いざ合宿へ!!⑥
「シャワーいただきました〜」
食事を終え、備え付けてあるシャワー室からリビングへと戻る。
「あー上がったかシロ〜」
先に入っていた杏果さんと美月ちゃんが髪を乾かしあっていた。
同じシャワー室を使ったと思うとちょっとドキドキする。
「じゃあ次は俺がいくか」
「すみません、先に入れてもらって」
「いいよいいよ。じゃあ優斗先に入るな〜」
「はーい。僕は洗い物終わらしておくね」
「おいシロ、お前の髪も乾かしてやろうか?」
にまにまといたずらっぽい笑みを浮かべて杏果さんが言ってきた。
「遠慮しておきます…」
「ダメですよシロくん!このままじゃ湯冷めきてしまいます!」
杏果さんに髪の毛を乾かしてもらっていた美月ちゃんがずいっと近寄ってきた。
普段見られないパジャマ姿で近寄られるとかなりドキドキする。ってか同じシャンプー使ったのになんでこんなにいい匂いがするんだ…。
「み、美月ちゃん近い…」
「さ、シロくんも杏ちゃん先輩に乾かされてください!」
ぐいぐいと腕を引っ張られる。
「じ、自分でできるから」
もう許して欲しい。これ以上は心臓が持たない。
杏果さんにアイコンタクトで助けを求める。
が、杏果さんは満足げにニヤニヤしながら見ているだけだった。
間違っていた。この人にこの状況を助けてもらおうなんて考えが甘かった。杏果さんの場合この状況を楽しんで過ごすタイプだった。
こうなったら覚悟を決めるしか無い。冬馬は諦めて美月ちゃんに引っ張られるままに杏果さんの元へと向かうのだった。
杏果さんに髪の毛を乾かしてもらう間は恥ずかしくて顔が真っ赤になってた事だろう。
杏果さんは満足げに僕の髪の毛を乾かしてくれた。
「おし、優斗も上がってきたし明日も早いから各自部屋に行って就寝だ」
「パンは明日僕が取りに行くからみんな8時半ごろには起きておいてね」
『はーい』
「じゃあおやすみ」
「おやすみ〜」
「おやすみなさい、シロくんもおやすみなさい」
「うん、美月ちゃんおやすみ」
こうして男女に分かれて部屋へと向かった。
「さて、と…冬馬くん」
「なんですか部長?」
布団を敷きながら冬馬は答える。
「冬馬くんは美月ちゃんのこと好きか?」
予想だにしなかった質問に冬馬は吹き出してしまった。
「琢磨くん単刀直入に聞きすぎじゃないかな…」
「何言ってるんですか部長」
「うん?俺は単純に部員の交友関係を聞くつもりだったんだが…違うのか?」
「あ〜…そう言う…」
「冬馬くん気にしないでいいよ琢磨くんも若干天然だから」
「で、どうなんだ?」
冬馬は深呼吸をしてからゆっくり答えた。
「おんなじクラスですし嫌いでは無いですよ」
「なるほどそれなら良かった!」
「嫌いでは無い…ね」
優斗先輩がくすりと笑うのを見て恥ずかしくなり視線を逸らした。
「そ、それより今日はありがとうございました。わざわざ合宿なんて催してくれて…いい経験になりました」
「いいってことよ。元々する予定だったからな。それに今回は文化祭で思わぬ収入があったしな」
「杏果さんにも感謝しないと…」
言いかけた時突然扉が勢いよく開いた。
「おい!やっぱり遊ぼうぜ!せっかくだしさ!」
「あ、お邪魔します」
杏果さんと美月ちゃんがトランプを持って部屋に来てくれた。
そのまま全員で寝るまで遊び倒した。