ちっちゃなゲーム大会と初詣①
「すみません、洗い物手伝ってもらっちゃって」
「いいんだよ。こっちこそお部屋借りちゃってるからね。せめて洗い物くらいは手伝わせてよ」
洗い物を終え、リビングへと戻ると、こたつで3人とも寝転んでテレビを見ていた。
(くつろいでるなー……。)
「みんなくつろいでるね、このあとどうしよっか」
「おつかれ〜、年越したらせっかくだし初詣行こうぜ〜」
「あ、良いな。冬馬くん、この近くに神社とかってあるか?」
「だったら歩いて10分くらいのところに神社がありますよ。そこまで大きくはないですけど」
「じゃあ年越したらそこに行くか」
「年越しまであと3時間半くらいだね」
もう今年もあと3時間半か……。
今年は色々あったなぁ…。万屋部に入ってから大変なこともあったけどそれでも自分にとっては楽しい日々だったんだと改めて感じた。
「なぁなぁ時間潰しにさゲームでもしようぜ!さっき部屋散策したらテレビ台の所にゲームのカセットとか色々出てきたからさ」
隠してたわけではないけど、ほんとに部屋漁ったのかこの人は……。まぁ別に構わないけど。
「なにする?ふよふよ4?金太郎電鉄?スマッシュファイターもあるじゃん!」
うちにあるゲームカセットを漁りながらキラキラと目を輝かせる杏果さん。
「美月ちゃんは何かする?……美月ちゃん?」
美月ちゃんの方を向くとスースーと寝息を立てて寝てしまっていた。
「あーみーちゃんならちょっと前に寝ちゃってたぞ〜。初詣には行きたいって言ってたからそれまで寝さしてあげといてよ。っとやっぱり初めはスマッシュファイターだな。シロ相手しろ〜!」
「いいですよ。僕そのゲーム結構やり込んでるから負けても文句言わないで下さいね!」
「じゃあ負けた方後で俺と交代な〜」
「僕は見てるだけにしようかな。2人とも頑張ってね〜」
初詣までの時間ちっさなゲーム大会が始まった。
〜数時間後〜
「2人とも、そろそろいい時間だから終わりなよ」
「くそぅ…結局ほとんどのゲーム勝てなかった…」
「冬馬くんって結構やり込む派だったか…」
「まぁうちにあるゲームなんで…そこそこやり込んではいますよ」
「俺も結構自信あったんだけどまだまだだな」
「いや、部長もだいぶ強かったですよ…」
格闘ゲームでの勝率もほとんど五分五分だったから部長も相当やり込んでるのを感じた。言い出しっぺの杏果さんはそこそこ弱かった。初めてこの人に勝てる要素があったな。
「美月ちゃん、美月ちゃん、そろそろ初詣行こっか」
ゲームを片付け美月ちゃんを起こす。寝てる女の子を起こすのはやっぱりちょっとドキドキする。
「ん〜……もう朝ですか〜…?」
「朝じゃないけど…初詣そろそろ行こっか」
「わかりました〜…」
寝起きだからかいつも以上にぽわぽわしている。
「みんな準備できたか?」
「私はオッケーだ」
「オッケーだよ」
「大丈夫です〜…」
「じゃあそろそろ出発するか」
ピーンポーン。
出発する直前玄関から呼び鈴が鳴った。
時間は23時45分ごろ。こんな時間にいったい誰だろう…。
………まさか……
「ちょっと…待っててもらっていいですか?」
「あぁ、構わないけど」
リビングの扉を閉めて小走りで玄関に向かう。
鍵を開け、玄関の扉を開ける。
「おにぃ、初詣一緒に行こ!」
そこには夜中なのに元気いっぱいな妹の姿があった。