始まり
やっと残業から解放された...。
私は島崎 来華26歳の会社員だ。元々いた会社の空気感に耐えきれず転職したものの最近では珍しいブラック企業に勤めていた。
今は深夜の2時くらい。
「帰ったら、シャワー浴びよ。」
静まりかえった家に帰っても何も得られないけど、生きていくにはそうするしかない。
「あ、今日もまた怪物が暴れてたんだ。」
怪物は10年前に現れた謎の生命体で建物を壊したり人を襲い食べたりするらしい。
「まあ、《ウィクトーリア》がいる限り大丈夫か。」ウィクトーリアとは、怪物に対抗する少女部隊のこと。最初出てきたときは子供になにさせているんだと批判されていたけど、今は実力や功績から人気莫大なんだよな。私も一時期目指してたっけ。
「でも募集とかの広告見たことないしどうなってるんだろ。」
スカウトとか?いや、それなら噂が広まってそうだけど。年々増えてゆくから何か入る方法があるんだろうけど...。
「26のおばさんには無理か~。」
独り言が弾む夜、こんな日には必ずいやなことが起きる。そう、今のように。
バチバチッ 「あガッ」
「ちょうどよい人材を発見いたしました。人脳移植計画の被検体として連れ帰ります。」
は?なに、わたしこんなところで。
わ
た
し
「ん?」
何してたんだっけ、確か夜道で襲われて...
「ここどこ?」
気づいたら?よくわからない何もない空間に?閉じ込められて?ってふざけてんのか!?そもそも誘拐じゃん!!警察に!!
「やあ、起きたかい?」
は?誰?
「初めまして、私はここの研究員でね。君を本部まで連れていく仕事を任されたんだ。」
えー、誰だよ。てか本部?なんの...
「おや?気づいていないんですか見た目の変化に。」
見た目?なんで、いつもどおりの地味な...
「あれ?」
いつもの焦げ茶色の髪の毛から変わって赤みがかったオレンジの髪、しかも段がついてて下の髪だけ長い。
「まさか目も、」
「鏡ならあそこに」
え、まじか目の色が緑に...というか体格も変わってる!?こんなに胸な...な...ツルツルに...
「どうなってるの...?」