ⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅡ:behind blue eyes
リレー小説『=BlanK † AWard=』
執筆者:緑茶
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「まずその足を――風通し良くしてやるよッ!」
ハインツは駆ける――そのまま、殴りつける。
弾丸が飛来。アラクネストに向けて。
「……やはりな」
アラクネストは脚部に力を込めて飛び上がる。
カサカサと、腕を組んだままその弾丸を回避していく。まず真っ先に、脚を潰しにきた。なるほど、セオリー通りだ。そのまま後方から――あの少女に攻撃をさせるという魂胆だろう。
ハインツは――近づきつつ、砲撃をやめない。距離が近くなる。確実に、アラクネストを狙える距離へ。だが――。
「オラッ!」
弾丸――正面に命中。
……しない。
その瞬間、既にアラクネストは糸を放っていた。ハインツの後方へ着弾――その身体が弓のようにしなり、サーカスのブランコのように、鋭い多脚を彼に向けて高速で突き出す――。
「しま……ッ」
「甘かったな」
アラクネストの声――彼の影がハインツにかかる。
「――そうかい」
ハインツは――ブリッジ。そのまま腕を――上空へ突き出した。
「……何」
それは予想外の動きで――。
アラクネストの、頭上。ハインツの拳を喰らい、破砕された岩の一角。彼めがけて、落ちてくる。
アラクネストは後退を余儀なくされる。
――岩が落ちる。ハインツも引き下がる。均衡が崩れる。
アラクネストが振り返る――きっとそこにあの少女が居るはずで、背中が丸見えの自分はその一撃に穿たれる――。
「そうはさせん」
上空へ糸――一瞬の判断。一秒前の自分をめがけた攻撃なら、きっと回避が可能。蜘蛛の身体はふわりと宙に浮いて、彼女の攻撃は彼に当たらない――。
……そう、思った。
が――。
アラクネストの背後に。
少女は居なかった。――砂埃だけが、あった。
「……――」
だとしたら、答えは一つであり。
アラクネストの、斜め下前方。
岩が落ちた際の煙を利用して――彼女は移動していた。
ハインツの側に。
「行くぞ、気張れッ!」
「しまッ――」
少女は青年の構える拳の所へ、跳び上がった。
彼の拳と少女の足裏がぴったりと合った瞬間――。
――銃撃音。
彼の拳は――。
少女を、射出した。
まっしぐらに迸る、電撃の如く。
「……本当に」
――本当に、実行した。
自分で宣言したことを、自分の力で成し遂げた。
茜は――目の前の少女に驚嘆した。
レイドを打倒し、沸き起こる硝煙のさなかに佇む少女に。
「あなたは……」
ゆうなは、茜に振り返る。
「大丈夫……?」
茜は聞いてみる。
彼女は、肩をすくめて、応じた。
「大丈夫。だけど、ほんの少し……お腹がすきました」
彼女は――笑っていた。
暗い場所でも変わらず周囲を照らし続ける、太陽のように。
どうも緑茶です。長らくお待たせして申し訳ありませんでした。
意思の読み合いというのはバトル物の華であると思い、なんかそれらしいものに挑んでみたのですが、
なかなかどうして難しいですね……。多分本質的に僕が脳筋なせいだからだと思います。筋肉なんて無いですけど。
せっかく個々の戦い方があるのですから、それを生かした描き方が出来るようになりたいものですね。




