オープンハイスクールでの出会い②
「えっと……まず自己紹介からだね。僕は川神冬馬、隣は雨宮美月ちゃんだよ」
「雨宮美月です。よろしくお願いしますね♪」
「はいはい!私木目虹って言うの!よろしくね!冬馬!美月!」
そう言うと虹ちゃんは両手を冬馬達に差し出してきた。可愛らしくにっこり笑いながら、握手を求めてきているのだろうか。差し出された手を恐る恐る握るとぶんぶんと激しい握手を交わされた。
「だから失礼でしょ」
ビシッと隣の女の子が虹ちゃんの頭にチョップをくりだす。
「あぅ。痛いよ〜三七姫ちゃん」
「少し落ち着きなさい。すみません、うちの虹がご迷惑を」
「いえ、全然大丈夫ですよ」
「うちは果川三七姫って言います。よろしくお願いしますね」
そう言うと三七姫ちゃんはにっこりと笑ってお辞儀をしてくれた。
「お二人はどこからいらしたんですか?」
「えっとね!私たちは《となり街》ってところからきたの!」
《となり街》?聞かない名前だった。どうも今住んでるところの隣の街ってわけではなさそうだ。
「そうだったんですか!わざわざとなり街からいらしてくれてるなんてありがとうございます」
「美月ちゃん、多分思ってるとなり街とは違うと思うよ」
「ほぇ?そうなんですか?」
「多分ね」
絶対今いる街の隣だと思ってるだろうから。
「それにしてもその…頭の葉っぱみたいのってなんですか?」
ずっと気になっていた木目さんの頭の葉っぱ。装飾品なんだろうか。
「私たちはね宿りの子なんだよ!」
「宿りの子?」
冬馬はまたまた首を傾げる。宿りの子とはいったいなんなのだろうか。
「虹、ちゃんと説明しないと…えっと宿りの子って言うのは文字通り植物を宿らせた人のことを言うんです。うちはイロハモミジ、虹はシダレヤナギの宿りの子なんですよ」
「な、なるほど」
だから植物みたいな見た目なんだなと冬馬は無理やり理解した。
「すごいですね冬馬くん!虹ちゃんも三七姫ちゃんもすごく綺麗で可愛いです!」
美月ちゃんの適応力をたまに羨ましく思う。
「ねぇねぇ、ところでこのよろず…部?って何する部なの?」
「あ、えっと、学校内のいろんな人たちから依頼を紙に書いてもらってこの万屋箱に入れてもらって、入った依頼を受けてその依頼をこなすって部活なんだ」
そう言うと冬馬は万屋箱を前に出した。
「人助けする部活なんだ!すごいね三七姫ちゃん!」
「わかったから落ち着いて、虹」
「あの、もしよかったら体験実習もできますけどやりませんか?依頼達成するとご褒美も貰えるんですよ」
「あー!やるやる!やりたいやりたい!」
木目さんは元気よく手をあげてそうアピールした。
「果川さんもどうですか?」
「じゃあうちもやります」
こうして4人で初めての依頼をすることとなった。