聖戦のヴァルハラ
「索敵完了、敵エリート重戦車6、エリート中戦車6、エリート自走砲3、エリート戦闘機6、エリート爆撃機3」
エーリカの目の前に光学パネルで索敵結果が表示され、耳に付けたヘッドホンから索敵結果の音声が流れてきた。
「楔形陣形、航空隊は敵航空隊を排除しろ!」
「ラジャー、みんな行くよ。あたしに付いてきて」
先陣を切ってA-10 サンダーボルトⅡが敵戦闘機編隊を捕捉し、後ろから紫電改とメッサーシュミット Bf109が続き、そのまま敵戦闘機編隊に突入した。
「もらった!」
敵戦闘機とのドッグファイトが始まるが、レベルの差であっという間に終わってしまう。
「歯ごたえ無しね…。もっと私を楽しませてよ」
友軍機のユンカース Ju87 シュトゥーカとF4Fワイルドキャットも敵爆撃機編隊を同じようにあっさり撃墜してしまった。
「よし、制空権を取った。横隊陣形、自走砲隊、前面の敵を一掃しろ!」
光学パネルのコンソールをタイプして後方に待機させていた8.8cm FlaK 18とM40 ビッグショットに敵戦車隊と敵自走砲隊の攻撃を指示する。
「Ja, es ist Seine Höhe.」
ドイツ語で答える8.8cm FlaK 18がクリティカルモードが発動したらしく召喚魔法の様に8.8cm砲を多数召喚し、一斉発射する。
「全砲門一斉発射、ファイエル!」
前面に横列陣形で展開していた敵エリート重戦車部隊に着弾すると、六輌中、四輌が擱座し、ニ輌が大破する。
「oh、援護しマース! 全砲門、ファイア!」
8.8cm FlaK 18のクリティカルモードの攻撃が決まり、金剛の援護攻撃モードが自動発動する。
金剛の一斉艦砲射撃で大破状態で残存していた二輌の敵エリート重戦車が擱座した敵エリート重戦車部隊が全滅する。
「楔形陣形、戦車隊突撃、航空隊はそれを援護しろ!」
「敵凹角陣形を展開」
「レベルはこっちが上だ、切り崩せ!」
凹角陣形で前進してくる敵エリート中戦車部隊にエーリカはレベル押しで切り崩しを図った。
「一発で決めてあげるわ」
90式戦車を中央にした楔形陣形の戦車隊が突撃する。
その時、残存していた敵エリート自走砲の先制攻撃モードが発動し、突撃するエーリカの戦車隊に砲弾が降り注ぐ。
一瞬焦ったエーリカだったがレベルが高かったおかげでダメージは1~5に止まり、防御能力や回避能力の高さでMISS判定になった。
「支援します」
運良くB-2 スピリットの支援攻撃モードが発動して対地ミサイルで敵エリート自走砲三輌を撃破する。
そのままさっき攻撃を受けた90式戦車始めとする戦車隊が敵エリート中戦車を接近戦で攻撃し、一撃で撃破していく。
「敵勢力を殲滅しました残存勢力はありません」
イナンナの戦闘終了ボイスでイベント第五ステージクリアを知る。
一段落してエーリカは、項垂れる様に10式戦車のキューポラにもたれ掛かった。
「いよいよ、次は最終ステージだな。今回はどんなボスかな。まぁ、全体のHP消費量や弾薬の残弾も余裕あるからエース級重航空戦艦が来ても大丈夫そうだな。おっと、慢心は禁物かメインより護衛のサブの方が手強い可能性もあるしな」
手早く手持ちのアイテムで補給を済ませたエーリカは、イベント最終ステージのポイントに向かって進軍を開始する。
が、進軍といっても兵器や軍人の擬人化美少女をコンセプトに作られたエーリカのNPC達はエーリカが乗る10式戦車に歩いて付いてくるパターンなので見た目は一個小隊しか見えない。
だが、NPC達の能力で考えたらエーリカの小隊は陸海空の統合編成された師団規模で行動していると言っても間違いはなかった。
「ムスペルヘイムの北部、ムスペル山脈の麓か…。もうすぐだな」
10式戦車に備え付けてあるナビでイベント最終ステージのポイントに近付くとそこには巨大な城壁で囲まれた司令部らしき建物が見えてきた。
「あれだな」
聖戦のヴァルハラの春イベント「進撃のムスペルヘイム攻略作戦!!」最終ステージのフィールドに侵入すると警告音が鳴り響き、最終ステージの戦闘フェイズ発動が光学パネルに表示される。
イベントステージ設定で強制的に10式戦車が停止し、後ろから付いてきたエーリカのNPC達がエーリカを中央に横列陣形で待機する。
「索敵を開始します」
副官NPCのイナンナが索敵開始をエーリカに告げると、突然地響きが起こり、城壁にある巨大な鋼鉄の扉が左右に開き、多砲塔の巨大な超重戦車が姿を現した。
去年の年末イベント「猛烈、セレニティ突入作戦!!」のラスボスが三段式航空戦艦六隻だったことを思い出して今回は戦車系ボスだと思ったが、次の瞬間それは浅はかな予測だと思い知る。
六輌の超重戦車が楔形陣形でゆっくりエーリカ達の方に進んで来たかと思うと、更に大きい衝撃波の様な地響きが起こり、城壁の上に巨大な赤黒い物体が現れる。
それに気付いたエーリカが眉を寄せると次の瞬間その物体が顔を覗かせ、エーリカ達を見下ろした。
「えっ、ぅわっ、まさか…」
まさかと思ったがその巨体は紛れもない巨人だった。
赤黒い筋肉質な身体付きはオーガを連想させるが、皮膚が無く筋肉繊維が剥き出しの姿は理科室の人体模型の様な姿で、エーリカにとっての印象はでかいの次にグロテスクという感じだった。
「嘘だろ、まさか巨人かって、見た目理科室の人体模型だし。まあ、過去のイベントでラスボスがドラゴンとか変型ロボとかいたから有りと言えば有りだけど…」
「敵エリート超重戦車ケルビム6、巨人フルングニル1」
「あの巨人、フルングニルって名前あるんだ。にしても、でかいなこいつ」
イナンナ達はNPCなだけに巨人フルングニルが現れても眉一つ動かさず、驚愕の表情もなかった。
エーリカの方はPCなので内心驚き放しなのだったが、冷静に対処すればギリギリでも勝てると思い、右手を前に出した。
「特殊戦術発動! 機動防御。楔形陣形」
エーリカの特殊スキル「機動防御」で全員の防御力と回避力を上げて攻撃優先の楔形陣形を選択する。
攻撃優先にすれば戦闘中のNPC達のスキル類が発動しやすくなることを前提にしたのとレベル修正の力押しもプラスさせた形だ。
「心配なのはフルングニルの攻撃力と耐久性がどれだけあるかだけど、念のためにあれも使っておくか」
光学コンソールパネルを開いてエーリカは搭乗する10式戦車の弾種を変更する。
戦闘フェイズが始まり、紫電改を中央に六機の航空機編隊がフルングニルとケルビムに空爆を開始する。
「敵に航空隊が居なければ制空権は取ったも同然、後はどれだけ早くケルビムを一掃してフルングニルに攻撃を集中させられるかだ」
「フフフッ、そんなにガッ付かなくても、お姉さんが遊んであ・げ・る~」
ユンカース Ju87 シュトゥーカのクリティカルモードが発動し、連動して技スキル「メテオグラナーデ」が発動する。
敵直上急降下による特殊爆弾のピンポイト爆撃は分厚い装甲で守られたケルビムに風穴を開け内部の誘爆を誘い、中破させる。
「援護するぜ」
ユンカース Ju87 シュトゥーカのクリティカルヒットにより、A-10 サンダーボルトⅡの援護モードが発動し、空対地ミサイルが発射される。
中破したケルビムに空対地ミサイルが命中し、大破、更に擱座する。
それを見たエーリカは、超重戦車でもレベル押しで何とか切り崩せそうだと確信する。
残ったケルビムが対空機銃でエーリカの航空隊を迎撃するが、回避能力の高さと元からの俊敏性で対空防御すら成っていなかった。
「自走砲隊、一斉射撃」
「了解、ターゲット捕捉。発射」
「こちらも援護する。ふっ、それで隠れたつもりか」
光学コンソールパネルをタイプして敵の行動より早く指示を出すエーリカ。
ヤークトティーガーのクリティカルモード発動にリンクするかの様にISU-152が援護攻撃モードが発動する。
ヤークトティーガーのクリティカルヒットと攻撃スキル「誘爆上昇」効果でケルビムの弾薬が誘爆し、大破すると更にISU-152の援護攻撃モードで発動した精密射撃で止めを刺され、擱座する。
「後四輌、他の自走砲隊の通常攻撃で小破しているなら、ここは一気に…空母機動部隊の攻撃開始!」
「了解、空母瑞鶴、抜錨します! 五航戦の実力、見せ付けてやるんだから!」
「第一次攻撃隊発艦!」
瑞鶴、ニミッツ、シャルル・ド・ゴールからNPCと違う小型の艦載機を発艦させ、ケルビムに攻撃を仕掛ける。
ケルビムも対空機銃で迎撃するが俊敏な艦載機の波状攻撃で思う様に応戦できず、着実にダメージが加算されていく。
「До свидания.」
「全砲門、開けっ! 撃ち方…始めっ!」
アドミラル・クズネツォフと武蔵の援護モードが発動し、対地ミサイルと砲弾が中破した四輌のケルビムに降り注ぎ大破、更に擱座する。
これで敵エリート超重戦車ケルビム六輌全てを殲滅したことで残るは巨人フルングニルだけとなり、エーリカは光学コンソールパネルをタイプして待機させていた戦車隊を突入させる。
「あと少しだ、みんな頑張れ!」
「では、少しだけ、戦いを教育してあげましょうか~」
「そう…地獄が見たいのね貴方…フフッ」
エルヴィンの攻撃スキル「電撃戦」が発動し、全NPCの攻撃力、命中率、回避力が急激に上昇する。
更に90式戦車の攻撃スキル「戦車突撃」効果で全NPCの攻撃力、防御力が上昇する。
擱座したケルビムの残骸を横に通り過ぎた戦車隊がフルングニルに一斉砲撃を開始する。
後方で指揮を執るエーリカの所まで爆風と衝撃波が届くが、エーリカは微動だにせずその光景を見据える。
「くらぇ! あばよ、楽しかったぜ」
M1A2エイブラムスのクリティカルモードが発動し、フルングニルの右足に砲弾が直撃する。
ぐらぐらとフルングニルの身体が揺らぎ、片膝を地面に付ける。
「援護する。ターゲットロックオン、発射!」
F-15改弐の援護モードが発動し、地対空ミサイルが発射され、フルングニルの左肩に命中し、遂にフルングニルが小破する。
他の航空型NPC達もフルングニルに攻撃の隙を与えない様に攻撃を仕掛け、戦場は爆煙で覆われると、ルクレールが主砲を構え、フルングニルに照準を合わせた。
だが次の瞬間、巨大な拳がルクレールを直撃し、大破しながら数百メートル後方の地面に転がった。
「グゥゥ、何でこの私が…」
更に爆煙から現れてた手がフルングニルの頭上を飛行していたF4Fワイルドキャットの足を掴んで放り投げた。
放物線というより、直線で中を飛ぶF4Fワイルドキャットが、沿岸で展開していた武蔵に直撃して中破する。
「まだだ…まだこの程度で、この武蔵は…沈まんぞ!」
「やばいなこれ…。主砲発射準備、攻撃スキル発動「必中射撃」。目標フルングニル、撃てっ!」
光学コンソールパネルをタイプしてエーリカが搭乗する10式戦車を遠隔操作で主砲を発射する。
10式戦車の主砲から放たれた砲弾が直線を描いてフルングニルの胸に直撃し、爆発を起こすと、銀色の光がフルングニルの身体に広がり、凍結した様に動きが止まった。
「全空母艦載機発艦、全艦船は遠距離艦砲射撃、残りは通常攻撃を続行、負傷したNPCはメディカルキッドで回復、急げ!」
「了解、第二次攻撃隊、全機発艦!」
「Ja, es ist Seine Höhe.」
「腕が鳴るね。全砲門、ファイア!」
さっきより早く光学コンソールパネルをタイプしてエーリカが即断で命令を下すと態勢を立て直したNPC達が命令通り、指示された攻撃を続行する。
「アワーグラス砲弾、課金アイテムの一つで敵の動きを一定時間止めることが出来るけど、高レベルのNPCを一撃で大破させるなんて驚いたな」
アワーグラス砲弾で動きを封じられたフルングニルはNPC達の攻撃をで中破、更に大破していく、エーリカも抜かりなく砲弾の効き目が切れる前に次弾のアワーグラス砲弾を発射し、完全に動きを封じてしまう。
「後少しだ、頑張れみんな…」
連携を崩さず必死に攻撃を繰り返すエーリカ達だが、次の瞬間その均等が崩れる。
フルングニルを大破させるとフルングニルのエンチャントが自動発動し、攻撃力、防御力、回避力、状態防御力などが一気に上昇する。
「クッ、トラップか…。防御スキル発動「対戦防御」!」
フルングニルの攻撃に備えて全NPCの防御力を上昇させる防御スキルを発動させるエーリカだが、フルングニルは上体を起こして、いきなりジャンプし戦車隊の包囲を飛び越え着地する。
衝撃波がエーリカの所まで伝わるとメッサーシュミット Bf109とユンカース Ju87 シュトゥーカが挟み撃ちにする。
攻撃は当たったが、フルングニルが放った拳がユンカース Ju87 シュトゥーカに直撃し、そのまま地面に激突して中破し、メッサーシュミット Bf109も直撃は免れたが擦って小破する。
同じ様に地上からチャレンジャー2、ルクレール、レオパルト2、T-90が必死に応戦するがフルングニルに踏みつけられ、大破したり、捕まえられて沿岸にいたアドミラル・クズネツォフやシャルル・ド・ゴールに投げ付けられて共に大破させられ、爆風に巻き込まれて金剛、ニミッツが中破する始末だった。
「主砲発射準備、攻撃スキル発動「必中射撃」。撃てっ!」
再び10式戦車からアワーグラス砲弾が放たれ、フルングニルの胸に直撃するが、強力なエンチャントの効果でMISS判定になる。
「クソッ、ダメか」
奥歯を噛み締めて舌打ちするエーリカ。
既に戦車隊、航空隊は全員大破し、自走砲隊は弾薬切れで殆どが中破。海上艦隊も小破の武蔵を残して全員大破。直属の護衛もイナンナとエルヴィンを残して大破し、エーリカの統合師団はほぼ壊滅状態に陥っていた。
その時、フルングニルがエーリカを捉えて凄い勢いで向かってきた。
8.8cm FlaK 18、ヤークトティーガー、ミズーリがエーリカを護ろうと大破した痛々しい状態で前に出ると、最後の力を振り絞って立ち向かうが、フルングニルに呆気なく蹴散らされる。
なんとか光学コンソールパネルをタイプして10式戦車を緊急退避しようとするが、フルングニルの拳がエーリカを襲った。
間一髪の方向転換で回避するが三度目の回避に失敗し、10式戦車が横転して外に投げ出されてしまう。
固い地面を転がり、止まると片手を尽きながらダメージの痛みが続く身体を起こした。
「痛っ、うぅぅぅ」
ゆっくりとフルングニルがエーリカに近づくと、右手を伸ばしてダメージで動きが鈍ったエーリカを捕まえる。
握り潰される前に拳の中で必死に藻掻いて逃げだそうとするが、フルングニルは跪いた姿勢でエーリカをそのまま顔に近付け、観察する様に剥き出しの目で見つめる。
グロテスクな剥き出しの筋肉繊維の顔は無表情で気持ち悪く、恐怖でエーリカの表情が硬直する。
「このままだと喰われる。一か八かこれに賭けるか…いや、良くて相撃ち」
エーリカは藻掻きながら腰のベルトに吊した柄付手榴弾に手を掛ける。
絶体絶命の状況にも諦めず必死に活路を見出そうとするエーリカの横を何かが疾風の様に通り過ぎたかと思うと、エーリカを掴む右手から鮮血が滲み出し、フルングニルが低い呻き声を上げる。
「イナンナっ!」
横にやったエーリカの視線の先には、マシンブレード「ラグナロクツヴァイ」を構えるイナンナがいた。
フルングニルがイナンナを捉え左手で殴り付けたが、イナンナはフルングニルの巨大な拳をラグナロクツヴァイで受け止め、居合いの力を流す形で受け流し、反動を利用してフルングニルの腕に飛び移ると、素早く駆け上がり、首筋の動脈を深く斬り裂いた。
大量の鮮血が飛び散り、フルングニルが蹌踉めいた。
その時、フルングニル指の締め付けが緩んだことを感じ取ったエーリカは透かさず締め付けていた指から無我夢中で脱出するが、蹌踉めきながらもエーリカを捉えようとフルングニルが左手でエーリカの両足を掴んだ。
そして、そのままエーリカを喰らおうと巨大な口を最大に開いた。
「クッ、グゥ…。ニードルポイズン! 吶喊!」
逆さの宙吊りに成った状態でエーリカは、ベルトの柄付手榴弾を取って口でピンを抜くと、攻撃スキル「ニードルポイズン」で猛毒を柄付手榴弾に付与して、更に「吶喊」で必中と攻撃力を上げると柄付手榴弾をフルングニルの大口の中に放り込んだが、エーリカも口の中に放り込まれてしまう。
舌の上で藻掻いて飲み込まれるのを必死に抵抗するエーリカが投げた柄付手榴弾が、フルングニルの舌の上を転がり食道に落ちていって一呼吸すると、胃の中で爆発し、付与したニードルポイズンの毒針が胃の中で撒き散らされ、猛毒が蝕むと、逆流してきた凄まじい爆炎と爆風がフルングニルの口の中でエーリカを襲った。
少し白目になったフルングニルが堪えきれず断末魔の様な唸り声を上げてエーリカを吐き出した。
「うわぁぁぁぁ!!!!……」
宙を舞うエーリカの背後に柔らかい物が当たったかと思うとそれはイナンナだった。
フルングニルの戦闘であちこち深手を負っていてボロボロになっていたが、イナンナが居たおかげでNPC達の全滅やロスト(戦死)は免れたが、勝敗についてはぎりぎり「戦略的勝利B」かもしれないが、「戦略的敗北C」もあり得る。
でも、それはそれで自分の戦略の甘さと未熟さだから仕方ないと思った。
「まあ、良いさ、みんなロストしなかったんだから…ありがとう、イナンナ…」
このまま落下して地面に激突すれば二人共ただでは済まないのだが、今のエーリカはそんなこと気にしていなかった。
傷付いた主を優しく護る様に抱きしめるイナンナはいつもの無表情ながら微かに嬉しそうにエーリカを見詰め、そのまま二人は、自由落下していき、エーリカの意識も途中でロストしていった。