ちっちゃなゲーム大会と初詣④
「ここが言ってた神社か」
「あ、そうです」
神社に着くとこの時間なのにそこそこな人がいた。
今年もあと3分弱。ここに集まってる人も目的は僕たちと一緒だろう。
「年明けるまであとちょっとあるけど、もうお参り済ませるか?」
「あの、ちょっといいですか?」
「どうした?妹ちゃん」
「ここ、甘酒配ってるみたいなんですけどそれ飲んでからお参りとかどうですか?ちょうどいい時間になりそうですし」
「甘酒か!いいな!行こうぜみーちゃん!」
「ちょちょ、引っ張らないでください〜!」
「ここ甘酒配ってるのか」
「知らずにここ選んだの、お兄ちゃん」
やれやれと首を振りながら、見るからに呆れた態度を取られた。
「ここが一番近かったからここを選んだんだよ」
「あ、そ。とりあえず私たちも行きましょう」
「夏菜ちゃんはしっかり者なんだね」
「そう言ってもらえると嬉しいです」
「夏菜ちゃんは冬馬くんのことが好きなのかな?」
「いえ、ただ目を離すとどうなってるかと気になるだけです」
「お前は何様のつもりなんだ……」
「ふーん…そうなんだ」
「なにか?」
「ううん、別に何も。ただ仲がいいんだなと思ってね」
「そ、そうですか」
ポケットの中で夏菜が強く手を握ってくるのがわかった。顔を見ると少し赤くなっている。仲良しに見られて恥ずかしくなったのかな?
「おーい、お前らもこっち来て甘酒もらえよ〜」
少し離れたところで杏果さんが呼んでいる。
「僕たちも行こうか」
「だな」
「夏菜、いくぞ」
「ん」
僕たちは甘酒の配布場へと足を運んだ。
配布された甘酒をもらい、一口飲んでみる。
お米から作っているからか粒の食感があり、お米の甘みが口いっぱいに広がってくる。ここの甘酒は少し生姜も入っているのか、じんわりと温かくなってきた。温かい甘酒で身体も温まり、飲み干す頃にはポカポカだった。
「美味しかったな〜甘酒」
「ですね〜」
「そうだ時間!もうすぐ年越すんじゃないんですか?」
「今59分と45秒だから今年もあと15秒ほどです」
「そっかー…今年は色々あったな」
「だね。今年1年お疲れ様でだったね」
「来年も楽しい事いっぱいあるといいな〜」
「来年もよろしくお願いしますね皆さん」
「あと5秒です」
「4.3.2.1…」
『『あけましておめでとう』』