ⅩⅩⅩⅣ:piu
リレー小説『=BlanK † AWard=』
執筆者:すたりあ
《ChapterⅡ》開始
しとしとと降る雨。そういえば、朝のニュースで梅雨入りしたとキャスターが言ってたような気がする。
ありさは、灰色の雨雲をぼんやりと眺めていた。
「あー傘忘れた……」
刀真がカバンの中を見て落胆する。
「傘貸すよ」
そう言って、目の前にずい、と薄桃色のジャンプ傘を差し出したのはゆうな。
「え、でも、ゆうなちゃんはどうするの?」
その問いに、ゆうなは微笑む。その手には折り畳み傘が握られていた。愚問だったか、と刀真は思う。ゆうなならそこまで用意しているのが当たり前なのだ。頼りっぱなしになるのはよくないが。
ガタ、と椅子を鳴らしてありさが立ち上がる。刀真とゆうなの前を通り、とぼとぼ歩いていく。
「やっぱ優かな」
「そうだね。優くん朝から体調悪かったし、午後は病院で先に帰っちゃったし、ありさちゃんも心配なんだろうね。それに……」
ゆうなが空を見る。雨は決して心地よいものではないだろう。むしろ、鬱蒼としたものを感じさせる、そんな天候なのだ。
「あら、今日は二人?」
ゼラニウムに来た刀真とゆうなを見て、結子は首を傾げた。
カウンターではコーヒーを片手に次郎が読書に耽っている。刀真が覗き見をするが、頭がくらくらとしてすぐに前を向きなおした。何なんだあのめんどくさそうな読み物は。
「あれ?ありさちゃん来てないんですか? おかしいな、私たちより先に学校を出たのに……」
「夜には会議があるからそれまでには戻ってくるでしょう。あなたたちもそれまではここで自由にしてていいわよ」
「ありがとうございます」
ゆうなは地下へと降りていく。刀真もそれに続いていった。
「ごちそうさま」
次郎が立ち上がる。
「あら、どこへ行くのかしら」
「少し羽を伸ばしにね。勉強ばかりだと疲れるからさ」
地下ではハインツが練習をしていた。
「もう怪我は大丈夫ですか?」
「おうよ」
そう言って刀真の肩を叩く。
バシッと軽快な音。力が元に戻っていることを実感する。
「じゃあ、久しぶりに手合わせといきましょうか」
刀真がアワードを取り出す。応えるようにハインツが身構える。
ゆうなは二人を見守ることに徹する。Ⅳ章が解放されたことをハインツはまだ知らない。とても見ごたえある試合になるだろう。
とある山奥。雨が降り、ぬかるんだ地面を次郎は登っていく。
「おまたせ」
次郎が声を発した先にはありさ。《ウィル》を片手に振り向く。
「ありがとう。じゃ、さっそく悪いけど相手してくれる?」
「そのために来たからね」
次郎がアワードを取りだす。
「リアクト・オン」
《ワイヤードジェム.》を装備した次郎にさっそくありさは刃を向けるが……。
「濡れるのは嫌なんだ。雨よけを作ってからでいいかな」
と、魔法陣を書き始めた。
どうも、すたりあです。
ここまで読んでくれてありがとうございます。話に区切りがつき、今回から新章ということで頑張っていきたいと思います。
ありさの章講座第2回は、Ⅱ章です。
能力は電気属性の付与。ありさの最大の特徴とも呼べるでしょう。
スペルにすると El です。バトンの技法の一つであるエーリアル(ariel)と電気を意味するelectricityからとってます。
では次回はⅢ章の話です。
また次回お会いしましょう。




