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=BlanK † AWard=  作者: 久遠蒼季、すたりあ、緑茶、リブ本
《ChapterⅠ》
6/99

Ⅵ:The Days

リレー小説『=BlanK † AWard=』

執筆者:すたりあ




   ○



 放課後。

(すぐる)

 終礼の後、ありさは真っ先に青年の元に駆け寄る。

 咲良(さくら)(すぐる)。ありさのクラスメイトであり、幼ななじみでもある彼は、おもむろに振り返った。

「帰ろっ」

歯を見せて笑うありさに、優も微笑み返す。

「うん、帰ろっか」



 刀真、ゆうなとともに校門へと向かう。全員帰宅部なので特に学校に残る理由もない。

「でね、そしたら友だちがさー」

 優は先程からありさの話の聞き役に徹していた。

 彼女の輝くような笑顔は、どこか心地よいものがあって落ち着く、と優は昔から思っていた。

 しかし、あの日……。優が事故に遭い、走れない身体となった日から、ありさも変わってしまった、とも感じている。

「どしたの? ぼーっとして」

 ありさの心配そうな声で優は我に返る。

「ちょっと考え事してた」

「そ。具合でも悪いのかと思って心配しちゃった」

 不安げに揺れる瞳に優は動揺する。

 天真爛漫な彼女の儚げな姿。普段の彼女ならこんな脆い姿を人前に晒すなんてありえない。

 きっと信頼してくれているからだろう、優はそう思い、ありさの頭をそっと撫でた。

「僕は大丈夫だよ」

「うん……よかった」

 俯き恥ずかしそうにするありさを見てふっと笑みがこぼれた。



「高松さんって、優には優しいよな」

 横並びになって歩くありさと優を見ながら刀真がぼやいた。

「まぁ確かに、刀真くんとの扱いは全然違うけど……。優しい、とはちょっと違うと思うな」

 ゆうなが苦笑いで答える。

「そっか」

 さして興味などなかったかのような返答をすると、二人の会話はそこで途切れた。



 別れ道につき、先頭を歩いていたありさと優が振り返る。

「じゃあねー」

 刀真とゆうなを見送ったあと、彼女たちは公園へと向かう。

「おまたせー!」

 ありさが元気よく公園へ飛び込むと、無数の足音がぱたぱたと寄ってきた。

 ありさと優に群がる数人の子ども。見た目はおおよそ低学年の小学生だろう。

「おそいー! 早くあそぼ!」

 子どもたちの一人がせかしてくる。

「よーし、早速鬼ごっこしよっか! 最初はあたしが鬼ね!」

 子どもが一斉に散り、ありさも走り出す。

 その場に残った数人の女の子に優は声をかける。

「今日は何する? ブランコかなー、シーソーがいい?」

「……ブランコ。お背中押してほしいの」

 大人しめの女の子が答える。他の女の子も頷き同意を示す。

「じゃ、行こっか」



「ありさねーちゃん!そーゆーの大人気ないってせんせーがガッコーで言ってた!」

「くやしかったらもっと早く走れるようになりなさいよ!」

ドタバタ走り回るありさ達を見て、ブランコに乗ってた子が優に押されながら話しかける。

「ねぇ、すぐるにーちゃんはもう走んないの?」

「んー、そうだね。にーちゃん最近すぐしんどくなっちゃうからね」

「そうなの?早く元気なからだになるといいね」

「……そうだね」

 果たして、それはいつになるのだろうか。

 もう一度、あの日のように、心地よい風の中を走れる日は来るのだろうか。

 ぼんやりと虚空を見つめながら、優は自身が陸上部にいた日々を思い出していた。



「じゃーねー!」

 午後五時。子どもたちが帰る時間だ。

 子どもたちが見えなくなるまで見送った後、ありさ達も家へと向かう。

「優、また明日」

「うん。またね」

 彼が家に入ったのを確認し、ありさは自分の家と逆方向へ足を進める。

 向かう先はゼラニウム。彼女が日常から、もうひとつの日常へと飛び込む瞬間だ。



     ○



 日も暮れ、辺りが静まり返る頃、庫森支部のメンバー達は任務へと向かう。

 山奥にD3クラスのキツネ型レイドが二体出現したとの報告を受けたのだ。

「よし、いくよ!」

 ゆうなの掛け声で一斉にレイドに飛びかかる。

 刀真とハインツが先制攻撃を仕掛けようとしたとき、目の前で敵が急所を突かれ、白い煙を放出する。

 レイドの体にはナイフが突き刺さっている。メンバーの武器ではない。一体誰が。

「そこにいるのは?」

 次郎がおもむろに声を発する。一同が次郎の目線の先を見ると、人影がこちらを見て笑っているように見えた。

お久しぶりです。すたりあです。


キャラをもっと掘り下げようず、とのことで自キャラのありさ、そして優に焦点をあてたのが今回の話です。

戦いから解放されたときのありさが書けて満足です。


時間がないので今回はここら辺で。

また次回お会いしましょう。

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