学力試験②
「もう許してくれー!!」
数学の50分が終わり、杏果さんが発狂した。
「おいおいまだ始まったばかりだろ。あと理科と英語と社会科が残ってるぞー」
「圧倒的に時間が足りないんだよ!なんだよこの問題量と難しさ!」
杏果さんが怒るのも無理はない。本来の時間より明らかに短い。そのくせ問題の難易度が普通に難しいときたもんだ。
冬馬自身もこれ以上やりたくなかった。
「時間の都合上取れる時間が限られてるから仕方ないだろう。それに解けなかったところが言わば弱点だからそこだけ集中すれば本番でも楽勝になるだろ」
解答用紙を回収しながら部長はこの学力試験の意味を説明する。
「ほれ、次だ次。時間がないんだからとっとと次のやつに移るぞ」
「私もうやりたくないよ〜…採点もしてほしくない〜…」
「別にやらなくてもいいが期末試験散々な結果だったやつには当分優斗のケーキは無しだからな」
「鬼かお前は!」
「それが嫌なら今の自分の学力を受け入れろ。そして勉強をしろ」
「はーいじゃあ次は理科だよ〜配っていくからね」
「優斗もなんとか言ってくれよ!」
「ごめんね杏果ちゃん。今回ばかりは僕も心を鬼にすることにしてるんだ。運動だけじゃなくて勉学も学生の本分だからね」
「そんな〜……」
がっくしと肩を落とす杏果さん。それを見て今回は逃げられないんだなと冬馬も心の中で肩を落とした。
「じゃあ始めるぞ〜40分だからな〜」
はじめっと部長が言うと同時にタイマーのスイッチが押された。
第3科目の理科がスタートした。
カリカリとシャープペンで書く音だけが静寂の中に鳴り響く。
解けるところを解いていき悩むところは後回しにしていく冬馬。
ある程度解いたあと解けなかった部分に挑んでいく。ただし、悩んでいけばいくほど知らないうちに時間は進んでいく。
こうして気が付かないうちに40分は過ぎていきタイマーは無慈悲に鳴り響いた。
「はい、終〜了〜。ペンおけ〜」
悩んでたやつの半分が解けなかった…これも良くて60点くらいかな〜…。
そんなことを考えながら解答用紙を部長に渡す。
「おい杏果はよ渡せ」
「うぅぅ…」
どうやら杏果さんもあんまり良くなかったみたいだ。
「よし、じゃああと2教科だ。次、英語いくぞ〜」
残すところはあと英語と社会科。
学力試験はまだ終わらない。