閉会式
[それでは閉会式を始めます]
アナウンスがなり、生徒全員が綺麗に整列をする。
それぞれの種目での優勝者にトロフィーとメダルが授与された。
と言ってもほとんどが2年5組が総取りしていった。
まぁ原因というか要因というかはよく分かるけど…
そんなこんなで閉会式も終わり解散となった。
「よぅ、お疲れ様〜」
「あ、部長お疲れ様でした」
「部長さんお疲れ様です〜」
「部室行くのか?」
「はい、とりあえず行こうかなって美月ちゃんと言ってて」
「俺も今から行くところだったんだ。多分優斗もじきに合流するだろ」
部長とは合流できたが今日の功労賞であるあの人の姿が見えない。
「部長、杏果さんって」
「あぁ、あいつならクラスの奴らに引っ張りだこにされてると思うぜ」
「杏ちゃん先輩今日すごかったですからね」
「だな。だから俺たちは先に部室に行って待ってよう」
「そうしましょうか」
部室につき一息ついていると優斗先輩が入ってきた。
「みんなお疲れ様」
「おう、おつかれ〜」
「お疲れ様でした優斗先輩。テニスおめでとうございます。まさか優勝するなんて」
優斗先輩の手には小さいながらもトロフィーが握られていた。
「お疲れ様です。でもほんとにすごいですよね。万屋部で2人も優勝者が出るなんて!これは快挙です!お祝いです!」
手を振りながら半ば興奮気味に美月ちゃんは喜んでいた。
「あはは、ちょっと照れくさいな」
頬をかきながら照れ臭そうに優斗先輩はつぶやいた。
「そう言えば杏果ちゃんはまだ来てないのかい?」
「まだきてないぞー。おおかたクラスの連中に絡まれてるんだろ」
「そう言う琢磨君は早々に抜け出してきたって感じかな?」
「俺は別にクラスに貢献したわけじゃないからな。抜けても何ら問題ないだろ」
そういうといつものパソコンの置いてある机の椅子に部長は腰をかけた。
「でも結局優勝総なめしていったのって部長のクラスでしたね」
「ですね。杏ちゃん先輩ほとんど完璧に回ってたみたいだったし…」
「スポーツに関してはあいつは異次元の強さだからな。なんだかんだで楽々だったんじゃないか?」
「どうだろうね。まぁ来たらゆっくり休めるように準備をしてあげてようか」
優斗先輩はかちゃかちゃとカップとお皿を用意し出した。いつものように紅茶のいい匂いが部室に漂ってくる。
そんな時部室の扉が開いた。
「噂をすればだな。おつかれ杏果」
「お疲れ様です杏果さん」
「杏ちゃん先輩お疲れ様でした!」
「杏果ちゃんお疲れ様、今お茶とケーキ出すけど…杏果ちゃん?」
杏果さんは扉から真っ直ぐ部室に置いてあるソファーまで無言でてくてくと歩いていく。
「杏ちゃん先輩?」
ぼふっと勢いよくソファーに倒れ込んだ杏果さん。
「杏果さん!」
「大丈夫かい杏果ちゃん」
みんなが駆け寄ると杏果さんはすーすーと寝息をたてていた。
「杏ちゃん先輩…寝ちゃってますね」
「よっぽど疲れたんだろ。まぁあのサイクルは流石にしんどかったんだろうな」
「ここにきて安心したのかな。これはお茶とケーキは起きてからだね。冬馬くんふとんをとってあげてくれるかい」
杏果さんを横にしてあげ、負担をかけてあげる。
そこには満足そうな顔をしてむにゃむにゃしている杏果さんの顔があった。