オープンハイスクールでの出会い④
「脚立持ったし、蛍光灯も大丈夫?」
「はい、本数持ちました!」
「じゃあ行こうか」
先に用具室で交換用の蛍光灯と脚立を取り、目的地である理科室に向かう冬馬たち。
「すみません果川さん、持ってもらっちゃって」
「いえ、大丈夫ですよ。…あの、雨宮さん、蛍光灯の数は本当にこれで大丈夫なのでしょうか?」
果川さんが少し心配そうに聞いてくる。本数が多いからだろうか、
「はい、大丈夫ですよ〜。必要な本数も依頼の方に書いてありましたから。あとは理科室にいって電気をつけてみて確認して、それで交換していきましょう」
美月ちゃんがにっこりと笑いながら果川さんにそういうと、果川さんもわかりましたとにっこり返していた。
美月ちゃんもどこか抜けてるかなって思ってたけどしっかりしてきたなー。
冬馬はそう思いながら依頼書を確認する。
「美月ちゃん…依頼書の本数4本だけど5本持ってきちゃったね」
「はぇ!?4本でしたか!?」
やっぱりどこか抜けていた。
「あーみてみて!理科室あったよ!」
いきなり大きな声で前方を指差しながら木目さんは言った。見ると遠くに理科室の文字が見える。
木目さんは理科室を見つけるなり猛ダッシュで向かっていった。
「ちょっ、木目さん!走ったら…!」
廊下を全力で駆け抜けた木目さんは、数十歩先でつるんっと前のめりに盛大にこけた。
「いったーーーい!!!」
「大丈夫!?ここ最近ワックスかけたみたいだからよく滑るんだよ。だから気をつけてって言おうと…」
「川神さん、気にしないでください。虹の自業自得なので」
「三七姫ちゃん冷たい!!」
「冷たくありません」
「はい、立てますか?」
「ありがと〜美月〜」
「痛かったですね、大丈夫ですか?」
「痛かった〜」
よしよしと頭を撫でている美月ちゃんを尻目に、やれやれと首を振る果川さん。まるで木目さんの保護者みたいだ。
そんなこんなありつつ、なんとか目的地の理科室に到着した4人。
明かりをつけ、交換しないといけないところを手分けして交換し、無事依頼を達成することができた。
「ん〜終わった〜!」
「まず一つ目の依頼は完了だね。余った蛍光灯と脚立を用具室に戻したら食堂に行ってお昼を食べよっか」
「わーい!お昼だ〜!」
「虹、いちいちはしゃがないの」
「だって食堂でお昼だよ三七姫ちゃん!何があるかワクワクじゃん!」
「…それもそうね」
くすりと笑って返す果川さん。
この2人は本当に仲がいいんだなと微笑ましく思いながら、さぁ行こうかとみんなに声をかけ理科室を後にしたのだった。