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お困りごとは万屋部へ!  作者: soul chiter
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テニス

「今日はテニス部からテニススコートの清掃依頼が届いてるみたいだよ」


優斗先輩が[万屋箱]から一枚入っていた紙を取り出し内容を読み上げた。

今回の依頼は使用後のコートの整備と周りの草むしりみたいだ。


「お、てことはテニスやってもいいのか!」


杏果さんが勢いよく立ち上がる。


「杏果ちゃん、あくまで清掃と整備が目的だからね。しっかり終わらせれるなら使っても良さそうだけど」


「やるやる!やるからちょっとだけテニスやろうよ!」


杏果さんは部室の棚にあるテニスラケットを持って勢いよく飛び出していってしまった。


「やれやれ・・・杏果にも困ったもんだな」


そう言いながら部長もラケットを持ってネット部分の張りを見ている。


「部長もやる気満々じゃないですか・・・」


冬馬達5人はラケットを片手にテニスコートに集合することになった。


「えー、とりあえずテニスをやる時間は1時間ってところでやっていくんだが、まずテ二スをやったことない人手を挙げて〜」


コートに着くと部長にテニス経験の有無を聞かれた。


手を挙げたのは一年の僕と美月ちゃんだけだった。


「あれ?琢磨くんテニス出来るんだったっけ?」


「舐めるなよ優斗。俺はあの有名なテニス漫画を全巻とアニメも全話見てるんだぞ」


それで出来ると思えるなんてすごい自信だ。


「だったら私とやるか?」


ニヤニヤしながら挑発する杏果さん。


「ふん、まぁ2人にテニスがどういうものか教えるにはちょうどいいだろう。デモンストレーションにもちょうどいい」


挑発を挑発で返す部長。

2人の間では既に火花がバチバチだった。


「じゃあ細かいルールは今回なしにして最初に5点取った方が勝ちにしよう。アウトとサーブを2回失敗したら相手に1点入る以外は普通に取れなかったら1点って感じでやろうか。その方が2人にも分かりやすいしね」


「いいだろう、前のオセロのことがあるからな。今回は勝たせてもらうぞ」


部長、まだあのオセロのこと根に持ってたんだ・・・


「サーバーは交代制で、初めは琢磨くんからで行こうか」


「サーブくらい入れてよ〜!」


「舐めるなよ!」


部長のサーブで試合が始まった。

部長のサーブは綺麗に杏果さんのコートに入った。


そのボールを難なく打ち返す杏果さん。

返ってきたボールを部長が平気で返してラリーが続く。


あれ?部長ってほんとにテニスできたんだ・・・

普段運動してるところを見てないからすごく珍しいものを見てる感覚だ。


「さすが杏果だな。なかなかやる」


「お前は全然だな。私はまだ本気じゃないぞ!」


「ならば必殺技を出すまで!」


杏果さんが打ったボールが部長の前に返ってきたとき部長は叫ぶ。


「今だ!必殺!波動弾!」


渾身の一発が杏果さんに向かって飛んでいく。しかもこのコースは杏果さんの顔面に向かって行っている。


「杏果さん危ない!」


しかし、杏果さんはそのボールを紙一重でかわし、しかも部長の渾身のその球を難なく部長のネット際ギリギリに落とすような形で返した。

その球にはさすがに部長は追いつけず杏果さんに1点入った。


「馬鹿な・・・あれを返すなんて・・・」


「お前の必殺技ってのはあれか?相手の顔面にぶつける的なやつか?」


あー・・・杏果さん怒ってるよ・・・


「お前がその気なら私もやってやるよ」


まさか杏果さんも顔面にボールを当てる気じゃ・・・


「おっと顔面サーブか?ならばガードだ」


そう言うと部長はラケットのネット部分を顔のところに持ってきてガードの態勢に入った。


なんていうかもう・・・


「来るとわかっていれば怖くはないわ!」


「それでガードのつもり、か!」


杏果さんの強烈なサーブが部長のコートに入った。

直接顔面に行くサーブかなと思っていたが案外普通のサーブだった・・・と思った。


コートに入った球は部長の横顔めがけてとてつもない変化をしたのだ。


「な!?ツイストサーぶふぁ!」


正面はしっかり守っていたが真横は無防備だった部長。しっかり横顔に直撃した。


「杏果ちゃんツイストサーブなんて打てたの?」


優斗先輩が驚いてるってことはすごいサーブなんだろう。


「ん〜あいつに当てたいって思ったら打てた。打ち方は大体分かってたし」


思いと大体で打てるんだからこの人はほんとに運動においてチートなんだよなぁ・・・。


なんで万屋部にいるんだこの人。


「くそぅ・・・ツイストサーブだと!?」


「おら、どんどん行くぞ!」


そこからは杏果さんの蹂躙で試合は終わった。

打つ球打つ球部長の顔面に吸い込まれるように向かっていき杏果さんが打ったサーブ4球はすべて部長の顔面に当たったのだった。


「さてっと・・・冬馬くん、美月ちゃん、僕たちは“普通の”テニスをしようか」


優斗先輩もこれが普通じゃないってわかってるんだ・・・

こうして優斗先輩にテニスを教えてもらい、その後依頼もしっかりこなした。

ちなみにその後も部長対杏果さんの試合を何回かしていたみたいだったがその度部長がノックアウトされて試合が終わっていた。

テニスでノックアウト勝利があることを僕は今日初めて知った。

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