即座に対一般人用の拘束具と対魔族用の拘束具をいくらか持って飛んでいった。一人の先生は俺を保健室に、もう一人の先生は放送室に飛び込み学院全体には放送をしに行った。


保健室は結界のおかげでシェルターを゙かね備えているため、そこで息を立て直してから外に出ようとのことだ。


「ここなら物理、魔法どちらの結界も張ってあるから大丈夫よ。ゆっくりでいいから息を立て直しそして逃げましょう。」と先生は言う


その言葉に安心して言葉が漏れた

「良かっ」


パリンッ!

その音と同時に視界が真っ暗になった。




「ハァ、ハァハァハァ…ッ」

傷が痛い、先生からの放送後体育館の近くにあった2年棟は崩壊した。私も巻き込まれ、左足大腿骨をたぶん骨折してしまったし、他にも擦り傷などで体中が赤に染まり、寒風に傷がさらされ痛みが増す。


液状化(カルメ)

と唱えることで瓦礫を液体にし、何とか起き上がってきたが、私の他にも巻きこまれている生徒がいる。


砂塵化(エルルメ)

瓦礫のみを頑張って対象にし、砂塵と化したが、駄目だ…逆に砂塵の量が多くなって下手に動くことができなくなった。


念動力(サイコキネシス)」で浮かせるべきだったかも…反省は一旦置いといて他の人の救出をしないと。だけどどうしようと私は悩んでいたすると 


強風(ブロウ・チカ)


!?

誰?と思っていると浮遊(ダナ)で上空に浮きながら先生が指示を出す。


「早く避難しなさい!他の先生方が信号(コン)を使って生徒を集め結界で守っているは!私は他にも生徒が確認するから、早く!」


この状況は先生方ではどうすることもできないかも…少しでも力になりたいと先生に話す。


「先生!それなら私も…手伝います!」 


「ありがとう麗奈さん!それならあなたは探査(サーチ)を使…てあなた左足どうしたの!?」

先生は私の左足に気づいてなかったみたいで、見た瞬間私に


短距離転移(ショート・テレポート)

と焦ったように唱えた


「え?」

なんで?私はまだ動けるのに…


「転移するまでに少し時間があるから簡単にいうは!

転移したらすぐ、先生に助けてくださいと言うのよ?」そう言われ私は先生の前から消えた。


シュゥゥゥ…ピュン


パッ

「先生!助けてください!」

私は拡声(エダ)を使って先生方を呼んだ。

するとすぐに先生が転移(テレポート)で現れた


「どうし…花畑の眠りの誘い(フラワースリープ)

と唱えた瞬間に私は花の香りにつつまれて眠った。









そこからの記憶がないが私はベッドの上で寝ていた。

意識が起きるとすぐに痛みが私を襲ってきた。


「痛っ」

その痛みは尋常では無かった。耐えきれずナースコールを連打してしまうぐらいに


慌てて、ナース数名と医師、先生が2人程来てくれた。

私は痛みが強く何も言えないでいると。


医療用麻痺(メディカルパラライズ)

と医師が唱えてくれたおかげで痛みはひいた。

先生は真剣な顔をしてわたしの方を見た、厳密に言うと骨折した左足を


「すまない。わたしにはこれしか手段がなかった」

といわれ布団をめくられると左足が切断されていた。


どうして?骨折してただけなのに?と思っていると先生が話してくれた。


「あの時あなたは瓦礫に巻き込まれたでしょう、それのせいで左足が潰れていたの。あなたは痛みでおかしくなって気づいてなかったかもしれないけど左足の根元近くからそこから下は…もう手遅れだったの」


「…いえ!ありがとうございます。」

私は悲しみを堪え先生に感謝した。

そういえばあの時緋向を見ていない。


「先生、緋向を観ませんでしたか?」


先生は神妙な顔つきをして言う

「彼は死んだは、即死よ。あなたは見たかもしれないけど謎の巨大な化け物に保健室ごと踏まれて即死よ。跡形も残らずね」


私は信じきれずもう一度聞く

「そうなんですね、で緋向はどこですか?」


先生は涙を抑え言う

「もう一度言うわ、彼は即死よ。もうこの世にいないは」


「え?あれ?聞き間違いかな?先生!緋向は緋色の緋に…」


「即死よ!」

と先生は声を張り上げて言う。


嘘だ…私はその悲しみからまた意識を失った。






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