学力試験①
「いきなりだが学力試験をやるぞー」
「ほんとにいきなりですね」
放課後、いつもの部室。部長が突然そう言うと何かの用紙を準備しだした。
「あの…まずなんで学力試験なんですか?」
「もうすぐ期末試験だろ?その期末で酷い点を取らないために前もって予習するための学力試験だ。もちろん全員参加だぞ」
「は、はぁ…」
ま、まずい…まだ期末試験のための勉強を一度たりともしてない…一応授業はしっかり聞いてはいるけどやれる自信がない…
「あの…私とシロくんは部長さん達と学年が違いますけど、大丈夫なんでしょうか?」
ナイス美月ちゃん、これでワンチャン回避を
「そこは安心してくれ美月ちゃん。ちゃんと学年別で用意しているから。美月ちゃん冬馬くんには去年の過去問を、俺たち3人は出るであろうところを俺と優斗が選りすぐって作ものを準備している」
冬馬の淡い期待は打ち消された。
「それだと優斗と琢磨が有利じゃないか?」
杏果さんがブーブーとクレームを入れる。自分だけ除け者にされたのが悔しいんだろうか。
「俺の問題は優斗が、優斗の問題は俺が作ったから問題はないぞ」
まぁそうするでしょうね。
そんなことより問題は点数が取れるかどうかだ。
「学年別で一番優秀だったものにはもちろんご褒美があるぞ〜。でも一番悪かったやつにもご褒美はあるからなー。優秀者からの講習というご褒美がな」
「それご褒美って言うんですか…」
「十分すぎるご褒美だろう。これで期末も高得点って訳だからな」
「じゃあ配っていくよ。まずは国語からだよ」
優斗先輩から用紙が配られる。
漢字の問題以外なら大丈夫…だと思うからそれだけをとりあえず解きまくって点を獲得していこう。
「制限時間は40分だ、短いからよく考えて時間使えよ〜。よーいスタート」
部長がタイマーのスイッチ押す。
その合図と同時に用紙を裏返す。
大丈夫やれる、解けるところから解いていこう!
〜40分後〜
ピピピッとタイマーが鳴る。
「はいみんな手止めて〜」
「くっそ、後半解ききれなかった。ちょっと私の問題難しすぎない!?」
「みんな公平だぞ〜。だから冬馬くんもそんな全てが終わったみたいな顔しなくて大丈夫だからな〜」
文章問題に時間を取られすぎた…漢字もあんまり解けなかったし…
「シロくん、大丈夫です!まだ始まったばっかりですから!」
「美月ちゃんはどうだった?」
「私はギリギリ全部解けましたけどあんまり自信ありません…」
えへへと笑う美月ちゃんに対して、あの時間で全部解けるのはおかしいなんて言えなかった。
「じゃあ次数学やるぞー。制限時間は50分な」
学力試験はまだまだ続く。