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お困りごとは万屋部へ!  作者: soul chiter
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前夜祭打ち上げ①

「おーっす、みんな戻ってきてるか~?」


部室に帰ってくると杏果さんの姿しかなかった。


「お疲れ~、まだ私だけみたいだぞ」


「なんだそうだったのか。ところで杏果、依頼の方は・・・」


「全部終わらしてるに決まってるだろ」


親指を立てて力強く杏果さんは言った。


「さすがだな杏果」


「まぁな~。焼肉だしな~」


ニヤニヤしながら杏果さんは言ってるけどこの焼肉、確実に裏があることを僕は知っている。

そんな事情を知っているせいか素直に喜べない僕がいる。


「美月ちゃんはじきに戻ってくるだろうから、あとは優斗の方だな」


「優斗先輩って確か食堂の人の依頼でしたっけ?」


「そうだぞー、優斗は料理得意だからな。確か去年も呼ばれてたっけ」


「え、そうなんですか?」


「あぁ、確かに呼ばれてたな。あいつの料理の評価はすごいからな。俺でもあいつのケーキは美味しく食べれるくらいだしな」



「部長って甘いのダメなんですか?」


「こいつ甘いのそんなに好きじゃないんだよ。そのかわり脂っこいものよく食べるけどな」


「いらんことを言うな。とにかく料理とか家事全般の依頼は優斗に一任してたんだよ」


「そんなにすごい人どうやってこの部に引き込んだんですか・・・」


「そりゃ秘密だ」


フッと笑われて誤魔化された。

僕の中でまた1つ万屋部の謎が増えた。


「ただいま。戻ってきたよ」


「お疲れ様です~。今戻ってきました~」


「お、戻ってきたか」


「ちょうどそこで美月ちゃんと出会ってね。一緒に帰ってきたんだ」


「よし、んじゃあみんな戻ってきたわけだし、約束通り焼肉に行くか」


「よっしゃ!焼肉だ!早く行こうぜ!」


「まぁ落ち着け杏果。おまえは場所わからんだろ」


興奮している杏果さんを部長がなだめながら焼肉店へ向けて出発した。


「・・・マジでか琢磨」


「琢磨くん本当にここでいいのかい?」


「だ、大丈夫なんでしょうか?」


「問題ない」


部長に連れられて到着した焼肉店は、想像していたところよりもいい値段のする焼肉店だった。

食べ放題だけどここって1人あたり5000円くらいするんじゃなかったっけ・・・


僕の中で嫌な予感が少しづつ膨らんでいく。


「さ、入るぞ~」


もっと安い焼肉店を想定していたからちょっと申し訳なく思うけど、それ以上にこの焼肉は賄賂であるという事実を知っている僕からしたら一体何を要求されるのか、今から怖くて仕方がない・・・


「5人で予約の尾上だ」


「はい、お待ちしておりました。席にご案内いたします」


予約をしてくれていたおかげですんなりと席に着くことができた。

用意周到だ・・・


「さて、今日はおつかれさまだったなみんな!じゃんじゃん頼んでくれよ。せっかくの食べ放題なんだ、何も考えずに満腹になるまで堪能してくれ」


何も考えずに・・・か・・・


「まさかこんないいところ連れてきてくれるとは思わなかったぞ、やるな琢磨。遠慮なく食べるぞ!」


「ありがとう琢磨くん」


「部長さんありがとうございます!」


「いぃいぃ、気にするな!」


各々がいろんなお肉を注文し、それぞれがどんどん焼いていく。

そんな光景を見いてながら、僕の頭の中には、これは賄賂だということがずっと引っ付いていた。


「シロくん?どうかしましたか?」


「え、あー・・・うぅん、何でもないよ」


とりあえず今はこの焼肉を純粋に楽しもう・・・


「さてみんな食べながら聞いてくれ」


残り制限時間30分頃になり、部長が声を上げた。


「ん~、なんだー?」


ホルモンをもにもにしながら杏果さんが聞いた。


この人ほんとずっと食べてるな・・・


「改めて今日はお疲れ様だったな。おかげさまで今年も忙しい日を乗り越えることが出来た」


「そうだね。今年は去年と違って人数も多かったし何とかなってよかったよ」


「私も頑張ったからな~」


「杏ちゃん先輩すごかったですもんね。1人であんなにたくさんの依頼をこなせるなんて」


「お手柄だったね杏果ちゃん」


「そーだろーそーだろー」


褒められて嬉しかったのか、出来上がったサラミとキムチでご飯をかきこむ杏果さん。

一体その小さな体のどこに入っているのか・・・


「さて、話は変わるんだが今年の文化祭、万屋部でも出し物をしようと思うんだ」


来た・・・


「おー、そうなのか」


「僕も初耳だね」


「優斗先輩も知らないんですか?」


「うん、今回は何も聞いてないよ」


「・・・あの・・・何をするんでしょうか」


僕はゆっくりと部長に質問をする。

僕以外のみんなは全員が部長に注目する。

部長はニヤリとしながらゆっくりとその質問を待ってたかのように答えた。


「メイド喫茶だ」


その瞬間全員の箸の動きが止まった。

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