運命の出会い。
もうちょっと、あともうちょっとでとどく。もう、誰だよ、あたしの本、片付けたの。この本は、あたしの本だってば。そう思いながら、本に手を伸ばしていた。
やった、とどいた。あっ、あれ、落ちてく?もう少しで、床に落ちる?
あたしは、ギュッと目をつぶった。落ちるよ~っ―――。
あれ、おかしいな、あたし、どうなったの?
そっと目を開けてみると、あたしは、誰かの腕の中にいた。
誰?
あたしを抱いていた人の顔をのぞきこんでみた。あっ、この人知ってる、気がする。確か、同じクラスの…。
「んっ?ここどこ」
あたしが辺りを見回していると、
「起きたのね、櫻井さん。具合はどう?」
と、医務室の河野先生に声をかけられた。
そうか、あたしは図書室で本を取ろうとして、落ちそうになったんだ。それで、誰かに助けてもらったんだ。それで、あたしは、そのまま寝たの・・・。
「櫻井さん、大丈夫?まだ、具合悪い?」
先生が聞いたので、あたしは「もう大丈夫です」と答えた。
「あなたと同じクラスの、二宮くんが連れてきてくれたのよ」
「あっ、二宮くんが」
「ええ。じゃあ、教室、一人で帰れるわね」
「はい。ありがとうございました」
そう言って、あたしは医務室を出た。
二宮くんだったのか。あとで、お礼言っとかなきゃな。あたしは、急いで教室に戻った。あたしが、教室のドアを開けた。
教室では、国語の授業をしているところだった。
「あっ、先生。櫻井さん帰ってきました」
あたしの隣の席の大野くんが言った。
先生が「急いで席に着きなさい」と言ったので、あたしは急いで席に着いた。
学校が終わって、あたしは、大親友の相葉早紀と一緒に帰った。
「先生、あの言い方はないよね。愛希は、今まで医務室にいたんだよ」
早紀は少し怒っていた。
「あたし、気にしてないから大丈夫だよ」
早紀を落ち着かせるために、あたしは言った。
「愛希はよくても、あたしがイライラするよ」
あたしは、早紀があたしを気にかけてくれるのが変だけど、少し嬉しかった。
「あっ、忘れてた」
あたしは、二宮くんにお礼をするのを忘れてたことを思い出した。
「えっ、何を?」
「あたし、ちょっと行ってくるね」
すると、早紀が、
「えっ、どこ行くの?」
と訊いたので、ニコッと笑って、走って二宮くんのところに行った。
「あの、二宮くん」
前から、二宮くんが女の子に人気なのは知っていた。だから、しゃべったことはないけど、どこかで少し、期待していた、と思う。
「何?」
二宮くんは、なぜか、どこか強く引き寄せられる声だった。
あたしは、少しドキドキしながら、
「あの、今日は、あの、助けてくれて、あの、ありが、とう」
とつまりつまりに言った。
「別に。あのさ、そこ邪魔。どいてくんない」
「えっ?」
あたしが想像してた二宮くんじゃない。っていうか、なにそれ。あたしは、すごっい緊張したのに。ドキドキしたのに。あたしのドキドキを返してよ。
「意味わかんない」
あたしは、そう叫んで、早紀のところに走ってもどった。
「やばいよ」
あたしは、早紀だけに聞こえるような小さな声でつぶやいた。
「何が?」
早紀は、分けわかんない、って顔をして、あたしに訊いた。
「二宮くんがだよ。ありえないよ。あたしは、二宮くんに、『ありがとう』って言っただけなんだよ、なのに、なのに返事は『邪魔、どいて』だよ。あたし、二宮くんって、もっといい人なんだと思ってたよ」
まだまだ未熟なので、温かい目でお見守りください。
大宮アリス




