いざ合宿へ!!⑤
「結局1匹しか釣れなかった…」
マス釣りの結果は美月ちゃんが4匹、冬馬が1匹の結果で終わった。
「まぁまぁ、1匹でも釣れてよかったじゃんか」
「マス釣りって凄いんですね。釣った時も凄かったですしびちびちってすごい元気だったし…!」
さっきから美月ちゃんはこんな調子で興奮しっぱなしだ。よっぽどマス釣りが楽しかったんだろう。
美月ちゃんが楽しめたのならそれでよかったと納得しバケツの中のマスを少しながめ晩御飯を楽しみにしながら帰路についた。
「お、おかえり〜」
「戻りました〜」
「おかえり。どうだった?マス釣り」
「すっごく楽しかったです!」
「そうかそうか。どれどれ首尾の方は…いちにさん…ちゃんと上限まで釣れたみたいだな」
「じゃあ1人1匹ずつだね」
「それで〜、どっちが多く釣ったんだ?」
ニヤニヤしながら部長は聞いてきた。
「みーちゃんが4匹釣ってみーちゃんの勝ちだった」
「なんだそうだったかドンマイ!」
気持ちばかりの励ましに余計に凹む。
「こらこら冬馬くんをいじめない。さ、晩御飯作ろうか」
『はーい』
釣った魚を優斗先輩に渡す。
「せっかくだからこのマス捌いてみよっか」
「僕捌いたことないですよ!?」
「わ、私もないです!!」
「大丈夫、僕がそばで教えるから。じゃあまず魚の頭を叩いて気絶させよっか」
「え、えい!」
「ごめんなさい!」
「じゃあそのあとは滑らないように手で持って肛門のところから頭まで包丁を入れよっか。皮だけ切れればいいから深く包丁入れないようにね」
「こうかな…?」
「そうそう。2人とも上手だよ」
「じゃあ今度は喉部分の逆V字になってるところ分かる?」
「ここですか?」
「そうそうそこに刃先を突き刺して反対側に貫通させて頭の方に向かって切っちゃって」
「こうして…こうですね」
「そうそういい調子だよ。じゃあそのままエラを持って内臓ごと引きずり出しちゃったらオッケーだよ」
「うわぁ…綺麗に取れるんですね」
「最後に綺麗に洗って完成だ。お疲れ様2人とも」
血だらけになった手を洗い場で洗う。
さっきまで生きていたものを捌くなんて生まれて初めてだ。なんて言うか…すごい。命をもらうってこう言うことなんだな。
「シロくん凄かったですね」
「そうだね」
「今まで食べてきた魚やお肉も生きている命でそれを私たちが頂いてるって改めて感じました」
「何かをもらって生きてるんだなって僕も思ったよ。あのマスは美味しくいただいて糧にしていこう」
「そうですね」
「2人とも〜捌いたマスは揚げるのがいい?焼くのがいい〜?」
「僕は揚げるのでお願いします!」
「私も!」
「りょうか〜い」
「行きましょうか」
「だね」
洗い場を後にし先輩たちのいるリビングへと向かった。
「2人とも遅いぞ〜晩ご飯もうじきできるから準備しろ〜」
『はーい』
部屋からカレーの匂いが漂っている。
キャンプと言えばカレーとの事で今日の晩ご飯はカレーだ。
器にご飯を盛りカレーを注ぐ。机にはカレーと先程のマスの唐揚げと塩焼きが用意される。
「それじゃあいただきます!」
『『いただきまーす!』』
「うん!このマス美味しいね!」
「脂が乗ってていいな」
「このカレーも美味しいな〜流石優斗だな」
「マス、美味しいですねシロくん」
マスの唐揚げを頭からかぶりつく。
その味は今まで食べた何よりも美味しく感じた。