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その他

ジャッカン


 わたしの名前は、Aです。性別年齢肌の色は不明です。余計な印象を与えないために配慮しました。また、この先、グロテスクな描写がないことを明記します。特に叙述トリック的な意図もないことを明記します。どんでん返しがあることを期待して、余計な負荷を与えないためです。

 

 Aは、朝のご飯を作りました。スタッフがいないので、一人できちんとたいらげました。朝ごはんの内容は、食生活というプライバシーなので伏せることにします。宗教的・信条的な理由で食習慣が余計な印象を与えないように注意しました。


 ドアを開けました。

 外は適温です。温度の数値が地理的な場所を特定することを配慮しています。

 ドアを開けるという表現が、ドアのない居住地の人を排除する可能性を考慮すると、あまり適切でない可能性について考えてもいいですが、さすがに余計だと判断します。


 歩き出しました。

 歩くという動作が、赤ちゃんやお年寄りや足の不自由な方に、不快感を与えることがあるかもしれませんが、日常的に必要な動作であるので、我慢していただきたいです。

 


 と、まぁ、冗談を止めるとして、表現を表現で覆い尽くすことは文字が肥大化していくーーただし、例外、譲歩なのですが。

 わたしの名前は合田です。日本人です。純血なのかどうか、家系をどこまで遡れば可能なのか判断に苦しみますが、ナチス的なドイツ人とはゲルマン人とはアーリア人種とは、と定義されているわけでもないし、純・本当の・本物という限定に、特に意味も感じないので、判断不可能で、判断停止とフッサール流に決めておきます。


 合田青年、ああ、男性です。普通に男性です。異性愛者で肉体も男性です。

 小説というフィクションを綴るので、実在の団体、国などとは一切関係がないことを銘打っておきます。日本という架空の国です。ナチスという何かがあった世界線上、つまりは一応、現実にそくする程度の現実感です。リアリティに、少し配慮して、ファンタジーなことは一つぐらいでがまんしようという態度です。ファンタジーとリアルの境界も難しく、何をリアルとするかに多様性が開かれていることとゾンジマスが、共通見解を一致することの意味もあまりないので、客観世界と主観世界の判断不可能な点を哲学的に論じるのも面倒なので、リアルとはリアルであると、ファンタジーとはファンタジーである、トートロジーでお茶を濁すことにします。


 さてと、合田青年の話だった。Aと同一人物です、もちろん。

 小説というものには、キマリがあって、ないに等しいキマリなので、無視するのが芸術家なのですが、少しだけストーリーというものを描いておいた方がいいかと思っている。


 つまりは、アイダ青年は、何か問題を抱えていて、それを解決する、という程度の山あり谷ありを描写するということだ。

 しかし、現実的な世界で、どういう問題を想定すべきか。

 恋愛だったら、好きな子にアタック、さぁどうなる。

 成功か失敗か、失敗もまた一つのストーリーだ。

 ファンタジーならば、突如使える3つの願い、それを使って以下略とか、変な生き物が現れて魔法少女に以下略、以下略。

 ヒューマンドラマならば、万引き問題や消える給食費、不良との乱闘、家庭問題、ざっとざっとザッと並べる。

 でも、まぁ、なんでもいいんだ。遅刻しそうで、どうにかしようでも、海に飛び込んで銀河でも。


 

 合田は、道を歩いていた。角が直角で先が見えない道路だった。T字路、正確には丁字路、そこから食パンを抱えた少女がフランスパンを武装して、合田に殴りかかってきた。

 合田は、それを口で受け止めて、朝食に炭水化物を追加した。鮮やかな綺麗な歯並びだった。

 どこから、いったい描写されているのか分からないけれど、きっとドローンはどこにでも飛んでいる。口の中からバキっと演出するのもいいのだろう。食道や胃がフランスパンを抱え込んだ。

 少女は、そのままフランスパンを合田の口に追加投入して、抱えた食パンを食べ始めた。白いフワッとした生地がフランスパンの固さと対照的だった。対象、対称、と漢字問題を思い出すぐらい。


 チョンマゲを整えて、合田は、失敬した。

 失敬、なんて複雑な日本語なんだ。

 

 と、アイダ青年の意味の分からない文章を書いても、何が何だか、分からなくなってしまうんだ。悲しいことに。

 アイダくんは、作者の横暴に引っ張りダコで、朝令暮改レベルを通り越して、一行すぎると爆発する何かを解体する処理班のように、パノラマがズタズタに千切れた世界で、秩序を再構築する主体になれそうで、全くなれない主体に強制的になってしまう。

 文字の奴隷は悲しく、一人、描写された異空間で、佇むばかり。



 だから、合田くんは、結局、一人で一人称で語ってしまおうと決意してしまうのかも。

 ざっくりと、舞台裏の人間を処分して、文字語る語り手として、自己を世界の中心であると悟りを開き、天上天下唯我独尊と、世界内存在を具現化して、独我論的自己を達成するのだ。

 自己の完成とは、世界内秩序の妄想を完全体にするということだ。世界はこうあるべき、と。

 哲学風味の無意味な文章は、退屈しのぎにもならないけど、きっと人を睡魔に誘うことぐらいはできるのかも知れない。アルファ波は理解不能なものが増えれば増えていき、ベータ波がシータをガンマする。


 30歳のアイダには、将来を誓い合ったフィアンセがいた。

 相手は、小学生3年生だった。

 

 と、問題提起をして、底からの一悶着の方が、解決というルートがサッパリしているだろう。


 ストーリーは、どん底から始めるお約束。

 追放からの切り返し、返す刀で、ざまぁ。復讐という甘美なリンチ。ネット社会の正義マン。

 我、正義なり、とは主人公属性。

 世界では、主人公とは自分自身のこととなる。


 コンロに書き込んだ絵が、あまりにもラストの一行にふさわしいものだったから、サイクロンが来るまで、弱火で、警報を待っていたんだ。

 と、日本語能力レベル1も取得していないような文が、書けるということは、スキルレベル0なのか、それともスキルレベル1の手前なのか。

 階段上、差分的な、自然数上のスキルという概念が連続的だったりすると、現実は流動的で、万物は流動する、となるのか、でも最終的には、物質ミクロがあって、世界は点のようなものなのか。

 自己と世界の隔たりは、どこにあるのか。明確な境界があるのか。


 AIはカオスを作れるのか。

 カオスといえでも、人間の書く文章は、ある程度の秩序があるようにも思える。それが人間の脳にあるのか、指にあるのか、デバイスにあるのか。キーボード上の押しやすさ。


 根本的に、今、あいだ青年は何をしているのか。

 

「僕は合田です」

「合田は、学校に行こうとしています」

「合田は30歳ではありません」


 で、小説上のピグマリオンとは、アイダ青年のことか、アイダ青年のストーリーのことか。


 人形的な登場人物は何もしないことで愛されるということか。

 裏切られない、ということが芸術の中にはあって。

 芸術は、結局、あらゆるカオスを受け入れるようにできている。


 

 作品中の人物が実体化して、登場人物と会話が可能なレベルまで意識を沈めていくとする。しかも、いまだに登場人物は自己存在が不明確であるように思えるのに。

 キャラクターが生成される粘土に向かって、会話するということになりかねない。

 自己が不明確なのに、会話が可能であるーーあらゆる人間はその生成過程において、そういう生成過程である。

 

 思春期の脳にダイレクトにダメージを与えていき、一部は刺激され発火し、一部は死滅していく。形は、その存在を、ゆるやかに形成する。

 

 合田は、いずれ、自己を確立した後に、確立する前の、すべての事象をまとめ上げて整理する。

 歴史の過程のように。区切りをつけていく。

 原因と結果を判断することが不得手な人類は、簡単に結果の原因を見間違う。そこに、ストーリーの無限の扉がある。

 人は、雷という現象の原因を、多く作りすぎたぐらいだ。

 

 ストーリーという時間経過するものは、原因と結果の錯乱のなか。あらゆるストーリーが可能なところにはあらゆる解釈が可能と結論づけるのは、その解釈の錯乱がストーリーという名を撃たれると、誤字っておこう。







「全く、鍛錬が好きね」


「はい。お姉様。僕、もっと強くなりたいんです」


 嘘だ。 

 本当は、スカートで剣を振るった時に、無防備にも見える白い布に釘付けでした。

 そのために、毎日、毎日、血の滲むように、剣の稽古を受けました。

 卑怯だよ。

 思春期の純情を弄びように、剣の稽古の時だけ、スカートなんて。どこの需要を満たそうと。


「うーん、それにしても剣の腕が上がらないわよね」


 いえ、上がっていますよ。

 でも、これぐらいの角度で受けるのが一番最適解なんで。

 見えそうで見えないようで、実はギリギリ見えているぐらいです。


 あれ、おかしい。

 完璧に受けたのに、スカートの奥の院がお隠れになっている。


「え、これ、キュロット。スカートじゃなくて」


「お姉様。僕は絶望しました。もう剣の道は諦めます」


 三日三晩、僕は天岩戸にこもって、さめざめと泣きはらしました。その間に、アメノムラクモノツルギが出来ました。

 嘘です。


 僕は一人、庭でいじけていた。


「まぁ、最近はパンツにも飽きてきました。姉のパンツなんて、僕には、もう昇華不良にもならない。だいたい、色気がない。もっとレースとフリルがないとダメでしょう。せめて縞パンにしてくださいよ」


「弟くんが、壊れた!?」


 あ、やべ、聴かれた。


「お姉ちゃんのパンツが、いけなかったの。そんなにっ!?」


「いえ、我が家の家宝です。問題ないです」


 さて、仕方ない。

 僕の絶技。服だけを切り落とすという剣技を見せてあげよう。

 相手を傷つけずに無力化するための技です。

 決して、下心はない。やましい気持ちもゼロに等しい。善人がする良い子は真似しないで剣技。


「お、お姉ちゃんと下着買いに行こうね」


「おっと、剣が滑った」


 スパリっと僕は、姉の胸部を撫でるように切った。

 もちろん、貧乳な姉には当たらなかった。当てなかった。

 今から、姉とランジェリーだから。ランジェリーランデブー。




「弟くん、にあーう」


 姉に女性モノ下着を着させれた件について。

 なぜだ、当然、姉が着用するはずなのに。


「え、パンツが好きなんでしょ」


「僕は履かれているのを見たいんです」


「じゃあ、マネキンも買ってこうか」


「姉さんは履かないの」


「パンツは気が散るみたいだから、稽古の間は履かないことにするね」

 

 さすがにノーパンはヤバいよ。ちゃんと履いてください。

 僕の剣の稽古はそれより重要度が低いと思うよ。







 ガッチャンという大きな音と首に当たる冷たい感触で目が覚めた。


「ごめんなさい、首に爆弾をつけちゃった」


 眠い……。

 首に、なんだって……。

 手を伸ばして、首の金属っぽいものに触れた。


「って、なんだこれ」


 俺の眠気がサイドテーブルへと飛んでいった。そんなテーブルないんだけどさ。


「こういうの好きなんでしょ」


 朝の爽やかな笑顔を貼り付けた少女。

 デスゲームは脱出ゲームみたいに、体験イベントは不可能なんだよ。

 笑顔の幼馴染は、ニコニコだ。重複表現したくなるほど、頭痛が痛い。


「大丈夫、わたしが面倒見てあげる」


 今は、そんな生活上の心配はしていない。だいたい首に変な金属をつけられたぐらいで介護はいらないんだよ。

 問題はねーー。


「ちなみに、これはどうすれば爆発するのかな」


「わたしから100m離れたら爆発するよ」


「どうすれば、解除できるかな」


「この用紙にサインするだけ」


 なるほどなるほどなるほど。

 人生詰んだ。我、十有五にして、人生に詰む。


 しかし、デスゲームとはデスゲームを回避するゲームなのだ。デスゲームの正規ルートとは、みんなで生還しようなのだ。それが主人公というもの。まぁ、ヒロインにその役を渡して好き放題する主人公もいるが。

 あー、一人デスゲーム。それなんて棺桶脱出ゲームですか。


 ガチャリ2(ツー)

 

「お兄ちゃん、さっさと起きなよーーーー、くるっと回ってターン、わたしは見てない」


 妹のスカートが前後変わった。上半身は逃げる構え。

 せめて静観してくれ。見ないふりじゃなくて。お兄ちゃん、人生の大ピンチを首で背負ってるよ。重厚感あるよ、四十肩まっしぐらだよ。世界はよりコンパクトに進化しているはずなのに。ひと昔前には考えられないほど。


「妹よ、兄の首の物を説明してくれ」


 もう一回スカートひらりと、回ってくれた。やはり持つべきは血を分つ妹。


「爆弾」


 シンプルだった。もっと正確な情報が欲しいのに。

 なかなかに重たい首輪なんだけど。今時、もっとうっすいチョーカーみたいな爆弾首輪があるだろうに。人を殺すのに、デカい爆弾はいらないよ。エコが大事。火薬がもったいない。


「妹よ、この用紙にサインしてくれ、そうすればハズレるらしいから」


 誰のサインか指定しない落ち度。これでクリアだ、デスゲーム。


「お兄ちゃん、実は、突き指をして文字が書けないんだ」


 小指を立てて、何かほざいているとうちの妹が。

 そしてーー。

 そこ、妹の隣で何を囁いている。やめろ、甘言に惑わされるな、そいつはお姉ちゃんにしちゃいけないタイプの人間だ。

 

 



 学校に着くと、学校はテロリストに占拠されていた、、、、ら良かったのに。

 俺だけ首輪が目立つ件について。人類が俺のファッションについて来れてない。成功者はタイミングが大事、時代の先を行き過ぎるとダメだな。時代より少し先んじる程度が、サクセスの秘訣。IQも一般より10-20高いぐらいがモテるのだ。俺みたいに、IQが凌駕していると、もはや何を言っているのか分からない人間判定なのだ。


「ちょっと、帰りたい」


「帰り道で爆発するよ」


 爆弾って比喩だよね。実際は、ピリッと静電気が流れるようなミルグラムの実験だよね。大丈夫、俺、従う、だから外せ。自発的隷従という奴隷の鏡のようなムーブをするから。どこでも舐め回しますよ。自由だと思い込んでいる奴隷やりますよ。自ら進んで従っているんですぅ、やりますよ。


「あ、これも付けとこー」


 ガッチャンの二乗。

 腕輪が追加されました。面従腹背がバレたか。最後は足に鉄球型爆弾でもつけられるですか。念入りですね、殺意が強い。もう二度とリア充爆発しろ、とか言わないからクラスのみんな助けてほしい。雁字搦めだよ、文字通り。ん、雁字搦めってどういう意味だっけ。まぁ、よい。


 という夢を見たんだ。

 という展開だったらいいのに。






えっと、時間ないですから」


「そう言わずにさ、一緒にーー」


 よし、異世界から帰ってきた。大変だった。勇者として、6年間の戦い、魔王討伐、もう、とりあえず、休みたい。異世界は個人技に頼りすぎ、戦争は集団でやれ。


「は、離してくれませんか」


 俺、女子の手首を掴んだままだった。

 パッと離した。

 俺、ナンパ中だったよ、そういえば。


「ごめんな、時間を取らせた」


 さて、ナンパなんてやめよう。

 俺は、もう、そんなに若くはないからな。異世界で時間を過ごしたせいで。

 ナンパされた女子はチラチラと、おかしな男を見るように俺を見たあと、人ごみにまぎれていった。



 帰ってきたら、まずはメシだ。日本食が恋しいネタは、異世界転生転移でも何度も擦られてきたが、それでも如何ともしがたいのが、食文化。慣れん。言語翻訳で言語の壁越えるのだから、味覚チートで味覚翻訳でもして欲しい。

 ファストフード店で、とにかくハンバーガーを買いまくった。

 え、日本食じゃないって?細かいことは気にすんな。

 異世界から見たら、欧風の文明開花の味わいも、日本食のうち。


 25個のハンバーガータワー。

 ははっ、高校生の夢ってやつさ。ハンバーガーを買えるだけ買ってみるという。

 それにしても、金貨ぐらい持ち帰りたかった。魔王討伐の報酬金ーーああ、本当だったら、最後に有り金はたいて贅沢三昧したかったのに、いきなり転送されちまった、神様のバカがよう。



「あんた、何、してんの」


 ムシャムシャと、漫画の一コマのようにハンバーガーのドカ食いをしていたら、金髪の少女が、前の席に座ってきた。

 別に、外国人というわけではない。当たり前だが、ただの髪染め。『美』なんてつけなくてすむ少女。チャラついてるだけで。


「えっと……佐々木……」

「ちょっと、名前出てこないの。ボケた。若年性のボケか」

「アンジュ」

「忘れるなよー、一個もーらいっ」


 アンジュはそう言って、許可も得ずに、ハンバーガーの包装をといて、パクついた。

 

「ふえで、ひぇんで、こんあに、ハンバーガー、んんっ、ばっか頼んでるの」


 食いながら喋るなよ。


「故郷の味が恋しくてな」

「ああ、テキサスだっけ」

「俺は、テキサスで生まれてもないし育ってもない」

「あれ、そうだっけ。ナイロビかフロリダあたりだった?」


 ボケに付き合う気はない。そしてナイロビはアメリカの州ではない。俺は日本人だよ、完全に。ちょっと異世界育ちが入ったけど。


「てか、なんで俺がここにいることがわかったんだ」

「あんたが悩んでそうだから、探したのよ。彼女なんていないんでしょ」

「は?なんの話だよ」

「彼女連れてくるっていったじゃん」


 ダメだ、6年前のこととか覚えてねーよ。とにかく、いちいち見栄をはる必要もない。もう思春期のプライドなんてないし。童貞と言われても笑ってスルーできる。


「ごめんな、彼女はいない。フリーだ」

「そーだよねー。あんたに彼女とか地球がひっくりかえってもありえないし」

「異世界行っても無理だな」

「そーそー、って自虐。悲しくならない。自虐系ウジウジとか、ハンバーガーに似合わないよ。チーズ牛丼にしたら」


 ああ、懐かしい。罵倒ツンツンに、そこまで腹が立たない。それに人間お腹が膨れると、あとはどうでもよくなるなぁ。

 さて、アンジュとのバカ話をしているのもいいけど、異世界の能力がここでも使えるか確認しないと。


「ちょっと模擬戦しないか」

「腹ごなし?いいよ、やったげる。めずらしーし。吐かないでね」

「誰が吐くか」


 魔力ーーここの世界とは全く違う体系だったが。特殊魔法使いとして、影操作の適正があった。俺は、この力で、魔法連盟の序列をのぼってやるのぜ。異世界チート帰りヴァンザイさん。



 うちの庭。広々と殺風景。

 木製和風の壁に囲まれて、ただ砂の上。

 

「武装合金《鋼》」


 アンジュの木刀が鉄の色に変わる。


「さて、稽古といきますか」

「あんた、使わないの。弱々ブレード」

「使わないさ。武装合金《影纏い》」

「は?なにそれ、黒色?」


 木刀は影の色染まった。

 全く金属適正がなくて、グレてたけど、今は、影を硬質化できるようになった。


「来ないなら、こっちから行くぜ」


 瞬殺だ、お前程度、こっちはすでにチート力で上回っているんだよ。

 バンッ、と音が破裂して、俺の木刀が折れていた。


「なんだ、なまくらじゃんか」


 おい、なぜ硬くなってない。

 異世界と影の質が違うとか、おいおい、ゼロからスタートとか。


「《影縛り》」


 ちょっとどうなっているのか、技を試そう。

 まさか全部ーー。


「うわぁ、気持ち悪っ!?ヌルッとしてる」


 俺の影から伸びた無数の手がアンジュに張り付いて動きを封じようとするが、ペランペランで、全く拘束できない。

 柔らかい、この世界の影、柔らかいんだが!!

 ぶちぶちと鋼の剣で切り裂かれていく。


「ええいっ、仕方ない。使ってやろう。弱弱ブレードを」


 新しい木刀をすかさず、取りいく。


「いや、使ってもね」

  

 呆れるな、そこ。


「武装合金《日光》」


 ふっふっふ、光り輝きその剣は、何もかもを切り裂く素晴らしい剣に見える。実際は、何の意味もなかったけど。


「眩しいだけの剣ね」


「やっぱ、意味ねー」


 異世界に帰りたーい。

 ごめん、もう普通に魔法使います。この世界では、オーバーマジックだけど。影も無理やり硬質化してやる。


「影纏」


「ぶっはっ!全身黒いんだけど。何、犯人。某アニメの犯人なの」


「俺は本気だぜ」


「武装合金《鋼・全身》ーーはい、どうぞ。一応、わたしも全身武装してあげる。模擬戦なのに疲れるー」


「漆黒の闇に沈めてやる」


「ぶっはっ!!やめて、わたしを笑い殺す、ふっふっ、つもり、だめ、なんで、そんな厨二なの」


 異世界でカッコつけたからだ。

 隙ありと、俺は、隙だらけで笑っているアンジュを一刀する。

 鋼の鎧にぶつかり、ザクリと切れるのを感じ、すぐに引っ込めた。


「あ、これは、ダメだ。殺傷率が高すぎる」


「え、これ、切れてる。わたしの鋼が……」


「ちょっと待ってくれ。調整する」


「え、、、う、、ん」


 おいおい、ダメだろう、もう少しいい具合の硬さにしないと。

 ああ、どうすればーー。


「隙あり、と」


 ズガンッ。


「いってっっっ!おい、卑怯者」


「おお、硬い。よかったね。これで、ちょっとは戦えるようになるんじゃない」


「俺の評価低っ」


「うーん、だって、強度調整もできないとか、くすっ、小学生」


 俺をバカにすることには余念がないようだ。






 言葉の先にある槍が その想いが


 溢れて行くから どこまでも浅く広く


 目の前に浮かぶ 言葉の 流れは


 一つのあらすじ 一つの水面に


 言葉が よじれて 巻き返す 物事

 

 繰り返し 繰り返し 何も 起きないと


 覚えていること 話せること とは


 言語の境目ばかり 伝わらないばかり

 

 夢を駆け抜けて 束縛のない道


 先ほそりながら ただ その途上へ


 運命の錯乱 気持ちの芽生えも


 夜の微かな匂いも


 消えていくもの






 ウ・ジーは、空のカルマを見つめていた。嫌い。

 集まったカルマは、ジュディアの街を完全に覆い尽くしていた。ヘリエッタバルマのラッサー機体が空中で回転しながら爆散していく。

 ウは、エリギュラを鳴らして、バルマが現在駆動に入る。大臀部のショートユニットが剥がれて、アストロン15の冷却システムが起動。衝撃を吸収しながら、単機でエリギュラバルマが打ち出される。

 

 近代都市のまるで使徒のレナードが建てたジュッテンベルーのようなビル群が、開かれたザクロの実のように崩壊していく。


「ハリウテから右に、セイライ」


 ペール金属で加工された弾丸がセイライを砕く。セイライのメルトカンデスを貫通して、尻尾のアルマル器官も粉砕。エイのようなセイライが、空の底に沈んでいく。

 ギリア国の大使館に衝突して、セイライの動きは止まった。


「アスダル、ケインザブも来てるぞ」


 グリッドサイトを動かして、エリギュラは飛行状態を斜めに旋回していく。傾いていく機体を調整して、魚群のようなカルマ達に、ラッセル・タウ弾を打ち込んだ。

 衝突後、すぐに炸裂して、燃えるカルマの残骸が落ちていく。




「ウ、おかえり」


「アスラン、まだだよ。もう一度出撃する」


「もう空は綺麗だよ」


「コミットフルだ。空の色と同色に近い時間帯なだけだ。知ってるだろう」


 シュールセメントを積んでいた大きな缶の上に座って、マキナ社のエポカシハリットのタバコを吸う。残留するケムリがない新式タバコだ。痛覚を麻痺させる効果もある。

 

「アリウッドやシンパシーは?」


「死んだろうな。空の底だ」


「明日は我が身」


「カリウズも知っているさ」


 全天的なカプセル上のカリウーマグラは、地球の衛星軌道を回っている。アッシュ材のキンザール加工技術の巨大な代物だ。

 

「ヨルムット飛翔体が、明日の朝には回収にくるみたい」


「それはメルザブの爺さんに感謝だな」


 カルマが空を覆っている。

 セット・アシュラーテ前のヴァルギッデだ。

 アイザル色のメルマートが、ひどく景色をぼやけさせる。


「イエーセンに、何機か落ちてるわね」


「あっちもあっちでやってるんだろう」


「火星から飛ばしているのかしら」


「さぁな、案外、もっと外。プリスペンぐらいかもな。よし、そろそろもう一回おろしてくれ。ケーセンかドロイセンマゼダぐらいで」


 エリギュラバルマが、カルマに落ちていく。


 シュクリュー

 ラッシュドゥーン

 メリカル

 ボルトビレー

 シュタットベルトライン

 

 バルマが続々と飛んでいく。バーザムドアを越えて、安定的なスプラッシュウィルドに、コルセンデムラグト。ゼルヒアをコンサスに。シュリードウィルド。


「カルマ・アーマルド撃墜」


 オジマ調のカイザク音が鳴り響く。アッタルトの効いたメルフィンが心地いい。オブゾーラディチッタの連続衝突音のようだ。

 頭蓋骨がパルマフイートされたような気がする。


 アズナイッド自由装填機構に次のエズラ法式ナイガ弾がセットされる音。

 その音が、鳴った瞬間に、カルマへとスリーラゼルクで撃ち抜く。子供の頃やったメギウズ・ゼルゴルを思い出す。


 ピューシーなギッデがラセルコイン23区に落ちていった。ヘタクソなメーゼルだからな。

 ボンデムニウム77階に不時着したようだ。カルマの束を連れて。闇の底に。


 ミィフィーのヴェルゼダを掴み、モルフッドを全開にした。もうそろそろそろ帰還だ。ワンジェスパじゃなくて、ちゃんとキリングデッドブランダ。


「カルマ・ガーフィッド、撃破」


 ほんと、エズバフィートは地獄の一丁目だ。





君を抱きしめて いつ間にか


分からないばかり 答え探し


何もない場所で


喜びはひとつもないと


今を生きる それだけのこと


何一つ 分からないまま


求めたものが何なのか


今さら どうでもいいこと


どこに行けば 何かが変わる


分からない ただ 進むだけ


いつになれば


終わりが来るのか


待ってるだけで 時は進んで


終わる時が 静かになるのか


静かになれば 終わる時なのか


今だ 何も 分からないまま


土を踏んで あるいてきただけ


喜びの一つもない場所で


何を探し 歩いてるのか


凍える時も 暑き日々も


何もかもが すぎ去ったものだ


いつの日にか 終わる時が くると信じ


日々を 費やす


何もかもが 儚く消えて 灰色になり


終わる時が来る


全てが 記憶の中で 未来は 旅立ちの先


決して消えぬ 痛みだけが いつもそばに


いてくれたもの


誰一人 いない場所でも 痛み一つ


それだけを抱く


言葉なんて 意味のないもの


消えては結び また消えていく 


壊れぬものが 肉体の痛み


終われる時も それだけを抱く



 それにしても、ところでーー、正気というのはどういうライン上に置かれているのだろう。

 認知と忘却。料理や買い物が可能という段階から、ストーリーを理解するという段階。

 2時間映画がぼんやりとしてくる。セリフを覚えてられない。

 しかし正気らしきものを、保っていることが、騙し騙し動かす肉体のようなもの。精神も自己欺瞞しながら、ざっと背負ってひこずって。

 文体のもつれ、抽象絵画の混沌。


 被害者特権というか近代以後の被害の過剰な主張というか、被害者側に立ちたがる欲。いつまで支援をするのかポストコロニアル。

 終わりない負債というメリット感。

 そもそも近代以前好き放題やってきた国々で、どこがそれを弁済しているのか、力による現状変更以外に何かあったのだろうか。

 発展の遅れた国を進歩させようと努力することをしようとすることはかなり異様なことで歪に見える。歴史は滅ぼす方向に偏っているのに。

 植民地支配も三枚舌外交も、とっくの昔に思えるのに。それ以前も歴史はぐちゃぐちゃなのに。

 被害者ポジティブの獲得の上手さが生きる賢明さ。

 迫害されたという過去の栄光。古傷は、今の加害を正当化する。

 

 どう考えてもクズな主人公も、被害者の一面を狡猾に持ち出す。被害者の物語。

 ストーリーは被害者の物語であり、失敗と成功、挫折と苦難と乗り越え。

 原因のすり替え。今の現象を100年前の出来事で説明するような証明不可能な大きな説明。

 つまりは、歴史・構造という魔法の言葉。

 行為というものを外れていくこと。確認不可能なことで被害者であること。内面心理の描写は、自ら被害者へと導く。

 言葉という口実を発見すること。

 フレームの枠。


 

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