ⅩⅩⅩⅩⅩⅥ:クラウチング
リレー小説『=BlanK † AWard=』
執筆者:緑茶
「……」
十条寺はパートナーとなった少年を見た。
「あの。……なにか」
怪訝そうな顔で彼は、刀真は隣の男を見る。
「お前今、俺のことめんどくさいオッサンとか思ったろ」
「は? いや、なんでそんなこと急に……」
「まぁ実際その通りだからな。まぁそれはいいんだ」
刀真のツッコミはぶつけどころをなくしてそのまま宙吊りになった。
そんなことを気にもせずに、十条寺は髭を撫で回しながら呟く。
「しかし。この組み合わせ。むさ苦しいのはともかくとして――まぁそれは俺だが――いや、実にナイスだ。……少年、お前の所の支部長はいい女だよ」
「は?」
あけっぴろげにそんなことを言われるので少々面食らう。
刀真はやはり、こういう小細工無しで直球で来るようなしゃべり方は苦手なのだ。
「いや、本当によく考えてある組み合わせだ。たとえば。俺のエモノはデモリションガンと杭打ちで……用途はえらく限定的なわけだが。お前さんのソレは色んな戦法が可能というわけだ」
チームの組み合わせが発表されてから、お互いの《アワード》について公表し合った。
作戦をスムーズに進めるためである。友好度というか、信頼度の低い状態であった場合は、ほかの組織に対してそれをバラしてしまうのは得策ではない――のだが、十条寺達なら大丈夫であろうと、支部長が判断し、ハインツがそれに同意した。
「……」
「マルチな使い手が二人だと、何でもできるように思えるが、それは逆を言っちまえば役割分担が曖昧になっちまうってことだ。ましてや今回みてぇな特殊状況だと、なおさらそんな器用貧乏の寄り合いは避けるべきだからな。目的特化型と万能型、この二つを組み合わせるってのは、最善手だ。いやはや」
「まぁ。それは確かに……」
「だが、普段のお前たちもそんな感じじゃあねぇのか? お前ら、ざっと聞いただけじゃ正確なことは分かんねぇが。うまくチームワークが取れれば、かなり色んな事が出来るぜ」
――チームワーク。
普段の自分達は、取れているのだろうか。毎回必死で、そんなことはあまり考えたことがない。
そして何より、それを考えて、すぐに『取れている』と断言できない自分に刀真は驚いた。
「よろしくね♪ ゆうなちゃん」
昨日の夜と同じように、ミチルがゆうなに抱きついた。
「あはは、よろしくお願いします……」
元気な人だなぁ……と、自分にしては珍しくぼんやりした感想をゆうなは抱いた。
実は昨日は、寝る前までずっとミチルに色々質問攻めされた。普段の生活のことなど、云々かんぬん……。
「――あの。ミチルさん」
「んー?」
少女のように首を傾げながら、ミチルはゆうなを見る。
「笑顔。絶えませんね。……すごいと、思います」
何故そんなふうに、余裕なんだろう。何故、そんな風に――。
「――そう、見える?」
そこでミチルは、ふっ、とゆうなから距離をとった。
……ふと、その顔から、遊びのようなものが、消えた。
その一瞬だけで、彼女の中に渦巻く全てを――感じた気がした。
「……あなたは好き?」
背を向けたまま、ミチルはゆうなに言う。その表情を見ることは出来ない。
「えっ?」
「この世界。空。山。空気。森羅万象」
両手を広げながら。
ゆうなは、少し逡巡して、何かを口に出そうとして――。
「……答えられなくて、いいよ」
ごめんね、と小さく添えて、彼女はゆうなに近づく。
それから、手をぎゅ、と握り。
「でも。これだけは、絶対の絶対。――守ろうね、みんなを。この街を」
その時ゆうなが感じた暖かさは、紛れも無い本物で。
頭の中で散り散りに細分化されていた思考よりも、そんなもののほうが今の自分には、そして自分達には大切に思えたから。
――だからゆうなは。
「――はいっ!」
いつものように、とびっきりの凛と元気を詰め込んで、太陽のような笑顔をミチルに向けた。
お久しぶりです、緑茶です。
早いものでもう11月も終わりに入りますね。
もう毎日鍋が食いたいです。鍋が。
今回はそんなことを思いながら書きました。あんまり関係ない内容ですけどもね。
とにかく鍋が食いたいです。ありがとうございました。
次回お会いしましょう。




