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網田マリは守られたい

6話


 カミナ編

 ハルカと同時刻に前線に3人はついた。

 

「うっ、腐乱臭がひでぇなこりゃ」


 3人とも鼻を摘んで話す。


「お前のトライアングルで消せないのかよ」


 きっちりとマスクをしたマーズに声をかけた。


「奇跡が起きるとしたらこの地に消臭剤が撒かれることっすけど、そんなことないんで防ぎ用が無いっすね」


「風が吹くって事もあるだろ」


「その風もここまで真ん中にくると臭いですよ...」


「確かにそうだな」


「本当にここにいるんですかカミナちゃん」


 カミナが遠くを見つめている。


「見つけた...」


 そう言って開けたフスマも閉めない速度で走り去った。


「あ、ちょ!」


「ま、いいだろ、最初の任務は負傷者を治療する事らしいから負傷者用のテントに向かおうぜ」


「だ、大丈夫なんすかね...」


「本当は、殺す気なんて無いんじゃないか」


「そうだと、良いんすけど」


「きっと、そうさ」



カミナ編

 見かけた3人組のうち、2人は見た顔だった、手配中のマリオネットとハルカ、足跡を見て追跡を開始する。


「もう1人は、エルフだったか...」


 足跡でその背格好を予測する。


「160センチ前後の手だれたエルフか、鉄のブーツだから脚技を使いそうか...」


 さらに奥へと進み、その2人を見つけた。


「ハルカは...チッ、遅かった...」


 ハルカは先に何処かへ行った様だ。


「お、お前は!、サガラカミナ!」


「御用改ってとこかしら、マリオネットとエルフ捕縛の任に付き、捕えさせてもう!」


召者「剣」 


 両手剣を持ち出し近付く。


「戦った事はないけど...、人形と魂ならいくらでもある!」


奇操者「人形」!


 ポケットから出した機械人形に魂が宿っていく。

 2体の人形は徐々に人間の形へと変形していく。


「あら、ここは...」


「生き返ったのか、私は」

 

 とても兵士とは思えない女性と、白い服を見に纏ったエリートな風格漂う男。


「命令します!、アリアと私を守って!」


「アリアはエルフで、私って人は主人で良いのかしら?」


 背後を見てふふっと笑う。


「はい!」


宿者「シュヴァリエ」


 騎士の姿へと変貌する。


「ごめんねぇ、騎士だけど剣術得意なの」


 そう言うとカミナにリーチを詰めて接近戦で挑む。


「どうせあんた人形なんでしょ、壊してやる!」


操者「剣」 内部精製


 手をかざして人形の体内に剣を生成する。


「人形は内臓壊されようが活動は辞めないわ」


 その剣術は凄まじく、カミナでさえも防ぎきれない。


「早!、ハルカと同等!」


 その姿を見て記憶と重なる。


「ちょっと!、あんたも何かしなさいよ!」


 アリアが白服の男に話しかけた。


 「命令は守れですから、この場を離れて砲弾でも飛んできて2人が死んだら、それでも文句をいうでしょう?」


 ぐうの音もでない。


 なぜか周りが暗く見えてきた、真上を見ると砲弾が飛んできている。


「本当に来てるんですけど〜!!!」


飾者「空」


 あたり一面には快晴が広がり、強い風を感じたが白服の男に触れると風は感じなくなった。


 2人はガタガタと男の袖を引っ張っている。


「大空では常に偏西風が吹いており、毎秒100メートルの風を、ジェット気流と言います」


 その話が終わる直前に、砲弾は動きを止めて、さらに早い速度で来た方向へと戻って行った。


「す、スゲ〜...」


「さて来訪者の方は...、大丈夫そうですね」


 女騎士の剣術にカミナは翻弄されて呆気なく捕えられている。


「離せ!、こんな事で躓くわけには!」


「あのねカミナちゃん...実はエルフは」


 マリがカミナに耳打ちをしてエルフの真実を伝えた。上層部のエロオヤジにいい様に使われている事、それを隠している事。


「〜〜〜〜〜ッ!!!?」


 顔を赤らめて両手で隠す。

 どうやら真実を知らなかった様だ。


「私もここで戦いたくない、私はハルカに連れられてここまで来たけど自由が欲しいのは一緒」


「エルフにだって権利はあるの、もう人は殺さないし縛られずに生きたいの」


 カミナはその話を聞いて顔を赤らめながらも剣を戻した。


「わ、わかりました、その代わりハルカの居場所を教えなさい!」


「ハルカは北の方かな」


「ちょちょっと!、教えていいの?殺すとか言って無かった!?」


「エルフのことで顔を赤らめる人がハルカを殺せるわけないでしょ、多分」


「はぁ...」


 マリは能力を解除した、人形から徐々に魂が抜けていく。


「ここで役目も終わりですか...、少しでしたが楽しい時間でしたよマスター」


 白の服装の男はマリの手にキスをした。


「また会おうね」


「是非とも...」


 カミナの近くにいた女騎士が武装を解除して耳元でささやいた。


「カミナちゃん、ハルカをよろしくね...」


 その優しい声にハッとした。随分前に聞いた事のある声だった。


「ハルカの、お母さん...」


「大きくなったね、バイバイ」


 カミナはその場に座り込み、泣いた。

 戦争で死んだハルカの両親の魂はこの場に残り続け、未来永劫苦しみ続けると考えると胸が押しつぶされそうだった。


 なんとか心を保ち、2人に挨拶をして北へ向かった。


「北にはガマさんとマーズさんがいたはず」


 遠くで勃発する戦争を見ていると、この地獄が早く終わる様にと、心で祈った。

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