ⅩⅩⅩⅩⅤ:悪寒
リレー小説『=BlanK † AWard=』
○
「……」
資料の山に埋もれて、結子を呼び出す通知が鳴る。その存在を自己主張するかのように、覆われたレポートやファイルが振動で形を崩していく。
「……次は、何?」
覆い被さるものを払い除け、結子は頭を抱えながら一瞥をする。
「……地下室」
光る画面を目の端で負う。浮かび上がるのは、CALLの文字。いつものように、業務的にメールが送られているわけではない。わざわざ、通話を急いてくる段階で、緊急度が高いことが嫌でも身に染みる。
「………何があったの?」
「火急の件にて、失礼致します」
それぐらいわかっていると思いながらも、結子は耳を傾ける。
「先程、別個体と思われるレイドの出現を感知しました。場所は、児童公園。土石流の被害対策のため、周辺区域には一般人は避難指示が出ています」
「それで、そのレイドの状況は?」
「それが………」
通話の向こう側で、言い澱む声がする。聞き取り難いが、悪い予感が反芻する。決して良い知らせではない。何か事態を逼迫する出来事に違いない。
「………が、感知した瞬間に、反応がロストしました。現在のところ、周辺区域に反応はありません。確かに感知はしましたが、反応ロストの状態です」
「………ふっ」
脳に刻まれた情報を繰り返し、結子は半目を開きながら思考を回す。レイドの感知能力の有効範囲、探知範囲外区域、反応ロスト。自分が下していた予測が正しさを増したことに、嫌気が差す。外れて欲しい予感は、悪いように的中する。
「……これは、ただでは終わらないわね」
最前線の早急な解決を祈りながら、結子は手を強く握りしめた。
○
「「えっ?」」
落ちる。下に落ちる。前に進むベクトルに関係なく、真下に急落する。
「きゃあぁぁぁ」
「うわぁぁぁぁ」
山の麓で何かを感じたが、その一瞬で気配は途絶えてしまった。周囲をいくら警戒しようとも、蔓延る悪寒はしない。それならばと、合流をするために山頂を目指す方向性に切り替えた。不確定のものを追うのも必要だが、確定的な危機がある。
が、急行する中で、陥没に嵌った。
「いてて」
「大丈夫、孔雀丸?」
「ありさも……無事みたいだね」
幸いにも、それほど深い穴ではないことがわかる。灰色の空や新緑が眩しい葉が円の外に見える。雨で泥濘んでいるが、抜け出せないことはない。
「……」
とその瞬間、再び、背筋に悪寒が走る。あまり味わいたくもない気配。
「ありさ、どうする?」
「どうしようか?」
顔を見合わせた二人の先には、狭いながらも吸い込まれそうな暗闇が続いていた。
こんにちは、鷹樹影虎です。
参戦3周目です。忙しさは少し落ち着きました・・・・・・束の間ですが(笑)
小説を書くときの話をすると、私の場合、移動中にプロットを考えることが多いです。
画面の前で睨めっこするよりも、その方が捗ります。私の場合ですが(笑)
ではでは、次回も、よろしくお願いします。




