球技大会バトミントン②
試合が始まってから4分がたった。
得点差は0対4になって美月ちゃん最後のサーブとなってしまった。
「なかなか粘るな美月ちゃん」
「だんだん返す回数が増えていってる。杏果ちゃんが返すコースをみきりつつある感じだね。」
「だが美月ちゃんの体力も心配なところだな」
美月ちゃんはすでに肩で息をしていた。
普段運動をあまりしてないし運動神経がそこまで良くない美月ちゃんにとっては返すのだけでもかなり体力を使うみたいだ。
「今まで良く勝ててきたな美月ちゃん…」
「美月ちゃんには羽を返すのに特化させた練習を施したからね。あとは時間がかかってもいいから最小限の体力で戦うようにアドバイスしてあげたからそれにそって戦って勝ったんじゃないかな」
「なるほど…」
「だが今回の相手は杏果だ。それで勝てる相手じゃないだろうな」
「じゃあどうすれば…」
「勝ち筋があるとするなら時間だね」
「時間…ですか?」
「杏果のテニスの試合が今からだいたい10分後にあるんだ。それに間に合わすには移動も含めて残り9分位でこの試合を終わらせないといけないってわけだ」
「この試合、美月ちゃんが粘り勝つか杏果ちゃんがしとめきるかの勝負だろうね」
ピーとホイッスルがなる。
みると5対0になっていた。
ついに杏果さんにサーブの手番がうつってしまった。
「まずいね」
優斗先輩が真剣な面持ちで呟く。
「なにがまずいんですか?」
ピーとホイッスルが鳴る。
「実は美月ちゃんは…」
杏果さんから弾丸のようなサーブが放たれる。
「美月ちゃんは?」
美月ちゃんはコースをよんだのか羽を返す体制に入る。
「サーブを返す練習はしていない!」
「えい!」
美月ちゃんから気合の入った声が出た。
しかし…
「あれ?」
声虚しくすかぶりで羽はコートに落ちてしまった。
「サーブを返す練習をしてなかったって…」
「うん、返ってきたのを返す練習だけでかなり時間がかかっちゃってね。それ以外の練習が出来なかったんだ」
その一点だけに集中してたのか…。
「てことはつまり」
どんどん杏果さんの方にポイントが加算されていきあっという間に10対0になってしまった。
「まぁ…こうなるわけだな」
案の定の展開というかなんと言うか…。
「でもよく頑張った方だよ」
美月ちゃんがこちらにパタパタと向かってくる。
「負けちゃいました〜」
そこには満面の笑みの美月ちゃんがいた。
どうやら満足のいく試合ができたんだろう。
そんな美月ちゃんにこちらも笑顔でお疲れ様を言ったのであった。