球技大会バトミントン①
「美月ちゃん、午前中お疲れ様」
バトミントンのラケットを持っている美月ちゃんを見つけたので挨拶をしてみる。
「あ、シロくん!お疲れ様です」
笑顔でパタパタとこちらに走ってきてくれた。
「すごいね勝ち残ってるなんて」
「実は優斗先輩にバトミントンを少し教えてもらえたのでそれのおかげなんです。前に教えてもらえたテニスとも似てますし優斗先輩のおかげなんです」
「そっか…それでか」
「どうしたんですか?」
「ううん、優斗先輩が美月ちゃんならもしかするかもって言っててね。それでかと思って」
「そんな!!めっそうもないですよ!勝てたのもギリギリですしなんとか勝ててるくらいですし…!」
手をブンブン振り少し照れながら謙遜する美月ちゃん。
「み、美月ちゃん落ち着いて」
「す、すみません…」
恥ずかしそうにシュンとしてしまった。
相変わらず可愛らしい。
「次の相手だけど」
「はい、わかってます。悔いのないようにやるつもりです!」
やる気がビシビシと伝わってくる。
美月ちゃんがスポーツでここまでやる気になるなんて珍しく思えた。
[それでは午後の部を始めます。準備を始めてください]
アナウンスがなる
「じゃあいってきますね!」
「うん、頑張ってね」
「はい!」
コートの方にパタパタと走っていく後ろ姿を見送り冬馬も試合を見るために移動を始めた。
到着するとそこにはもう杏果さんと美月ちゃんの2人の姿があった。
[それでは始めてください!]
試合開始の合図がアナウンスされる。
始めのサーバーは美月ちゃんみたいだ。どんなサーブを打つのか…。
「いきますよ、えい!」
下打ちでサーブを打つ。スピードはそんなに速くないもののしっかりとコートに入るいいサーブだった。
パシュン。
その音が聞こえた時にはすでに美月ちゃんのコートに羽は落ちていた。
「あぇ?」
美月ちゃんが気が付かないほどのスピードで返されたみたいだ。あんなのどう反応したらいいのかわからないぞ。
「悪いなみーちゃん。そんなに時間はかけられないから速攻でおわらせるぜ」
ちょっとカッコいい。スポーツしてる杏果さんほんと活き活きするんだよなぁ。
「わ、私も負けません!」
落ちた羽を拾い上げ、再びサーブの姿勢を取る。
「えーい」
先程と似たようなサーブを打つ美月ちゃん。
そんなサーブを全力で杏果さんは返した。
降った時の音が聞こえるくらいすごい速いスイングから繰り出されたスマッシュはこれまた凄い勢いで美月ちゃんのコートに返ってくる。
「ここです!」
しかし、返ってきた場所にはすでに美月ちゃんのラケットがセットされていた。
もしかしてよんでた?そうとしか考えられないほどベストな位置に返ってきたのだ。
しかし美月ちゃんが返した羽も豪速球で返され杏果さんのポイントになってしまった。
「でも凄いな美月ちゃん。あんな球返せるなんて…」
「美月ちゃんはどうやら一球までどこに返されるのか読んでたみたいだね」
「前半戦もそれで盛り返して勝ってたみたいだからな」
「優斗先輩、部長もいつの間に…」
気がつくと隣に2人が立っていた。
「さて、今回の試合どうみますか。解説の優斗くん」
なんか始まった。
「そうだね。バトミントンの試合、特別ルールとしてサーブが5本ずつで交代になってるのがどう転ぶかによると思うよ。美月ちゃん的には先に5点全部取られると杏果ちゃんのサーブの時1ポイントも落とせなくなるから何としても取りたいところだろうね」
「なるほど。代表観戦の冬馬くんはどうですか?」
「うぇぁ!?僕ですか!?」
いきなりふられてテンパってしまった。
「え、えぇっと…お互いいい試合をして欲しいです…かね」
「なるほどなるほど、おっとここでサーフが打たれた!」
美月ちゃんのサーブはまたも豪速球で返される。が先ほどと同様読んでたかのように返す。
「さっきもそうだがよくあれを返せるな。どうみる解説の優斗くん」
「そうだね美月ちゃんはスロースターターなところもあるんだと思うよ」
「というと?」
「教えてあげた時もそうなんだけどあの子は覚えがかなり良くてね。戦えば戦うほど次どう打ってくるのかを予測できるんだと思うよ」
「そう言えばさっきも帰ってくる場所がわかってたみたいに返してたような」
「なるほど。早く勝負を決めたい杏果と粘りの美月ちゃん。これは見ものですな」
今のポイントは3対0で杏果さんの優勢。しかしこれはどう転ぶかわからない。
「さてどっちが勝つか…次回決着!!」
「部長…何言ってるんですか…」
「いや、言ってみたくてな(笑)」