オープンハイスクールでの出会い⑤
「わぁ〜!ここが食堂なんだね!ひっろ〜い!」
脚立と余った蛍光灯を用具室に戻した冬馬たちはその足で食堂に訪れていた。
「確かオープンハイスクールに来てくれた人は受け付けで食堂の無料券が配られてるはずなんだけど持ってる?」
「え!?そんなのあるの!?」
「あれ?木目さんもしかしてもらってない?」
「そんなのがあるなんて…」
がっくしと肩を落とす木目さん。頭の葉っぱもどこかしんなりとしていた。感情に作用されるんだろうか
「虹、はいこれ」
小さいため息をついた後、果川さんは木目さんに無料券を手渡した。
「三七姫ちゃんこれって…」
「虹が突っ走ってる時に受け付けで2人分の無料券もらってたの」
「ありがとう!三七姫ちゃん!」
木目さんの顔がぱっと明るくなった。
よかった、さすが果川さんだ。
「じゃあ買いに行こっか」
食堂の受け付けに向かった4人は受け付けのメニュー一覧を確認する。
「私はなににしよっかな〜……あ!麻婆豆腐定食がある!私これにしよ〜っと!」
「虹、それ四川風って書いてあるんだけど…大丈夫なの?」
「大丈夫だよ〜きっと」
「私はお蕎麦にします」
「あ、じゃあうちもそれで」
「僕はチキンカレーにしよっかな」
各々が注文をし、受け取ったご飯を手に席へと向かう。
「おっひるだおっひるだマーボーだー♪」
「虹…その麻婆豆腐真っ赤だけど…」
「案外見た目だけかもだよ、三七姫ちゃん♪」
空いている席を見つけ、そこに4人が座る。
「じゃあ食べよっか」
「いっただっきまーす!」
木目さんは勢いよく一口目を口にした。
それに合わせて残りの3人も各々食べ進める。
「三七姫ちゃん、七味使いますか?」
「あ、じゃあいただきますね」
「みなぎひゃん…」
「どうしたの虹」
「かひゃい…したがしひれる…」
木目さんを見ると一口目のままスプーンが止まっていた。
「でしょうね。見たら分かるわ。ご飯と一緒に食べたらマシになるから食べれるだけ食べて。残りは食べてあげるから」
「あひがとう…」
それを聞き木目さんは二口目を口にした。辛いのが苦手みたいだけどその食べっぷりはどこか美味しそうに見えた。無理して食べてるわけじゃないみたいだ。
それを見て少し安心し、冬馬は自分のチキンカレーを食べ進めた。
「「ごちそうさまでした」」
「おいしかったね三七姫ちゃん!」
「そうだね虹、うちは麻婆も食べたからお腹いっぱいだけど」
「ごめんね三七姫ちゃん」
「いいよ、美味しかったし」
「じゃあ午後の依頼、まずは校庭の草むしりにいきましょうか」
「はーい!」
お腹も膨れた4人は午後からの依頼である1つの校庭の草むしりへと向かうのだった。