ようこそ闇鍋会へ
きたる年末31日。
冬馬は部屋の大掃除を終わらせ鍋会の準備を始めていた。
集合時間まではまだ時間があるから鍋の準備でもしておくか。
部長から闇鍋をするなら具材の味がわかりやすいよう昆布のみの水炊きにするように事前に言われたのでその準備を済ます。
(さてと、大方の準備は終わらしたけど問題は闇鍋に入れる材料だな……1人3品って言ってたしなににしようか……)
そもそもみんなどんなものを持ってくるつもりなんだろう。
優斗先輩は、まぁまともなのを持ってきてくれるとして…美月ちゃんも大丈夫だと思う…いや思いたい。
(問題は杏果さんと部長だなー……あの2人絶対1つは変なの持ってきそうだからなー……)
とりあえず買い物に行くか。
支度し、近くのスーパーに訪れる冬馬。
(一応の目当てはやっぱりお肉と野菜かなぁ…)
白菜、エリンギ、水菜と鍋によく入れられる野菜を見る。
(白菜とか水菜は優斗先輩や美月ちゃんと被りそうだから、被らなそうなところで舞茸とかにしとこうかな)
舞茸のパックを手に取りカゴに入れる。
(水炊きなら魚とかでもいいかもしれない)
そう思い魚介類が置いてあるコーナーによる。
ちょうど鍋用のタラの切り身が売っていたのでそれもカゴの中にいれた。
(タラだったらお肉ってなんか変かな?被るかもしれないけど、無難にネギとかにしよっかな……)
もう一度野菜コーナーに戻る途中、ふと冷蔵コーナーに目がいく。
(あー、くずきりとかありだな)
そこで目に止まったのがくずきりだった。
冬馬はくずきりをカゴに入れた。これで冬馬の3品が決定した。
(さて、と…あとは万能ネギとポン酢買い足して終わりかな)
目的の物をカゴに入れ、レジへと向かう。
みんなはどんな食材を持ってくるのだろうか。
不安もあるけど、それ以上に楽しみでならなかった。
買い物を済ませ帰宅する。
待ち合わせ時間にはまだすこし時間があるので買ってきた材料を鍋に入れやすいように支度を済ませた。
集合時間の17時。
学校の入り口にはいつものメンツが揃っていた。
「おーすシロ!今日はお邪魔するぜ〜」
「こんにちはシロ君!今日はよろしくお願いしますね」
「こんにちはみなさん、じゃあいきましょうか」
「シロ君はもう材料買ったんですか?」
「うん、お昼に買いに行ってもう準備できてるよ。お鍋の準備ももう終わってるからすぐ始められるよ」
「あ、それはありがたいな」
「なーなーシロはなに買ったんだ?」
「こらこら杏果ちゃんそれを聞いたらダメでしょ」
「まぁ、変なものは買ってませんよ。杏果さんは変なもの買ってませんよね?」
「私は変なものなんて買ってないよ。なんだと思ってるのさ」
「いや…なんとなくそんな気がしただけです」
そんな会話をしてるといつの間にかマンションの付近までついていた。
誰かと話しながらだと早く感じる。
「もうここら辺ですよ」
「なんだか私ドキドキします!男の子の部屋って入ったことないので!」
「ベッドの下とか漁るのは定番だよな〜。シロの赤裸々な部分見てやろうぜ」
「漁られても変なものは出てきませんよ〜」
部屋の鍵を開け扉を開く。
「いっちばんのり〜!おっじゃまっしまーす!」
杏果さんが元気に部屋に入っていった。
「こら杏果ちゃん大声出さない、全く…冬馬くんお邪魔するね」
「お邪魔します…!」
「邪魔するぞー」
「おおお!思いの外綺麗だぞ!鍋の準備もしてあるし、いつでも始められるな!」
「杏果ちゃんもうちょっと落ち着いて、でもほんとに綺麗だね。一人暮らしでこれだけ綺麗なら大したものだよ」
褒められてちょっと嬉しくなる。
「じゃあとりあえず各々の材料の準備が必要なやつは準備してくれ。冬馬くんキッチン借りてもいいか?」
「大丈夫ですよ。包丁出しときますね」
「ありがとう。切ったりしないといけないやつは1人ずつキッチンで準備してくれ。それが終わったら闇鍋開始だ!」
この時はまだ気付いていなかった。
この闇鍋がほんとに闇鍋になることを。