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ある店の話

作者: 常盤金成

 私は、全国的にチェーン店を持つ、ある大きなレストランの営業部部長のy田k子。私の働く店は、最近までよく繁盛していた。だが最近、近くにできた一件のレストランに店の客をとられてしまっているようだ。そこで、私の出番だ。 

 

 私は謎を探るべくその店へ乗り込んだ。店内はきれいだったが、私の働いている店よりはだいぶ狭い。だが、平日の午前中の昼間なのに私の店よりも客が多く、繁盛している様だった。

 入った途端に、ウェイターがやってきて

「ご予約をしてあるか、お連れの方はいらっしゃいますでしょうか?」と聞いていた。

 一人で来たのだから連れなどいるわけはない。当然今日、与えられた仕事なので予め予約などしているはずもなく

「いいえ。」と私は答えた。

すると、彼は言う

「すみませんが、ご予約か、お連れの方がいない場合は入店できません。」と。なんと使い勝手の悪い店だろうか。空席がいくつもあったのに・・・。

 

 日を改め、(仕方がないので)後輩のT山君について来てもらった。(二人なら入れるようだった。)

 休日でカップルなども多かった。席に着きメニューを見て驚いた。私の店で売っているような物でも、高い値段がつけられていた。しかし、店を出るときT山くんが料理の代金をおごってくれた。つまりあの晩年貧乏人が、私が食べたもののお金まで出してくれたのだ、あんなに高い店で。店を出てからも、あの高い値段には納得いかなかった。

 何かあるに違いないと思ったが、T山君を問い詰めても、「何もありませんよ、別に。」と言って照れるだけでまったく、話にならない。

 なぜ….。

 

 私は、核心に迫るため、友人のy子ともう一度その店に行く事にした。しかし、席が空いているのに追い返された。おそらくスパイとばれたのだろう。しかし私には、弟と妹の二人がいる。彼らに行ってもらう事にした。二人は、こころよく (「バイト代を払う。」と言うと) 引き受けてくれた。二人はすぐに真相を突き止めてくれた。


 その店は、カップル専用で男の方には、普通に値段が書かれたメニューが渡される。が、女の方は倍近くの値段が書かれたメニューが渡されるのだ。これが店の魂胆だった。見栄っ張りの男は、この店に来て高い値段のものを女に買ってやるように見せる。

 はじめにT山くんがばかみたいな真似をしたように見えたのも(そういえばアイツは私のメニューを見て、唖然としたあとにやけていたな)、女の私が一人で入れなかったのも、y子と一緒でも入れなかったのもこのためだろう。私の妹と弟が2人で入れたのは多分、よっぽど仲がいいように見えたからだ。

                              

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― 新着の感想 ―
[一言] 面白い店ですね。 現実にあるのかな(?) 短い内容ですが読後のスッキリ感がありました。
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