#2:入学式
入学式って書いたけど、入学式ほとんどやってないですね……
どちらかというと、入学初日の様子って感じです。
明華と話し始めて数分経つと続々と生徒たちが廊下を通り始め、このクラスに入ってくる生徒も現れた。このクラスに入ってきた人たちは主に明華の方をちらちらと見る。しかし、話しかける勇気はないのか席で座っておとなしくしていた。
新しい空間で、知り合いもいなきゃそうなるよな。しばらくすると、チャイムが鳴り明華は少し名残惜しそうに自分の席へと向かった。しばらくすると、先生らしき人物がこの教室に入ってきた。真っすぐな黒い髪を後ろで一つに結んでいる美しい女性で、クラスの男子の目が釘付けになっている。うーん、初対面なはずなんだけど、どこかで見たような気がする。気のせいだろうか?自己紹介をしていたのだが、そのことを考えていたため帆tン度彼女の話は聞いておらず、彼女の名前も聞き逃していた。
校内放送が流れ、俺たちは体育館へと向かった。演奏とともに、俺たち新入生が体育館に並んで入る。入学式は特別なことをするわけでもなく、平凡な感じに終わった。
入学式が終わり、俺たちは教室に戻った。
「それじゃあ、入部届を配る。とは言っても、期限は二週間ぐらいあるし、ゆっくり決めるといい」
先生はそう言うと、入部届を配った。部活名を記入して担任に出せば良いそうだ。部活動に入る気はない。面倒くさいし、帰ってアニメ見たりマンガ読んだりしたほうが楽しい。中学の時も文芸部に所属していた。明華も俺と一緒にいる時間がなくなるのは嫌だと言って同じ部活に入っていた。本人は、テニスが好きらしいけどテニス部は俺たちの通っていた中学には無かった。
俺は運動は好きではないけど、近くのコート場などで明華の相手をさせられる。まぁ、勿論勝てるわけもなくいつもボコボコにされてるけど。
普段は休みの部活もあるらしいのだが、初日ということもありすべての部活があるらしく、新入生は好きに部活動の見学に行っていいとのこと。先生の話がすべて終わり、授業が終わると先生は教室から出て行った。
「はいはい。注目!俺は神代 大樹だ。今日この後このクラスで打ち上げにでも行かないか?」
「お、いいじゃん。賛成!」
「部活動は、また今度でもいいかな」
「私もそれ参加したい!」
神代の提案に続々と手が上がった。男子は半数近く、女子は1/3ぐらいの人数が参加するらしい。神代は明華のいるほうを見ると、彼女に近寄って行った。
「えっと、君の名前は何というのかな?」
「私は、西野 明華だよ」
「そっか、明華ちゃんか。どうだい今日この後、参加しないかい?」
彼は明華にそう言った。彼女は困った表情を浮かべて、俺と視線を合わせてきた。俺は横に首を振った。行かない、というかそんな面倒くさいの行くわけがない。彼女は意図をくみ取ったのだろう。
「あはは、ごめんね。私この後用事あるから」
「そうか、分かった」
神代はそう言うと、参加するといったメンバーを集めていた。明華に断られた時の、あいつあからさまにがっかりしてたよな。明華狙いだったのかもしれないな。ともあれ、その後も普通に仕切っているところを見るに、多分彼はもともとそういう性格なんだろうな。
神代が仕切っている間にも、部活を見学しに行った人はいた。神代たちがいなくなったころには教室には俺と明華ともう一人の女子生徒だけになっていた。明華は荷物を持つと、俺のほうへ小走りで走ってきた。
「行かなくてよかったのか?」
「ちぃ君行くつもりなかったでしょ?じゃあ私も行かなーい」
「さいですか」
「そうだ、部活動見学どこか行ってみない?」
「うーん、早く帰ってアニメの続き見たい」
「あー、あれね。そうする?」
彼女は多分テニス部に行きたいのだろう。けど、運動部に入るつもりはないとは事前に言っていたし、明華自身も部活に入ってまではやりたくないらしい。普段、アニメを見るときは大体明華も一緒にいる。前に一度、退屈じゃないか聞いたことがあるのだが楽しいと笑顔で言ってくれた。
「それじゃあ、帰るか?」
「うん」
「少しいいですか?」
一緒に帰ろうとした瞬間、眼鏡をかけた女子生徒に声をかけられた。