2。信用
毎夜毎夜、考える。
寝る前、ベッドに横になり、外を見る。
暗くて、でも木が揺れていて綺麗で、窓を開けていると、時々夜遅くまで歩いている女の子たちの笑い声が聞こえるときもある。
その度、私は羨んでしまう。
動けないけれど、風に揺れて葉っぱを揺らして人を和ませ、酸素を出してみんなに必要とされる木は、自由で価値のあるものだ。動くだけで人の邪魔になって、何かを話すと迷惑になる、二酸化炭素を放出する私とは大違い。きっと木も、私を迷惑がるんだろう。
女の子たちは夜まで遊んでいても許されて、笑える何かがあって、一緒に居る人がいる。おしゃれをして楽しむことも出来るし、寂しくなったらきっと、親に与えられている携帯で、メールでも電話でも出来るんだろう。
私には、彼女たちが持っているものが何もない。
四時半、遅くて5時までとかいう、厳しい門限。
離れていった友達。
禁止されているお化粧。色さえついていないリップも、許されない。
どんなに懇願しても許されない携帯。理由は、私が知らない人と話したりするかもしれないからという、どんなに考えても意味の分からないもの。
心配してくれているのはわかる。
門限だってきっと、あまりに暗くなったら危ないと思うのだろう。別に反対するわけじゃない、でも夏ならせめて6時ぐらいまでがよかった。7時ぐらいまではまだまだ明るいし、宿題だって自分で責任を持ってやれるのに。
お化粧だってまだ早いのも分かっている。別にしようというんじゃない。せめて乾燥用リップだけ、持たせて欲しいというだけ。「乾燥しやすい」というのが嘘だなんて、いったいどう考えたらそういう結論に辿り着くんだろう。
携帯に至ってはもう何も言えない。
信用されてないんだということしか分からない。
私がどうやったら知らない人と話すっていうのか。
悪いニュースの見過ぎだ。もうちょっと自分の子供を信用して欲しい。幾ら何でも、知らない人と話すなんて! 意味が分からない。そんなことをして、危ない以外に何があるというんだろう。私がそんな常識も持ち合わせていないというのだろうか。
どうしたら親に信用されるのか、教えて欲しい。
私が信用を損ねることをしたの?