ⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅨ:光明
リレー小説『=BlanK † AWard=』
執筆者:久遠蒼季
槍を焔と共に走らせ、ゆうなは地面を蹴りレイドへと接近する。狙いは首。エネルギーの無力化がなくなった以上、阻む物は何もない。
だがそれは、このレイドの力を除いての話だ。
地面から隆起する緑壁。焔さえ纏っていればその硬度はさほど問題にならない。
「ッ!」
視線を切られるのが問題なのである。
背中の守りがなくなったせいか、大型レイドは咆哮と共に緑壁を大量に展開していく。高低差が生まれ、元の地形が分からないほどに変容していく。
「茜さん!」
それでも。
「もう、カウントアップは済んでるよ」
撃ち抜く力は、ここにある。
○
多腕と高機動、糸。そして頭脳。そのシンプル性が何よりも越えがたい壁として機能している。
「ふむ、先程から考えていたが」
ありさとハインツから距離をとりながら、縦に開いた口のような器官を動かす。
「名を保たぬと言うのも不便であるな」
結子達は作戦の都合上、地下に存在するレイドを〈イースターエッグ〉と名付けた。孵化する前に撃破するのが目標である事に加え、そもそも中に存在するレイドがどのような性質を持つかは不明であった。故に、〈イースターエッグ〉より生まれたこのC3クラスレイドに個体名は付けられていない。
「ハッ、勝手に名乗ればいいんじゃねぇのか?」
適当に返しながら、ハインツは改めて周囲状況の把握に努める。敵との距離は約十五m。脚力や糸の速度を鑑みるに、既に間合いは詰まっていると考えていい。
「なれば――」
ありさはハインツの服を後ろ手で引き、視線だけでポイントを指定していく。この期に及んで、言葉では遅すぎる。
「アラクネストとでも名乗ろうか」
その宣言を二人は待たずして、左右に割れるように駆けだした。
さてさて、物語も大詰めですね。
見えてきた光を目指して、彼らは走り抜ける事が出来るのか。
それでは、今日はこの辺りで。




