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お困りごとは万屋部へ!  作者: soul chiter
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学内新聞撮影会②

撮影会当日の日曜日。


冬馬が部室を訪れると既に全員が揃っていた。


「遅いぞシロ」


「結構余裕を持ってきたつもりなんですけど・・・」


「おはようございますシロくん」


「おはよう美月ちゃん」


「よし、じゃあ全員揃ったところで今日の説明だ。着替え終わったら食堂に集合してくれ。食堂じゃ新聞部のやつらがもういろいろと準備してくれてるはずだ。集まり次第撮影開始と同時にモデルの2人は食べ放題開始だ」


「食べ放題!」


そのセリフを聞くたびに杏果さんはポニーテールを横に振っている。


よほど食べ放題を楽しみにしているみたいだ。


「杏果は部室で着替えてくれ。美月ちゃんは杏果について行ってくれ。冬馬君は少し離れてるが1階の多目的室で着替えてきてくれ」


「分かりました部長さん」


「なぁーなぁー優斗〜、今日のお菓子は何があるんだ〜?」


「杏果ちゃんが好きないろんなチーズケーキや苺のタルトなんかを用意してるよ。キッシュなんかもある

から今日は頑張ってね」


「やった!早く着替えようぜ!ほらほらシロも早く着替えてこいよ!」


「分かりましたから」


「あ、シロくん、これ衣装です!」


「あ、ありがとう美月ちゃん」


「いえ、楽しみにしてますね!」


美月ちゃんから渡された紙袋を片手に冬馬たち男性陣は部室を出た。


「冬馬君ちょっといいか?」


多目的室に向かおうとした時、部長に呼び止められた。


「何ですか部長?」


「優斗と俺はここに残るから悪いが着替えには冬馬君1人で行ってくれ。セットは着替え終わったあとに優斗にしてもらうから着替えるだけ着替えててくれ」


「えっと・・・2人ともここに残るって・・・」


まさかとは思うけど・・・のぞきだったり・・・


「冬馬くんが思ってるようなことじゃないから大丈夫だよ」


ですよね〜。


優斗先輩にあっさり否定された。


「まぁ、なんというかな・・・いた方がいいんだよ。あとこれを渡しておく」


「なんですかこれ?」


なにかのボタンと懐中電灯みたいな何かを部長から手渡された。


「もしもだ、もしも多目的室に杏果が来たらこれを杏果に向けて後ろの紐を引っこ抜け。その後でそのボタンを押してくれ」


部長が何を言ってるのか意味がわからない。杏果さんが多目的室にくる?なんのことだろうか。


「えっと・・・よくわからないんですけど・・・」


「大丈夫、これはあくまで最終手段だから。とりあえず着替えておいで」


「はあ・・・わかりました」


部長も優斗先輩も一体何を言ってるんだろう・・・それにこれなんだろ・・・ライト・・・でもないし・・・クラッカー・・・に近いやつみたいなのかな?見たことないや。

まぁ気にしてもしょうがない。とりあえず着替えに行くか


多目的室に到着し中には入る。机の上に謎のボタンと筒状の何かを置き、美月ちゃんから渡された紙袋のなかみを取り出す。


すごいな〜・・・まるで売り物みたいだ。


ご丁寧にも着方が書かれている紙まで入っている。

早速袖を通してみる。

え〜っと・・・カッターシャツが先で・・・ズボンをはいてっと・・・


〜数分後〜


とりあえずこんな感じかな?

鏡で自分の姿を見てみる。

うん。サイズもぴったり。なんか着慣れてないからすごい新鮮だ。コスプレみたいだけどちょっとカッコいいかも・・・

などと見惚れていると凄い勢いで多目的室の扉が開いた。


「シロ!」


そこにいたのは息を切らした杏果さんだった。


「ど、どうしたんですか!?」


「はめられた!今回の撮影は罠だ!」


「罠?」


「みーちゃんも優斗もグルだった・・・」


「あの〜・・・話が全く見えてこないんですけど・・・」


「とりあえず私は逃げる!シロもさっさと着替え直して準備したほうがいい!」


杏果さんの様子が明らかにおかしい。何かあったんだろうか?

そういえば部長からなんか渡されてたな・・・杏果さんが来たら使えって・・・


「あの・・・杏果さん」


「どうしたんだシr」


「えい」


グイッと後ろの紐を引っこ抜く。

すると筒状の先端からすごい勢いでネットが飛び出し、完全な不意打ちを受けた杏果さんを絡め取った。


「な、ちょ、なんだこれ!おい、シロ、どういうことだ!」


「えっと・・・どういうことだと言われましても・・・」


渡されたボタンもついでに押してみる。これは押しても特に何も起こらなかった。


「お前もあいつらの手先だったのか!」


ネットに絡まってジタバタしている杏果さん。

ん〜・・・助けたほうがいい・・・のかな?


ネットに手をかけようとした瞬間、また扉が勢いよく開いた。今度は3人がそろい踏みだった。


「はぁ、はぁ、やっぱりここだったんだね」


「冬馬君よくやった!さぁ杏果!おとなしく着替えに戻るんだ!」


「杏ちゃん先輩!逃げちゃダメですよ!」


「い、嫌だ!あんなフリフリ着たくない!似合わないから!絶対似合わないから!」


「大丈夫です!可愛くなりますから!」


バタバタと暴れえる杏果さんを取り押さえ連れて行く部長と美月ちゃん。


「いや〜・・・ありがとう冬馬くん。おかげで助かったよ」


「何がどうなってこうなったんですか?」


「詳しいことはまた後で教えてあげるからね。また戻って厳戒態勢を取らないといけないから。そうそう、服、すごく似合ってるよ」


それだけ告げると優斗先輩は急いで戻っていった。

何が何だか分からないままだったがただ一つ分かったことがある。


「杏果さんの衣装・・・フリフリなんだ・・・」


虚空にポツリとつぶやいた。


〜万屋部メモ〜

・藤村杏果

〜プロフィール〜

・身長142センチくらい。小柄。

・運動神経、反射神経はずば抜けていい。素早くパワーもそこそこ強い。

・女の子の格好をするのは苦手。いつもズボンとか動きやすい格好をしている。フリフリしたものなんてもってのほか

・綺麗な顔立ちで実は運動部では隠れファンが多い。

・琢磨とは幼なじみ

・好物は優斗が作るケーキ。特にチーズケーキとか季節のケーキ。

・元々万屋部のご褒美制度は杏果の為にあったもの

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