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明日もおはよう。


 すると……。


「じゃあ、早速――」

「……ん?」


 するりと尻尾の方へ、イードの視線と指先が走り出す。

 さすがに()()と焦ったフェリチェは、がむしゃらになる余り、今度こそイードを突き飛ばしてしまった。


「いてて」

「なっ、何を考えているんだ、貴様ぁっ!」

「尻尾を調べるだけだよ」

「今までと違う目で見ていると言ったのは、誰だ! 信用できるか!」


 こと、イードが正直なことに関しては、フェリチェは疑いようもなく信用しているのだ。

 やおら立ち上がって、イードは細く開いたままの扉の前に立つ。


「仕方ない。先は長いし、今晩は諦めるよ。じゃあ、おやすみ。よく眠れるといいね」


 ぱたんと、呆気なく扉は閉まり、暗くなった部屋には稲光が躍る。


「……え、おい、イード……。おいっ。ちょっと待……待ってぇぇえ!」


 やはり何だかんだで、嵐の中にひとりぼっちは恐ろしくて追い縋った。


「こういう時は、嵐が行き過ぎるかフェリチェが眠るまで、手でも握って添い寝してくれるものではないのか!」

「えええ、ちょっと無理な相談だなあ」


 お互いに体だけは大人だし――と、フェリチェに意味が伝わるよう、イードはアンシア語で付け加える。


「それでもいいなら……そっちに行くけど?」

「よ、よくない! そ、それは、父様に認めてもらってからっ……だ、な」


 真っ赤な顔でしどろもどろのフェリチェを、イードは手招く仕草で、灯りのもとへ誘った。


「おいで。お茶でも飲みながら、起きていよう。それで朝になったら、チェリの新しい部屋を返しに行こうね。家主さんには、俺も一緒に頭を下げるから」

「朝になったら……」


 離れるはずだった。だが朝になっても、これからも変わらず一緒にいられる。

 こそばゆいが、心地よい胸の高鳴りに背中を押されて、フェリチェはイードの手を取った。







✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼


次回、最終章。

そしてエピローグで完結です



✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼

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