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=BlanK † AWard=  作者: 久遠蒼季、すたりあ、緑茶、リブ本
《ChapterⅡ》
35/99

ⅩⅩⅩⅤ:綱引き

リレー小説『=BlanK † AWard=』

執筆者:鷹木影虎

(今話より参加。初執筆)



   ○



 ガツンという小気味のいい金属音が地下室に反芻する。

「こいよ、トーマ」

 左拳の《エンデグード》と右拳の《アレスグート》を重ね合わせ、ハインツは大きく息を抜く。心身ともに気力は十分。怪我の具合も数日は気にする必要はありそうだが、ほぼ問題ない。

「言われなくても」

 対して、刀真は腰を落して、短刀のグリップを左手で強く握る。上半身を左を前に捩じり、ハインツを見定める。ハインツが相手なら、初撃でやりたいことがひとつ。

「久々の手合わせだッ! がっかりさせんなよッ!」

「もちろん!」

 その声と同時に、刀真はトリガー引きつつ、短刀を振り掛ける。下手に下がれば弾丸で牽制され、下手に前に出れば拳を喰らう。ハインツの基本は、カウンタースタイル。ならば、先手必勝。渾身のカウンターができない間合いから、ハインツを抑え込めばいい。

「今日は勝つよ」

 トリガーに力が入り、高速でワイヤーが伸びていく。短刀の間合いからハインツを捉える、高速で展開される横薙ぎの一閃。これならば、サイドステップもバックステップも関係ない。

「うォッと!」

 虚を突く初撃に、ハインツの左腕が絡まる。全身を拘束されるのを防ぐために咄嗟に左腕を出したが、この状態では利き腕を使うには少々骨が折れる。

「やるなッ!」

 ハインツは軽く笑みを浮かべる。初手は、見事に刀真に取られた。ただ、このワイヤーは良くも悪くも、自分にも刀真にもつながっている。

「これから!」

 トリガーを軽く引きつつ、刀真は追撃のためにグリップを引き気味に上下に振る。狙いは瞬間的にワイヤーを短くして、ハインツの重心を前に移してバランスを崩させる。隙ができるのを待たれるぐらいなら、先に隙を生じさせるまで。

「ん!?」

 が、意図に反して、刀真のバランスが崩れる。目の端で追うと、ハインツがワイヤーを握り締めているのが見える。まるで、不動の岩のように重く、硬直して動いていない。

「甘いッ!」

 逆に、力任せにワイヤーを引かれる。ハインツを捉えたが、それを巧みに利用されている。身体能力強化されている相手に、綱引きは勝てるはずもない。

――どうする?

 トリガーに指を掛けつつ、刀真は逡巡する。現状を維持を試みて、立て直すのか。それとも、全力で引いて、肉薄するのか。ハインツに逆手を取られ、重心は前にある。このままでは、引き摺らるだけ。その後は、どうなるのかは想像は難くない。

「なら!」

 まだ踏ん張りが利く足に、刀真は力を入れる。前に足を踏み出し、体を浮かせる。ハインツの力に任せて、体を加速させる。そして、トリガーを二度引く。

「うおおおおお!」

 ワイヤーを巻き取り、更なる推進力を生み出す。不本意ではあるが、肉弾戦も仕方がない。

「いい判断だッ!」

 突撃を敢行する刀真を見て、ハインツはワイヤーから手を離す。踏み止まろうとするならば、ワイヤーを揺らして大きく揺さぶるつもりであった。しかし、短くなるワイヤーではそれはできまい。右拳に力を込め、右方向に体を捩じる。胸元に狙いを定めて、アッパー気味に撃ち出す。クロスカウンターも覚悟で、足元にも力を入れる。

「いくぞッ!」

「引かない!」

 迫りくる拳に、刀真は体を捩じり、銀色の右前腕鎧装を伸ばす。直撃だけは避けなればならない。対応策は、右前腕鎧装でハインツの拳を掴むまで。アームド・ウェポン同士のぶつかりである。抑え込めないことはないはず。

「うオオオオオッ!」

「うおおおおお!」

 鈍い金属音が鳴り響く。撃ち貫く右拳と握り締める右拳。

「うぉー、いい勝負だねー」

 端から戦況を見ていた、ゆうなはパチパチと軽く手を叩く。

 互いの判断の応酬。勝負はまだまだ終わりそうにない。


どうもはじめまして、鷹樹影虎です。

一巻が完成したということで、二巻からの参戦となりました。

と言いつつ、参戦する時期がものすごく忙しいんですけどね・・・・・・。

まぁ、そこはリレー小説という即興性を生かして、物語をつないでいきたいと思います。

ではでは、よろしくお願いします。

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