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プロローグ?

 平凡な高校生、柊修平はある日女の子をかばって交通事故に遭ってしまう。そんな彼は異世界へ転生し、そこでは”魔王”に母親を連れ去られた少女に出会う。

 そして彼は内なる自分”勇者”として覚醒し、憎き”魔王”を討伐し”聖界”を取り戻すべく、3人の少女を連れて旅へ出た。今、少年と少女の冒険活劇が始まらない。

 俺は柊修平(ヒイラギシュウヘイ)。しがない高校生だ。いや、だった、というべきか。

 俺が登校していたある日のことだが______

「ふむふむ、頭脳系の職業は・・・・向いてはおらん」

 ボールを追いかけて飛び出した女の子を見つけて______

「物を持って戦うのも、適性がないのう」

 その刹那、俺の体は反射的に動いて____

「お主の職業は”格闘家”じゃな!!」

「人の話を聞けッ!!何勝手に俺の職業決めてんだよ?!」

 目の前のジジィの傍若無人な行動に、思わず俺はちゃぶ台をバァン!と叩いた。つまり言ってしまえば、現実では死んだのだ。ああ、俺は死んじまったと思ったが見渡す限りの雲の海に、ぽつんと置かれたちゃぶ台に向かい合って、さえないジジィと向かい合ってる。そして神様の前で審判を下され、異世界転生しようとしている_____はずなのだが。

「なあ、男主人公が異世界転生って言ったら”異世界で必死に木の棒振ってたらハーレムになりました”って感じで劇的ビフォーアフターだろ?!なんでよりによってオーソドックス過ぎてストーリー性に欠ける”格闘家”なんだよ!!微妙に弱すぎないせいで地味に活躍しにくいじゃねーか!!”村人”とか、”運び屋”とか、一周回って”勇者”とか”魔王”とかにしてくれよ!!」

「いやいや、正直お主の生きる世界が変わったところで、お主の思う展開にはならんぞい。というかそんな阿保の考えたような単純に長ったらしいタイトルのノベルなど、しょーじき見飽きとるのじゃ。もう少し頭をひねれ。あ、そんなタイトルを思いつく時点でお主は頭をひねれない阿保じゃな」

「このジジィ・・・・・・・・・!!」

 くぅ・・・・確かに俺は万年赤点の大馬鹿野郎だが・・・・・いちいち俺の神経を逆なでしやがる・・・・・・!!

「というかの、”魔王”の枠は生憎埋まっとる。ついでに言えば”勇者”も”村人”もな」

「・・・・・・・・・は?」

 俺は聞き捨てならない単語を耳にし、抱えていた頭を上げた。

「はあ、じゃからの、」

 目の前のジジィ、つまり神様は溜息をついてこういった。



「”魔王”が主役じゃから、お主の出る幕はないと言っているのじゃ」



「はあああああああああああああああああああ!?」

ばたばたばたばた!!どんがらがっしゃーん!!

「ふっざけんなジジィ!!どこの何奴がその枠かっさらいやがった!!女の子助けて死んでもこれなら、

奴は世界でも救ったのか?!」

「生憎じゃが、”その子”は生まれも育ちもこの世界じゃ。しかも救うどころか、一回滅ぼされとる」

「なっ・・・・・・」

 ざわ・・・・・ざわ・・・・・・ざわわ・・・・・

「ほれ、心内環境を擬音語で表すな。余計頭が悪く思われるぞ。せいぜいお主は格闘家やって無駄な努力をした挙句、魔王にでもひねりつぶされてしまえ」

「え、ちょ、ま、うわああああああああああ!?」

 今まで座っていた雲の床が突如ぶち抜かれ、そこから真っ逆さまに落ちていく。こうして俺の異世界転生は無事完了し、そしてそのまま___________









 こうして一人の少年を見送った”転職の神様”は、あきれたような、肩の荷を下ろしたような面持ちで肩をコキコキと鳴らした。

「やれやれ、たま~にいるんじゃな。ああいう”チート能力にあこがれた馬鹿者”という輩がな」

 そういって”転職の神様”は哀れなまなざしで柊の落ちた穴の向こう側を覗き込んだ。そこには一つの大陸が二つに塗分けられていた。


片方は金色に彩られ、一見輝かしく見える世界。

片方はドス黒く塗りつぶされ、根暗そうに見える世界。


「いいか少年。確かに初めから強大な力を持ち(チート能力で)強者を屠ってゆく(無双する)・・・・・それは誰もが憧れるであろうおとぎ話じゃ。じゃが・・・・・・・・」

 神様は眼をつむり、やれやれと首を振った。




「それを自分だけが手に入れられるわけではないということ、そして手にしたところで幸福が訪れるわけでないことをゆめゆめ忘れるな」











~ 異世界で必死に木の棒振ってたらハーレムになりました ~  完

次回こそ本当にプロローグです。

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