オープンハイスクールでの出会い③
「ところで依頼って何するの〜?」
木目さんが挙手をしてそう質問してきた。
そういえばそうだった。どうしよう…万屋箱の中に何か入ってる…わけないだろうし…
そう思いながらも冬馬は万屋箱の中をまた見る。するといくつか紙が入っているのと手紙が入っていた。
「これって…」
「部長さんからの手紙…みたいですね」
隣にいた美月ちゃんと一緒に封筒を開けてみる。
[前略。この封筒を開けてるってことはブースに誰か来たってことだろう。来た人に体験してもらうための軽い依頼を何個か入れといたんでその中から選んで体験実習させてやってくれ。
ps.部室の冷蔵庫の中に優斗が張り切って大量にケーキ作ってたみたいだから依頼終わりに来てくれた人に食べさせてやるなりあげるてやるなりしてやってくれ。]
「…さすが部長さんですね」
「そうだね、僕たちも見習わなくっちゃ」
「あの…ありましたか?依頼」
果川さんが少し不安そうにこちらを覗いていた。
「大丈夫ですよ。簡単な依頼が何件か入ってるのでどれかやってみましょうか」
「どれかじゃなくて全部やろーよ!」
木目さんはどうやら元気が有り余ってるらしい。どこか杏果さんに似ているな…
「こら、虹、時間的にうちたちにそんなに使えるわけないでしょ」
「えぇ〜、せっかくなら人助けしたいじゃん」
「構いませんよ〜」
「え、美月ちゃん!?」
「せっかくきていただいたんですし、どうせなら満足して帰ってもらいたいじゃないですか」
確かに一理あるけど…
「本当にいいんでしょうか?」
「はい!構いませんよ♪」
何か美月ちゃんなりの考えがあるんだろうか…
ここは美月ちゃんに従うか…言っても聞かなそうだし。
「えっととりあえずあるのが校庭の草むしりと…」
「むしられるの!?」
木目さんは慌てて自分の頭の草を手で隠す。
「そっちの草はむしらないので安心してください」
「本当に?よかった〜…」
「すみません…虹は無視して続けてください」
「あ、はい」
なんか調子狂うなー…
「えっと…あとは一階の理科室の蛍光灯の交換と体育館の用具室の軽い整頓ですね」
今回万屋箱に入っていた依頼は計3件。
どれもそれほど時間のかからないやつだった。
「じゃあこうしましょう!まず蛍光灯を直しにいって、その後食堂でお昼ご飯を食べてから草むしりと整頓をしに行きましょうか」
美月ちゃんが段取りを組んでくれ、3人はブースの席を立つ。
冬馬はブースにただ今依頼受注中の札を下げて
3人の後を追いかけた。