表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/21

マリオネットは拒みたい

2話目 マリオネットは拒否したい


 10年前、世界は二つに大別された、突如世界が拡張され、九州地方と中国地方を割り込む様に魔界が誕生した。


 球体の半分は人間界、後の半分は魔界となり地図も何もかもが改正された。


 ずれてしまった地形はいつも通りの季節を体験することはできず、世界中の至る所で気候が変わり被害が出ている。それに誘発される形で各地に能力者が出現。


 10年も経つ頃には、能力を持つのが当たり前になっていた。


 人間界と魔界の境目では頻発に戦争が起きている。そこにハルカの両親も徴収された結果、骨になり帰ってきた。

 

 そこでこの協会は人間界の援助をしている、元々は兵器の開発をしていた闇の企業が魔界に科学では太刀打ちできないと判断して能力の解析、強化、条件など、様々な面戦争をサポートしている。

 実際に実績もある。


 一週間前にいた育成高校もこの協会に入社する事がゴール地点と考える人たちも多い、カミナなんかもその一人だ。


 お、思ったより協会内は汚いんだな...


「お前にはここで働いてほしいわけ、お前がここにいりゃ協会はお前を匿えるプラス知名度が上がる、お前は安全が保証されて最高クラスの職場で働ける。どうだ?。」


 正直、この男も胡散臭い、強いのはわかるが何が目的なのか読めない。適当に話しておこうか。


「悪くは無いですけど、協会も落ちぶれてますね、俺一人を見つけるのに一週間もかかるなんて」


「よくわかってんじゃん、深刻な人手不足なわけよ、あと仕事をさぼりながらする人がいるからな。」


(絶対こいつだろ)


 魂に住むミヅハが言った、自分の考えている事やミヅハの考えた事が頭に流れ込んでくるがそれにはもう慣れてしまった。


「俺もそれは思った」


「ん?どうかしたか?。」


「い、いやなにもありません」


 そうだ、聞こえてないんだった。注意しよう。


「で、1番不足してるのが俺の所属する人探しの班、お前は調べた感じ体力ありそうだから俺の班はいれ」


 調べた感じ、つまり育成高校とつながりがあると言う事か、だが1番不安なのは...


「は、はぁ、懸賞金狙いとかで殺されたり...」


「あ、そっか、懸賞金決めてるの協会だからお前のクビなんて誰も求めてないぜ」


「はぁ!?」


 つまり...


「それって俺の逃げた1週間は...」


「女々しいぞお前、協会で働くならこんな事で動揺するな!」


「俺が悪いんですね...。」


 男は鳴り始めた電話を取り出して誰かと電話をし始めた。女性の母だろうか甲高い。


「はいはいなになにハンナ所長、うるっせぇ!、3日も1週間も変わらん!」


(面白いやつじゃねぇか!、体が手に入ったら話してみてぇなぁ!)


 叶わぬ夢後苦労さん


(どうかな)


 男が電話を切ってこちらにきた。


「それじゃ、早速初仕事だ」


田舎道

 そう言って、のどかな畦道を歩く。


 そう言えば、この人は俺の名前しってるんだよな?


「先輩の名前って何ですか?」


「あ?、半河間 俊和」


半河間俊和 (はんがまとしかず)


「堅苦しいのは嫌いだからガマさんとかでいいよ」


 ガマさんて...


「それで、最初の仕事って...」


「奇宿者「人形(マリオネット)」を持つ人物を協会に連れて帰る事、奇の能力なら喉から手が出るほど貴重だからな」


 奇の能力、奇の名が付く能力は科学では解明できない物を指す事が多い。他には異などがあるがそれはミヅハが持っていたはずだ。


「なら、ガマさんの能力は?」


「俺は操者「農耕」」


 農耕、バトルでは使えない様な生活向けスキルだ。

 だがそれのスキルが世界を支えている。


 世界が分断され徴兵される事で人手が不足、農耕者のスキルは重宝されて居るだけで豊作になるという優れもの、ここに居るべき能力では無いと思うが。


「いいですね、能力...」 


「バカにしねぇのな、てっきりさせるかと思ってた」


「俺なんて、能力を奪った様なもので...、それにガマさんは強いじゃ無いですか」


その言葉を聞いてルンルンと前を歩き始めた。


「そっかぁ〜、俺強いもんなぁ〜、ふふーん♪」


 現金な人だなぁ、なんでこんなに強いんだろう


(だが強いぜ、俺の爪垢くらいになぁ)


 戦うことはないでしょ


「さ、ついた、ここがマリオネットの家だ」


 何もない平地にポツンと一軒家が建っている。

 中をガラス越しに見ると、足場のないくらい機械人形が乱雑に置かれている。


「説得ですか?」


 ガマがドアをノックすると声が帰ってきた。


「だから行かねえって言ってんだろ!」


 女性の叫び声が聞こえる。家からは妖しい光が焚かれており、その一言を聞いたガマが動いた。


「HOKAKU!」


 言い終わった後に地面に指を突き刺した。地面が崩れ波打つ、やがてそれは手の形になり、家を握る様にして持ち上げる。


「う、うわぁ...」


(農耕ってレベルじゃないなこの男)


「さ、帰ろ...」


(ハルカ、何かくるぞ)


 黒い影が土の手の手首を破壊した。

 マリオネットの家は落下し、半壊してしまった。


「だれだ?」


 その姿を見ると、明らかだった、耳の尖った女性の魔族。


「うほー!、エルフじゃん」 


 目をハートにして近寄るが衝撃波で吹き飛ばされる。


「ガマさん!」


「いってー、大ジョーブ大ジョーブ、ってもなんでここにエルフちゃんがいるんだ?、あーもしもし、ガマ応援求めます敵エルフね、捕獲?、しねぇよボケが!」


 二人のエルフのうち一人は家に入り能力者を連れ出そうとする。


「ハルカ!オメーはマリオネットを守れ!」


「はっ!、はい!」


 歌舞伎発動

 刀を取り出しスローになった世界で自由に動ける体を捻り、一太刀家に浴びせる。


 元々剣術の才能はあった、歌舞伎の能力で遅くなった世界を通常通り動ける。つまり通常の10倍速の斬撃が飛ばせる。


(その練習をしすぎて山の木を切り倒したせいで見つかったのだけれど。)


 切り落とした家から侵入し、住人を見つけた。


「だ、だれだお前!人の家をめちゃくちゃにしやがって!」


「それはすいません!」


 マリオネットは部屋のベッドの下に逃げ込んでいる。


 エルフが二階に駆け上がり目の前に来るなり、ハルカをとんでもない速さで壁に吹き飛ばす。


 は、はやい!


「う、うおお!、お前ら味方じゃないんかぁい!、」


(ダッセェなぁ、エルフのこと侮りすぎだろ。)


「いってて、正直、ハーブ引いて楽しそうにしてるのがエルフかと思ってたよ」


(実際は黒い事しかしねぇ売女どもだ、体の一つや二つ汚されてもなんとも思わねぇ傭兵どもの集まりだぜ)


「あーあ日本男子のピュアな心が傷付いた」


(よく観察しろよぉ、あの豊満な肉体から繰り出される一撃、体に纏わり付く関節技、隠された口から聞こえる甘い音色!、)


「戦わせる気ないだろお前!」


「あの人間だれと話してるんだよぉ!、助けてくれぇ!」


 歌舞伎発動

 スローになった世界で思考を巡らした。


「恐らく身体強化系の能力、力者「脚」の部類か...、ガマさんの戦っている相手は腕か操者「衝撃(インパクト)」の方だな...。」


 学校にいた奴らがその能力を持っていた、苦戦をしていたが剣術だけで勝てる相手だったし、今なら歌舞伎がある。


(人間とエルフ比べんなよ、基礎が違う、人間兵の34倍は強い)


「きりのいい数字にしろよ」


 刀を振りかざし斬りかかる。歌舞伎が解けてエルフが距離をとって屋根に登る。


(うっはーいいローアングル!、殺すの勿体無いとおもわねぇのかよ!)


 たしかに、このアングルは男子の夢がある


「エルフは上層部でエロオヤジたちにおもちゃにされてるからな、ここで殺した方が身のためでしょ傭兵なら尚更」


「へぇ、私達が傭兵だって知ってるんだ」


 その可憐な声に少し惚けてしまった。


「今知ったよ」


「そいつ殺さないと生計立てられないから手を引いてくれないかなぁ?」


「実はそれ俺も」


 身軽に屋根に飛び移り刀を構えた。


「え!、殺すの!?」


「あんた察してくんない!?」


 とてつも無く早い蹴りがハルカを襲う、鉄のブーツは切れず、何度も弾かれる。

 

 見切れないほどではないがそれでも圧倒的に早く、一つ防いでも二つ目が腹部や腕を攻撃してダメージを与えてくる。


 歌舞伎を使用して斬りかかったがそれでも俊敏な脚は避ける。


「目的は、なんだ」


「傭兵の口は金剛石より硬いのよ」


ガマ編

「おーおー、やってんねぇ」 


 ガマが手袋をして鎖鎌を取り出した。ヌンチャクの様に振り回した後、片方を投げ飛ばしたが衝撃波によって戻された。


「刃物に触れれるってことはインパクトか、ちと厄介だな。」


 能力を確認するための鎌だ、すぐに腰に戻して体術で迎えようと構える。


「傭兵の怖さは十分知ってるから、すぐ終わりにさせてもらうぜ。」


 ガマは地面に手をつき、農耕を発動した。


「おいえーっと、ハルカ!、」


 飛んできた声に返事をする。


「はい!」


 脚のエルフが攻撃してきた瞬間、地面が揺れて屋根が崩れる。


歌舞伎発動


 崩れ落ちる瓦を踏み回り込んだ。


 空中で身動きの取れないまま飛んでくるエルフを横から斬り落とす。


 エルフの体を案じて逆刃で切り伏せたがその衝撃でエルフは地に伏す。


「これだから雑魚能力者は....。」


「あ?、てめぇ、今なんつった?」


「雑魚能力はいらないって言ってんの」


「なんだと?農耕者なめんなよ」


「お前には言ってないのだが...」


 地面に手を置き開拓する、足場が歪みまともに立っていられない。


「これが農耕者...?、操者「地」の間違いだろ」


 次々と出て来る土の像を衝撃で破壊する、


「ガマさん!、マリオネットの安全を確保しました!」


「おうけい!」


 地面から無数に尖った土の槍が飛び出し、エルフに向かって発射される。


「本来相性的にハルカに任せたかったけど、先輩が泣きついたら調子乗らせちまうよなぁ!」


 槍は衝撃波によって簡単に壊されてしまう。


「あらまぁ、だけど単調じゃあ、農耕者(ファーマー)で勝負は勝てねぇのさ」


 壊された槍の後ろに隠された小さな槍がエルフを貫いた。一瞬の隙をついて四肢全てに攻撃を喰らわせ、戦闘を不能にした。


「つ、強!、なんなんですかあの人!、本当に農耕者!?」


マリオネットは驚きを隠せない様だ、実際のところ俺もなのだけど。


「本当驚きだよね...」


「そこの人間、私を、殺せ!」


 マリオネットに手当てをされ包帯に巻かれたエルフが言う。


「殺す理由が見つからない、このまま手を引いてくれれば済む話だし」


「お前...、売らないのか?、エルフを」


「そりゃ金にはなるだろうけど、後味悪いのは勘弁なんだ」


「おーいハルカー!そっちのエルフはどうだー?」


「絶命、確認しました!」


「お前!、傭兵に恥をムグッ!?」


ハルカがエルフの口を押さえた。


「そっか...、りょーかい、こっちは生きてるから手当てするわ」


 ガマは地面に固定されたエルフに歩み寄った。


「流石に衝撃を発生させる部位が使えなくなれば無力だろ」


 頭を勢いよく振り、エルフは衝撃波を発生させたが、ガマはそれを簡単に避けた。


「あっぶなぁ」


「これが、くっ殺という奴か...」


「あっ、知ってんのね、もしかして漫画大好きな感じ?」


「本音はな、だが戦争は終わらないしここから生きて帰ってももう仕事は回ってこない」


「なら人間界で逃げろ、お前みたいなやつ匿う奴らもいるみたいだし、味方と一緒に逃げろ」


「今、絶命したと言ってたろ」


「生きてるさ、あいつは優しいからな、クラスメイト殺したなんていうのも嘘だろ」


「そちらの事情は知らんが、後悔するぞ、お前らは」


「無能はいつでも無能って訳じゃねぇぜ?」


「見直すよ...」


空から飛んできた氷の攻撃にエルフは心臓を貫かれた。協会の服装をした戦闘員だ。


「アリ、ア、逃げろ...」


 必死に家に手を伸ばす。


 弱々しいその姿にガマの拳が震える。


「おい!、何も殺す必要はないだろ!。」


「だからといって活かす必要もない、おもちゃにされ壊されるのが馬鹿なお前にも見えているだろう」


 その黄色い衣に光が反射され、顔は見えない。


「だったら匿えば...」


「これは協会のご意向と捉えろ莫迦が!」


「んだと...? チッ!」


ガマはマリオネットの家を全壊させ、アリアという名のエルフを土に隠した。


ハルカとマリオネットが姿を見せた。


「お前が英雄か...、死線をくぐった顔をしているが、ミヅハは落ちぶれていたのだろう」


(言われてるぞ)


(こいつ弱いから興味なし)


「わ! 私はどうなるの!?」


 無様にハルカに抱き付くマリオネットをみた。


「もちろん温い部屋で三食毎日食って6時間能力使うだけだ。」


 悪魔的な笑みを浮かべる


「いやダァァァ!! みたハルカ? あの顔! 絶対私殺される!」


「それは心配すんなマリオネット、俺が保証してやる。」


ガマに言われて少しホッとする。


「人の名前を能力で呼ぶなよなぁ...」


素朴な疑問が浮かんだ。


「じゃあ本名何なの?」


「網田マリ」


「マリオネットは僕たちが連れて行きます!、来てもらったところ悪いけど引いて貰えますか?。」


「マリってよべよ!」


「入ったばかりの新人に言われてやんのープププ!」


「これが協会のトップ6か...落ちたもんだ」


 そのガマを尻目に戦闘員は引いて行った。


 ガマは地中に隠しておいたエルフを出し、顔をみられても困らない様に服を着せた。


「先輩...、嫌な奴だったけど、なんで...!」


「さ、供養だ、手を合わせろ」


 ガマは墓を作り、四人で手を合わせた。


「さも同然の様にいるけど、俺が殺されたら危なくないの?。」


「この状態で殺しに来る方も頭が危ないぜ、三体1で勝てると思うかよ」


(こ、殺そうかと思ってた...)


 アリアが片手剣をコソリと腰に戻した。


魂内にて

 エルフの魂がその地に留まろうとした時、いきなり引っ張られハルカの肉体に入った。


「こ、ここは...。」


 真っ暗な部屋だ、不思議な感覚がする。


「よぉ、エルフのガキ」


 声のする方を見るとミヅハが座って待っていた。


 エルフは腰を抜かして倒れた。


「嬉ションか?、俺様のファンの様だな」


「み、ミヅハ様...、は、はぁ...」


 恐怖して息ができてない。


「はぁ、おいハルカ、説明してやれ」


(はいはい、ここは俺の能力 宿者「迷魂」、俺の目の前で死亡した者の魂は僕に引き継がれてここに止まる)


「ず、ずっとミヅハ様といなきゃいけないの!?」


「嫌そうな顔するんじゃねぇよ、傷付いたろこら!」


「ヒッ!、ご、めんなさい...」


 蛇に睨まれたカエルの様に隅で震えている。


「そんなつもりで言ったんじゃないんだが」


 不服そうに肘をついて寝そべっている。


(いいや出れるよ、あんたの願いを僕が叶えたらあんたの能力を奪って成仏できる)


「1人1個の能力を多数持てるってこと!?、強すぎるじゃない!」


(それで、願いは何?)


「アリアの胸を揉みしだくことかしら」


(はい、むりでーす)


「無理やりしたら抵抗しないわよあの子。」


(それはあんたがするからだろ!)


(ま、それはそれでなんでマリオネットを狙ったの?)


「うーん、ま、死んだから言っていっか、ミヅハ様を呼び起こすため、マリオネットは作られた肉体に魂を宿らせて意のままに操れる」


「ケッ!、胸糞悪りぃ」


(そう言うことか、魔界も考えてるんだな)


「なんだか今魔族を馬鹿にされた気がする」


ガマ編

「さ、終わりだ、エルフお前はどうする」


 ガマが立ち上がりアリアに話しかけた。


「人間界で、その匿ってくれる所を探す、あなた達は憎いけど、私たちが原因だし」


「了解、そのパラダイスは戦争地域の近くにあるらしいからそこまで行くといい、ここからだと、山を伝っていくのが安全かもな」


「ありがとうございます、なんとか、探してみせます」


「ご武運を祈るよ」


そういうと、アリアは歩いて行き、見えなくなった。


「さ、帰ろう」


「ねーえー、三食ってなにー?、煮干しは三食に入らないよねー?」


「黙って歩け!」



協会本部にて

「今日から入社した、カミナとハルカだ」


「カミナです」


慎ましくお辞儀をしたが隣のハルカは気が乗らない。


「ハ、ハルカです...」


お辞儀をするとこちらを見て微笑んだ。


(な、なんでお前がここに居るんだよー!)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ