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サガラカミナは殺したい

3話 相良カミナは穀したい


(何知り合いなの?)


(あーこいつ、彼氏殺して能力奪ったって思われてるからな)


(「お前が殺したんだろ!、本当にもっかい殺してやろうか!」)


「ハルカ君、よろしくね」


 顔は笑っているが冷たい目でカミナが手を差し伸べてくる。


「あ、よろしく...」


 その柔らかい手はタコができている。きっとこの一週間特訓をしまくったのだろう。


「それじゃあ各自仕事に取り掛かれー、マリオネットはハルカとカミナが担当しろ」


「え...?」



「こんなに簡単に会えるなんて思わなかったなぁ、ねぇハルカ君!」


 ガラス越しにマリを見ていた。


「なんで持ってるの...?、その能力...」


「(目!、目怖い!、殺意が凄い!)」


(言ってしまえよその方が肩の荷が降りるぜ)


(「言える訳ないだろ、育成高校のチェックでも反応しなかった能力だぞ、きっと新種の能力だから俺は捕まって研究を繰り返される」)


「何黙ってるの?」


 目の前に寄るカミナに負けじと一歩より、こういった。


「ああ奪ったよ、希少なスキルは誰だって欲しいからなぁ。」


(うーわ最低)


(後腐れない様にするためじゃ無いか?)


「そうですか」


(「あ、あれ?、思ったよりすんなり」)


(あ、それ新しい能力を隠してるって言ってることと同じじゃ無いか?)


(「し、しまったァ!!。」)


(あほくさ)


「それじゃあ、私はここで...」


「待った」


「何?、もしかして何か隠してたり...?」


「この前は訳があって逃げてしまったからな、カミナも好きなやつの能力と闘いたいだろう」


(うわー、焦りがぼっろぼろ)


(だっさいですねー、上から言ってますがそれ観点違いますからねぇ)


(「なんでテメェら仲いいんだよ!」)


 手から双剣を取り出して殺気が立ち込めた。


「いいだろう、殺してやる」


(「うわ怖ぁいこの人!」)


協会前庭園

「さ、ここなら存分に殺、死合いができるね」


(「隠せてない!」)


(気を付けろよ、やつの剣術うざいからなぁ)


「ああ、育成高校じゃあ...」


「今、それ関係あります?」


「ないな...」


(気圧されてる!)


「それじゃあ、始めましょう」


召者「刀」

自由に武器を取り出せ、所持している武器を変形させることができる。


「スタンダードなゴミ能力だな」

(「うわめっちゃ羨ましい!」)


(心の声が...)


「こい...」


(後ろ)


その言葉にゾッとして能力を発動した。


歌舞伎発動


桜が乱れ舞い、服装が変わる。

なんとかして振り向き、首筋に当たった剣を避けた。距離を離して改めて再確認する。


「早ッ!、」


(1週間でこれか、やるじゃあん)


「あれじゃまるで力者「脚」だろ!」


(鍛えりゃできる)


「できる訳ないだろ!、能力だぞ!?。」


「さっきから誰と話してるんですか?」


(「ヤバイ!、ボロがどんどん出てくる!」)


(「ふーん、やっぱり、何か能力を隠してる、力者、召者、いや未確認能力か。」)


 手にある剣を目にも止まらぬスピードで入れ替えて、次になにをするか悟られない様にハルカの目を欺く。


(「能力を奪う以上戦闘向きではない、だけど奪った能力を使う可能性がある」)


 木を伝ってハルカの目を撹乱させる。


ハルカはそれについていけず一か八か斬られた瞬間を歌舞伎でカウンターするつもりだ。


「今だ!」


背後から来る気配に歌舞伎を使用した。


だがそこにカミナはいない、周りを見渡してもどこにもいない。


(上だ)


上を見ると大きく振りかぶって断ち切ろうとしているカミナの姿がある。当たるスレスレまで来ていた。


 歌舞伎が解けたがなんとかかわせた。


「おいそこまでだ」


 ガマが農耕者で二人を分断する。


「そうですね、ここでやり合っても意味ないですね...」


 両手剣が消えていつもの笑顔が戻る。


(「負け、た...。」)


(だっさぁ)


(それ自分にもダメージあるのわかってますミヅハさん?)


「おいハルカ、ラーメン食うぞ」


「あ、は、はい...。」


協会研究室

「ハンナ所長、ハルカ君、何か能力隠してますよ。奪う系の、希少種...。」


「希少種...?、根拠は?」


 パソコンに向かってデータを打ち込んでいるハンナがこちらを振り向く、ペイントアートの様にぐちゃぐちゃに汚れた白衣は原形を留めていない。


「ミヅハを倒した3人のうちの一人、冬馬の能力を持ってるんですよ...。それも、複合系の希少種...。」


「うーむ、検討しよう」


「はい!。」


ラーメン屋にて

「あのなぁ、女子とのいざこざは多少ある!!俺も体験した事はあるぜ?、けど暴力はいかんぜ暴力は。」


「は、はい...。」


 目の前に置かれたラーメンをすする。


「俺はお前が能力奪ったなんて思ってねぇからよ、お前は困ったら俺を信用しとけ」


 そう言ってガマの分のチャーシューをハルカに渡した。


「あ、ありがとうございます...。」


「さ、昼からの仕事は協会の手伝いだ、イラつく奴いたら俺が殴ってやる」


「結構権力持ってるんですか?」


「それほどにはな」


 そう言ってラーメン屋を後にして協会へと戻った。


「そこの荷物運んどいて。」


 山の様に積まれた段ボールをみてやる気が削げる。


「これ、雑務じゃないですか...」


「じゃ、俺はマリオネットの様子見てくるからよろしく〜。」


「あんたの農耕で運べばすぐ終わるでしょ!」


 腕だけ戻り、振ってくる。


「そしたら仕事増やされる、しかも俺が農耕できるの土だけだから」


「ずぶといなぁ...」



研究室

「お、これはなんの魂入れてるんだ?」


 目の前にある鶏の人形を見て言う。


「ガ、ガマ!、こ、これは鶏の魂、入れた物に関係なく、その身体になるから像の人形にクジラ入れたらクジラになるの」


「はー、いざとなったら戦争に駆り出されそうだな」


「嫌ですよ、機械いじってる方が似合ってますから...」


「ハルカは戦争行きたがってたけどな」


 何やら広間が騒がしい。


「何かあるのか?」


 そこにカミナがご機嫌そうに寄ってきた。


「明日、能力の再確認がされるそうですよ、何やらハルカ君の能力を確認したいとか...。」


「ふーん、ま、大丈夫だろう」


 荷物を運び終えたハルカが本部へと戻ってきた。それを見てご機嫌そうに肩を押した。


「さ、次は倉庫の整理だ」


 はぁー?、と返事をするハルカを見てカミナが歯を食いしばる。


倉庫内

 薄暗く埃っぽい中で、様々なものがある、小さな人形、謎のポスター、謎の卵形装置、興味がそそられる。


「なにに使うんですかこんなの...」


「つかわねぇから燃やすんだよ」


「ふーん...」


(お、これマリ喜びそう)


 ハルカはポケットに小さな人形を入れた。


 協会の浴室は広く、疲れが吹き飛んだ。これも操者「濃度」を持つ研究員がいるおかげだ。そこにだけ感謝をした。


 風呂上りの夕飯は食堂で食べることになっている。隣にマリが居り、ハルカの前にカミナが座った。


 不気味なまでのその笑顔は見ているだけで不安感を覚える。


「なんでそんなにニコニコしてるんだよカミナ、もしかして俺に...」


「明日能力の検査があるんだって〜、楽しみだねハルカ君マリちゃん!、逃げたら、懸賞金ついちゃうかも...?」


「(そ、そう言う事か〜!)」


「ご馳走様でした、先に部屋に戻るねバイバイ、マリちゃん」


「あ、私も...」


 席を立とうとするマリを引き止めて、無理やり座らせた。


「なんだよハルカ!」


「ぶ、ぶっちゃけこんな生活嫌だよな?、な?」


「ま、まぁ楽しくないし...」


「じゃあ単純な話、明日能力検査あるから一緒に受けようぜ!」


「あ、う、うゆゆ...」


 ハルカのその思惑めいた顔に動揺が隠せない。


「だから能力を詳しく教えてくれ...」


翌日

「さ、きてもらおうか」


朝扉を開けると、ニコニコとしたカミナとハンナ所長がハルカを呼びに来ていた。


(そりゃそうなるわな)


「僕に未確認の能力?、ある訳ないですよ」


「だったら尚更だ、忙しくて検査できてなかったからな」


(「さぁ、どうする」)


 不敵に笑うカミナが心の底で思った。


「良いですよ」


(「あれ、思ったよりすんなり...」)


(良いのか?、捕まって...)


 研究室に入ると、ハルカはマリに近付いて耳元でささやいた。


「マリ、この人形に、俺の中にある魂を入れろ」


 そう言って昨日倉庫で見つけた人形を渡した。


「た、魂?、ハルカ君の魂は一つだけ、」 


「良いから良いから」


寄操者「人形」発動


「命令は、ハルカとマリを守れだ」


「え、ええ?」


 困惑しながらも人形を動かした。


 人形は形を変えて、おぞましい姿へと変わっていく。


「賢いなハルカ!、俺様思わず嬉しさで泣き叫びそうになったぜ!」


「あら、これがシャバの空気ってやつ?」


「ミ、ミヅハだ!、最強の刃!、ミヅハだ!」


「戦闘員!戦闘員を呼べ!」


「隠す気なんてさらさらないよ」


 歌舞伎を発動して協会内を斬撃でボロボロに崩していく。


「化けの皮はここで剥ごう、カミナ、ここで逃げる僕を許してくれよ」


 捕まえようと飛びかかってくる戦闘員を斬り払う。


「いけミヅハ!、サミット!。」


「命令してんじゃねぇ!」


異操者「水」 水刃


水を出して高速で飛んでくる攻撃をはたき落とす。ついでに遠くで見ていたガマにも飛ばしたが難なく弾かれた。


操者「衝撃」


 サミットはハルカに群がる人々を蹴り倒していく。その勢いは凄まじく、協会内の戦闘員がまるで太刀打ちできない。


「さぁ、逃げよう」


ハルカはマリを抱えて刀を構えた。


「わ、私も!?」


「共犯者だろ?、もしかしてそう言う能力を持ってる?」


 斬撃で壁に穴を開けて逃げた。


「追え!!、追え!!。」


「今は、ミヅハ止めるのが先決でしょお偉いさん方」


ガマはミヅハを止めると言う口実をしてハルカを逃す為に入り口を土で閉じた。


「ミヅハが生き返るとは、ハルカとマリオを近付けるべきではなかった」


「ハッハッハ!、動けるのがこんなに楽しいなんてなぁ!」


飾者技 水上


 水が発生して部屋を満たす


「息が、できる?」


「だが動きが鈍い!。」


水は空気に比べ、流動はするが抵抗の差が激しい。動き辛いのも無理もない。


「おいガマ、俺と手合わせしてもら...」


人形の魂が抜けて元の小さな人形に戻った。


「効果の、範囲外?。」


「能力が奪える、魂の保持、ミヅハ、」


 カミナが顎を押さえて考え込む。


「なるほど、ね...。」


ハルカ編

「あ、ああ、私も手配されて命狙われるんだ...。」


「悩む暇はないぞ、情報が廻る前に食料の確保だ」


「あ、うん、って!私は...」


(おいガキ、ハルカ死なせたら殺すからな)


 戻ってきた魂に声をかけられた。今度は触れずともその声が聞こえる。


「あ、は、はひ!。」


「買えるだけ買っておこう、さ、マリも買っておけよ」


「ああ人形屋、食料、洋服、これじゃ研究所と自由が変わんないな...、はは...」


 そう言うマリを尻目に欲しい物をひたすらに買っていった。


(目指すは、戦争の勃発している山口県だ)

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