第5話 初めてのドラゴン
美里を吹き飛ばした所から緑色のドラゴンが現れた。
「何?ドラゴンだと。雪、美里を頼んだ逃げるんだ。俺が囮になる。」
「くっ。崇。ごめんね。」
雪は涙を浮かべて美里を抱えて逃げようとする。
崇は必死にドラゴンを制止しようとする。
「ふん。人間風情が皆食料にしてくれるわ。」
コボルトを食べに来たドラゴンと偶然、鉢合わせしたのである。
今までにもドラゴンと遭遇して命を落とした冒険者は珍しくない。
ドラゴンは爪で崇の剣を薙ぎ払うと尻尾で美里同様に木に叩きつけた。
崇が木にぶつかった拍子に兜が外れて優しそうな青年の素顔があらわになった。
雪は美里を投げ捨てて、命からがら逃げようとする。
「仲間を見捨てるか。哀れな人間よ。」
とドラゴンは高笑いをした。
「さてお前はどうするんだ。人間よ。」
ドラゴンはそう言うと隼人の方にゆっくりと近づいてくる。
あまりの恐怖に隼人は腰を抜かして動けなかった。
ドラゴンはどんどん近づいてくる。
隼人は目を閉じた。
隼人はお腹に痛みを感じて、その後、頭と背中に激痛が走り、骨が砕けたような音がした。
2人と同様に木に叩き付けられたのである。
「さてと、最初の女から食べるとするか。」
ドラゴンは口から火を吹き草に火をつけた。
「嫌だ。やめてくれ。お願いだ。」
俺は痛みを堪えて懇願した。
「お前も後で食べてやる。安心しろ。」
ドラゴンは高笑いをして言った。
ドラゴンは美里を掴んだ。その手をそのまま火に近づけようとした。