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=BlanK † AWard=  作者: 久遠蒼季、すたりあ、緑茶、リブ本
《ChapterⅡ》
84/99

ⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅣ:光を求めて

リレー小説『=BlanK † AWard=』

執筆者:久遠蒼季

 次郎の眼前に広がっていたのは、薄暗く翠色に光る壁。どれほどの厚さがあるかも視認だけでは計り知れない。それが道という道を、空間の壁を包むように地上への道すら埋め立てていた。

「どう見ても自然の鉱物には見えないし、転移、はマズイよねぇ……」

 移動先が見えない以上、二点の空間を繋ぐ《ポータルスクエア》はリスクが高すぎる。岩の中に転移しようものなら命が危ない。自分たちの現在地が地下だという事を考慮すれば、岩壁を掘り進むのも考え物である。

 さらに問題と言えるのが。

「この壁を作った犯人が誰なのか」

 自ら口にして考えを纏める。

 まず〈イースターエッグ〉の目の前にいたレイドは除外していいだろう。位置関係からしても先程の魔力をかき消すという能力からしても該当しない。次に考えられるのはありさとハインツが交戦しているというレイド。可能性としては決して低くはないが、ここで想定するべきはそうではないだろう。

 つまり、最悪の可能性。

 この壁を張った三体目のレイドが存在する。

 ひとまず、そもそもの壁の強度を確かめるべく、慎重に魔法陣を短く描き、単発の魔力弾を撃ち込む。

 直撃。

 それと同時に魔力弾が掻き消えた。

「なん、だって……?」

 目の前で起こった出来事に、改めて目を見開く。

 自分たちは何か、大きな思い違いをしている。すぐさま辺りを見回せば、自分が進んできた洞窟の一部に、見落としてしまいそうなほど小さな緑色の線が、自分が進んできた――〈イースターエッグ〉の方から伸びてきていた。

次郎はすぐさま引き返し、ミチルの元へと走る。

今必要なのは、彼女の能力である。



   ○



 迫り来る連撃を、ゆうなは槍を回し、捌く。岩場を砕く腕力を考慮すれば、まともに受けるわけには行かない。

 眼前の敵を、改めて視認する。

 その長大さ故、手足のバランスがあまりにも不釣り合いなため理解できていなかったが、レイドの形状の元となった生物はアライグマのようであった。そういえば捨てられて野生化し、獣害としてチラシが配られていたなぁ、と苦笑する。

 突撃と同時に払われる腕を、槍で滑らせるようにして懐に潜り込む。そこからクルリとターンしながらゆうなは右から槍を顔へと放つ。

 鈍い金属音と共に、穂先は眼前で止まる。だがそれと同時に槍から手を離し、さらに回転を加えてその顔へと左手を伸ばす。

 掌から噴き出す焔。効果を確認するより速くゆうなはレイドの体を蹴り、槍を掴んで後ろへと飛んだ。

 長く息を吐き、ゆうなはレイドを見やる。煙が晴れると底には怒りに目を光らせる大型レイドの姿があった。通常であればあのタイミングから焔を噴き付けられて無傷などという事はあり得ないだろう。

「……?」

 だがしかし、どこか違和感がある。

 バックステップで距離を取りつつ茜の方を見る。もう少し、と目が語っていた。

 大ぶりで振るわれる長腕。それを回避しつつ、ゆうなはある事に気づいた。

一点、先程からレイドの動きに一定の制限――、具体的には〈イースターエッグ〉から半径十m以上離れていない。最初は護衛のためかとも考えたが、その強力な能力を考えれば空間全体を駆使して暴れ回る方が得策である。

二点、顔の毛の一部――、鼻元の一部がかすかに焦げている。

つまり、全くの無効化ではなく、何かしらの制約が存在しているというわけだ。

(でも、今は)

 弾くように立ち回る以外の手立てが見当たらない。

 状況を解き明かす、一手が不足している。



   ○



 クロスレンジよりさらに近接したゼロレンジ。ハインツは二本の拳で放たれる打撃を払い打ち落とす。

 しかし、そこで止まる。

 レイドの下半身は蜘蛛、上半身は人型の何か。体を支えるのに脚を二本使っている。言い換えればその他はフリーである。故に、残りの二本の腕と四本の脚は全てハインツへと降り注ぐ。隙間のない打撃に、反撃のモーションにすら移れない。

(コイツ――)

 そして何より厄介なのが、隙あらばこちらの《アワード》を狙ってきているという事である。先程狙ってきた糸は魔力弾で弾いたが、この魔導書がウィークポイントであると照準を絞っている。

「このぉッ!」

 背後からありさが斬りかかる。挟撃を不利と判断してか、レイドは躊躇わず天井へと糸を伸ばしてその場から飛び退く。二人は背後へと下がりつつ距離を取り、最初の立ち位置へと戻る形となった。

「恐ろしくクレバーだな」

 伝う冷や汗を拭いもせずに、ハインツは呟く。

 レイドとしてのスペックを振り回すだけでなく、思考が異様に回っている。手はあまり見せていないが、長引けば長引くほど不利になるのは必定。

(何かしらの策が必要って、戦いながら練れってか)

 顔を引きつらせながら、ハインツは改めて拳を構える。

 突破口は――、ちらりとありさの横顔を見る。

「アリサ」

 短くその名を呼ぶ。

「何よ」

 一息置き、レイドから視線を切らず告げる。

「俺たち二人で、倒すぞ」

 それは明確な宣言。増援は望めそうもなく、戦線離脱もこの相手では厳しいだろう。

「何言ってんの、当たり前でしょ?」

 静かに返し、武器を握り直す。

 必要なのは、策と連携。

 それと少しの――。

「さ、第二ラウンドだな」


はい、久遠蒼季でございます。


さてさて、状況を打開するためにおのおの頭を働かせていますね。

じわりじわりと追い詰められているなか、次郎が思いついた物とは――?



それでは、今日はこの辺りで

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