合宿の後はスキー場!!④
「お〜し、2人とも忘れ物ないか〜?」
「こっちは大丈夫だよ」
「僕の方も大丈夫です」
「冬馬くん身体の方は大丈夫?」
「右膝がすごい笑っちゃってます……あと太ももとか腕とかが限界っぽいですね……」
普通に立ってるだけなのに冬馬の右膝はプルプルと震えている。まるで生まれたての子鹿のようだ。
「杏果ちゃんにスパルタ指導されてたみたいだから仕方ないかな」
苦笑いしながら優斗先輩は労ってくれた。
「あとは女子陣だが……」
部長が言いかけたタイミングで杏果さん達がロッカー室から出てきた。
「お待たせ〜…とりあえず誰かみーちゃん任せていい?」
出てきた杏果さんは美月ちゃんをおぶる形で出てきた。
「とりあえずここに座らせてあげて。美月ちゃん大丈夫かい?」
「な、なんとか大丈夫です〜…」
「初めてのスキーで疲れちゃったかな?時間もまだあるしちょっと休んでても大丈夫だよ」
「私荷物とってくるわ〜」
「はいよ〜」
「美月ちゃん、はい、カフェオレだけど飲む?」
「あ、ありがとうございますシロ君」
「バスが来るまであと20分だから15分後に出たら間に合うからそれまで休んでからいくか」
「はーい」
合宿が終わりそのあとのスキーも終わった。
疲れたけどすごく楽しかった。他の人と来てたらこんな気持ちになってたのかな…。
合宿もそうだけどやっぱりまたこうしてこの人達と遊びたいな。こんな時間がずっと続けばいいのに…。
そんならしくもないノスタルジックな想いにふけながら冬馬は缶コーヒーを一息に飲んだ。
「大丈夫ですか?」
「んぁ!」
いつの間にか美月ちゃんが隣に来ていた。気付かずへんな声が出てしまった。
「ぼーっとしてたみたいですけど…」
「あー…うん、大丈夫。僕も疲れちゃっただけだから」
「お互いもっと身体動かさないとダメですね」
えへっと笑いかけながら言ってくれた美月ちゃんに癒されながら冬馬は「うん」と頷くのだった。
「よし、もうそろそろ出るぞ〜みんな忘れ物ないか〜」
「こっちはないよ〜」
「私も大丈夫です」
「僕の方も大丈夫だよ。冬馬くんは?」
「あ、僕も大丈夫です」
「じゃあいくか〜」
「あの!せっかく来たから最後に写真撮っていきませんか?」
「あーそうだな、せっかくだから撮っとくか」
旅の最後にスキー場で記念写真を撮った。
せめてもの思い出に……いや、これからもこうして思い出を増やしていくために、今日という日を忘れないために。
移動の時は優斗先輩以外、全員が寝てしまっていた。乗り換えのたびにわざわざ起こしてくれておかげで誰も乗り過ごすことなく無事最寄りの駅まで着くことができた。
今回の合宿で撮った写真は部室のパソコンのデータに入れてくれてるらしい。それでアルバムを作るのも面白そうだという話にもなった。
各々が今回の合宿を楽しめたことでこの合宿は大成功を収めたのだった。
そして翌日……。
「まったく…おにぃったら無茶するからよ」
妹に背中に思いっきりシップを貼り叩かれる。
「いっった!!もうちょい優しくしてくれよ…」
冬馬は全身筋肉痛になって1日家の中から動けずにいるのだった。