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討伐の旅に出る事が決まったけど、指揮官は旅をするならジョブに就くべきだ、と力説する。
魔王は魔王のままで、とか言ってるけど、そもそも魔王ってジョブなんだっけ?
「我が君は唯一無二の存在です」
インジビブル配下がいちいち囁いてくるけど、魔王である僕にも気づかれない程のスキルってどんたけなんだろうか。
「お褒めに預かり光栄です、我が君」
褒めてないと思うんだけど。
まずは指揮官とヒロインのジョブとか言ってるけど、いやいや、余計な事しないでよー
危ないよー
「私に護られているジョブでいいのではないか?」
んーいつもこの娘には意図が伝わらないみたいだ。
勇者は勇者でジョブチェンジしたいとか言ってるけど、今勇者がチェンジしたらこの世界には勇者がいなくなるんじゃないか?
あれ?そうしたら僕も消えるんじゃなかったっけ?
最初に渡された初級魔王入門にそんな事書いてあった気がするんだよね。
前書きがすごく長くて殆ど飛ばして読んでたんだけど、たしか勇者とは対の存在とか書いてたんだよね。
赤い太字だったから目に入っただけなんだけど。
クリア特典のエンドが見れなくなるなー。
なんて思ってたら指揮官が
「勇者補正なくなるよ?」
とか言ってチェンジから勇者を引き止めてた。
こちらを意味ありげにチラ見しながら。
「我が君、解釈が大分違います」
ヒロインも意味ありげにこちらを見てるけど
「コーラル以外は護らないぞ」
だってこれはもう僕の範疇を越えた世界だからね。
ちょっと寂しいけどさ。
〜・〜・〜
とりあえず神殿を探しに旅を続ける僕達
「神殿の場所ならすぐに見つけて参りますが」
いやいや、そんな事したら冒険の意味なくなるでしょ。
こうやって探すのも冒険の醍醐味なのに。
「ご用命の際はいつでもお声がけください」
そろそろヒマになってきたので、と小さく捨てゼリフ吐いて消えていくインビジブル配下。
ヒロインが、魔物にトドメを刺さないと経験値が入らない事に気付いた。
「なんでよー!」なんて絶叫しているところに魔術師が、
「なら、ギリギリまでライフを削って最後にトドメを刺してもらうというやり方でいきましょうか」
なんていう提案をしている。
低レベルが一気に経験値を入手するにはすごく建設的な意見だと思う。
思うけど
「コーラルに触らせるわけにはいかん」
だから、キミはこの世界に、以下略。
視線で瀕死の魔物を消す。
お読みくださりありがとうございますm(_ _)m