ⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅡ:壁を越えて
リレー小説『=BlanK † AWard=』
執筆者:久遠蒼季
「いよっと!」
次郎と茜の二人は洞窟を駆け抜けていく。背後には追っ手がいるため、速度は落とせない。勢いを付けて大きな段差を飛び降りる。そうして最後の割り当てられた結界装置の設置ポイントへとたどり着いた。
「これが終われば、いよいよ本陣です」
「うん、足止めは任せて」
次郎は反転し、《ワイヤードジェム》を用いて魔法陣を描いていく。迫るはハウンドの群れ。先程から繰り返されている攻防。次郎は追っ手を防ぎ、ハウンドは展開された障壁を砕く。障壁を展開するのにも、魔力は消費されていく。それを破るハウンドも体力は消耗している。
お互いに疲弊が見えてきた。
○
「……戦闘音、近い!」
小型ハウンドの襲撃を全て討ち果たし、予定分の結界装置の設置を終えたゆうなとミチルは、音を頼りに走りだしていた。ここ数十分はどの組も余裕がないのか通信の応答が短くなってきている。懸案事項はいくつかあるものの、優先事項はこちらの方が上である。
足場が悪く視界も悪い洞窟内をゆうなは跳ねるように走る。ミチルはその後に続くが、眼前に浮遊させている《見張塔からずっと(オールアロング・ウォッチタワー)》を確認しながらのため速度はあまり出ない。
それでも。
「! 九時方向十m先、生命反応二つと重複して魔力反応五つ!」
「りょーかいっ!」
探知マップのサポートは十全である。
ゆうなは急ブレーキをかけ、左へと反転する。そこから《クリムゾン・ブレイザー》の穂先へと魔力を集中させ、章能力で一気に焔へと変換する。
「焔皇――」
狙うは、岩壁。
「突羽槍ッ!!」
火焔と共に、跳躍しながら槍を目の前の障害へと穿つ。魔力の奔流と焔の熱により岩塊は砕け散る。そのまま焔を推進力に壁を砕き、ついにはマップの反応地点――次郎と茜がいる場所へと躍り出た。
視認する事、ハウンド三体。
ゆうなは着地と同時に勢いを殺さず、焔を纏ったままD3クラスのハウンドの輝核を斬り裂いた。残るD2ハウンドは突然の襲来に不利を感じたのか背後へと下がろうとし、
「させないよ」
次郎によって咄嗟に張られた障壁により退路を断たれた。壁とは何も前方への進路を防ぐものだけではない。後方への道もまた、壁により防がれるのである。
突如現れた壁に驚愕したその隙に、ゆうなは間合いをゼロにして最後のハウンドを撃破した。
「やったねっ!」
「うん」
ゆうなと次郎は軽くハイタッチを躱した。それと同時に、茜が面倒を見ていた結界装置もまた、設置完了のアラームを鳴り渡らせた。
「おお、そうか、合流したか。俺んとこも、もうじき最後の設置が終わる」
十条寺は通信に対し、ようやく落ち着いた状態で返した。視界の少し先では刀真が結界装置の目の前で待機――、訂正、完了のアラームが鳴り響き、十条寺の方へと歩み出した。
「どうかしたんですか?」
「うちんとこの二人と、お前んとこの二人が合流したみたいだ。となると俺らも急がねぇとな」
十条寺が見やるのは洞窟の先。この道は最終的には同じ場所へと続いているはずである。となれば必然、歩み続ければ自ずと合流できるだろう。
その言葉に刀真は頷き返し、二人は前へと歩を進めた。
久遠蒼季でございます。
さて、物語も佳境です!
合流を果たしいよいよ最深部への突入。
彼らを待ち受けている物とは……?
それでは、きょうはこのあたりで。




