プリンを作ろう②
「じゃあまずは基本のプリンの作り方を教えるからね」
『「はーい」』
優斗先輩はホワイトボードに水性マジックでレシピを書き始めた。
「まず材料だけど、今回は卵4つと卵黄1つ、牛乳400ccと砂糖75g、バニラオイルを準備します。これはあくまでも基準だから、各々変えてもいいからね。それともし抹茶プリンとかにしたかったらそれも各々追加していってね」
「せんせー、砂糖は何使ってもいいんですかー?」
杏果さんが手をあげ、少し茶化したように聞く。
「ここにあるものだったら何使っても大丈夫だよ。砂糖によってプリンの風味や食感も変わってくるからそこもポイントだね」
なるほど……砂糖ひとつでも変わってくるのか。
「じゃあ改めて作り方を教えていくね。まず①として卵の中に砂糖を入れて混ぜ合わせます。この時泡立てるんじゃなくて混ぜ合わせるだけでいいからね」
きゅきゅっとホワイトボードに手順を書きながら教えてくれる。
「なぁ優斗〜、どうせならつくりながらおしえてくれたらいいんじゃない?」
「それでもいいんだけどね、そうするとおんなじのができちゃうと思うから。今回は各々の味を大切にして欲しいから手順だけ教えることにしたんだ」
「じゃあこのグラムでやったらダメって事ですか?」
「ん〜…ダメじゃないけど出来ればアレンジして欲しいかな」
「アレンジ…」
「そ、その方が個性が出て面白いからテーマを決めて作るのもいいと思うよ」
テーマか…僕はどんなやつ作ろうかな……
「じゃあ続きだけど、②として牛乳にバニラオイルを入れて鍋で温めておく。沸騰まではいかなくていいから、軽く膜が張るくらい温めるといいよ。牛乳に抹茶粉やチョコレート、ココアをふるって入れたりすると抹茶プリンやココアプリンになったりするからね。で、③として①の中に②を越しながら入れて混ぜ合わせる。この時も泡立てるんじゃなくて混ぜ合わせるって感じでやるといいよ。これでプリン液は完成だよ。ここまで大丈夫かな?」
「はい」
「はい、何かな美月ちゃん」
「牛乳の代わりに生クリームなんかでもレシピ的には変わらないですか?」
「うん、基本的には変わらないよ。生クリームだけで作るのも濃厚で美味しいからありだよ」
「なんか具材とか入れるならどのタイミングで入れたらいいんだ?」
「それはこれから説明しようかな。冬馬くんは何もないかい?」
「あ、はい。僕は大丈夫です」
「じゃあこのプリン液を容器に入れるんだけど、この時越しながら入れるときめの細かいプランになるから忘れないでね。具材とか入れるならこの時に入れるといいよ。容器に入れたら上からアルコールをふって気泡を消すと見た目が良くなるよ。できたらアルミを被せて150度で50分くらいかな、お湯を張った天板に乗せてオーブンで蒸し焼きにして完成だよ。ここまでで何かないかな?」
「オーブンの温度とか時間は変えてもいいんですか?」
「ん〜…大丈夫だと思うけどその場その場で確認していってって感じかな。不安だったら竹串なんかをさして確認したら大丈夫だよ」
「上にかけるカラメルは〜?」
「カラメルは砂糖40gに水15cc入れて色が濃くなってきたらお湯60cc入れると完成だよ」
「色合いってどれくらいですか?」
「ん〜濃い茶色くらいかな。変わり始めたらすぐだから気をつけてね。色が変わったら火から離してからお湯を入れる事。この時はねるから十分気をつけてね」
そう言いながら注意事項なんかもホワイトボードに書いてくれた。
「よし、じゃあ以上で作り方の講義は終わりです!みんな頑張って作ってね〜」
そう言い残し優斗先輩は部屋から出ていった。
「じゃあ作っていきますか」
「私足りないやつ買ってくるわ」
「あの、私もそうします!」
どうやら二人は普通のものを作るのではないみたいだ。
僕はせっかくだし王道のやつを作るかな。
二人が出ていった教室で、一人プリンを作り始める冬馬だった。