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あーかい部! 34話 おせんべい

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。



3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!


趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!

同じく1年、青野あさぎ!


面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!


独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河(しろひさすみか)



そんなうら若き乙女の干物4人は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。

池図女学院部室棟、あーかい部部室。




「あ〜、授業疲れたしんどすぎぃ……。」


「午後の体育は応えるよなあ。」


「きはだバレないようにサボりまくってたじゃん。」




午後の体育を終え、疲れ果てた3人が部室でくつろいでいた。




「もぉ無理、寿命が溶けるぅ……。」


「お煎餅食べるか?」




ひいろはバリっと警戒な音をたて、カバンから取り出したお煎餅の袋を開けた。




「くれるのぉ!?」


「復活早いなぁ。」


「目の前で全部食べるのもまた一興か……。」


「 」


「嘘だよ。はい、あさぎにも。」


「やったぁ♪」

「ありがと。」




ひいろはあさぎときはだにお煎餅を渡した。




「あ、海苔ついてるやつ。」


「磯部だねぇ。」


「なくても美味しいけど、あるとお得感あるよな。」


「お刺身のガリみたいな?」


「……ごめんきはだ、ちょっとわからない。」


「仕方ないさ。あさぎはまだ子どもなんだから。」


「同い年だよ……。」


「わたしもガリは捨ててるし。」


「自分で言っといてかよ!?」


「いや〜、


「止まらないな……。」


「止まらんよ。食べ出したお煎餅は……。」


「だな。香ばしい醤油の塩味と、噛めば噛むほど広がるお米の甘さで口の中が幸せだ……♪」


「ひいろって食レポの練習とかしてるの?」


「え?」


「いや、なんか……食べてるときのひいろってよく喋るなって。」


「すまん、はしたなかったな……///」


「たぶん褒めてるんだと思うよぉ?」


「そうなのか?」


「私には食レポとかできないからね。」


「わたしも食レポはしないかなぁ〜。」


「そうなのか……。でも美味しいならしっかり美味しいって伝えられた方が、作った人も嬉しい……と思うのはワタシだけ……なのか……?」


「ほらぁ、あさぎちゃんが揶揄うからひいろちゃんが迷走してるよぉ?」


「私が悪いの?」


「罰として、あさぎちゃんにはお煎餅の食レポをしてもらおうか。」


「なんできはだが偉そうなんだ?」


「食レポねぇ……。」




しぶしぶとだが、あさぎはきはだの要求に応じて追加のお煎餅を受け取った。




「えっ……と、


「他人の食レポ見るのって、なんだかドキドキするな……!」


「なかなかナイスな余興でしょ〜?」


「そこ、ふざけない!///」


「じゃあ早くはじめて?」


「くっ……、




プルプルと震える手でお煎餅を持ち、あさぎは語りだした。




「うわぁ丸い!?美味しそう♪♪」




「「ブフッッッ!!!???」」」




普段のあさぎとのギャップ満載の狂言は、意図も容易くひいろときはだの腹筋を破壊した。




「ちょっwwwまて……www

「あさぎちゃwwwふざけ……wwwwww



「見てください!なんとこのお煎餅、海苔が巻いてありますよぉ!?」


「やめwww見るのは鏡だ……wwwあさぎwww」


「食べてるこっちがノリノリになっちゃいますね♪♪」


「のりwのwww



「では早速、いっただっきまーー……、」




「くそw……こんw……なので……w」

「はぁ……、はぁ……w」




「…………あれ?なんで笑ってるの?」


「おいw……ww本気で言ってw……のか。」


「食レポへの偏見やべぇwww」


「違うの?結構頑張ったんだけどなぁ……。」


「グルメ業界で働く全人類に謝れ。」


「え〜……。そんなに言うならやってみてよ。」


「さっきひいろちゃんやってたよぉ。」


「じゃあきはだでいいや。」


「わたしで妥協なんて贅沢だねぇ。」


「なんだかんだ乗り気じゃないか。」


「じゃあ……かる〜くやるよぉ?」




そういうときはだは新しいお煎餅に手をつけた。




「…………、」


「なんだ?黙っちゃったぞ?」


「きはだ?」




きはだは無言でお煎餅を齧り




「……、……、」




やがてバリボリとお煎餅を




「……違う、これは『咀嚼音』だ……!?」


「え、喋らない感じなの?」


「……、」


「パリッパリに乾いた海苔を噛みちぎる、潮風を彷彿とさせる爽やかな音……!」


「……、」


「カリッカリになるまで焼き上げられたお米が奥歯で噛み締められる軽快さと重厚さを併せ持つ収縮音は、変幻自在なお米の妙……!」


「〜、」


「五臓六腑に染み渡るお茶に……、お煎餅で水分を奪われた喉が喜んでいる……!?」


「……ぷはっ。」


「出たーー!これぞ至福っっ!!ジャパニーズライスクラッカーーーッ!」


「プロレスの技っぽく言ってるけどただのお煎餅だからねそれ?」


「どうよ?」


「く、負けた……っ!」


「きはだは無言でお煎餅食べてただけだし、どっちかっていうとひいろの自爆だからねこれ。」


「なんか盛り上がってるわね。」


「あ、白ちゃん先生。」


「お煎餅食べるか?」


「みんなで食レポしてたんだよ〜。」


「くれるの?じゃあお言葉に甘えて……、




「あ……。」




お煎餅の袋をまさぐるひいろの手が止まった。




「すまない、品切れだ……。」


「けっこう食べてたもんね……。」


「止まらなかったもんねぇ。」




「…………こんの、外道がぁぁぁああ!!」




※おやつはほどほどに楽しみましょう






あーかい部!(4)




ひいろ:投稿完了だ


白ちゃん:ふーんだ!いいもん、炭水化物の食べ過ぎは太るもん!


きはだ:白ちゃん拗ねてるねぇ


あさぎ:悪気はなかったとはいえなかなか惨いことしたよねひいろ


ひいろ:食べたのは3人ともだろう


きはだ:美味しかったねえ……♡


白ちゃん:ぐああぁぁぁ……!


あさぎ:きはだもあんまり煽っちゃダメだよ?

あさぎ:画像しかありませんがお煎餅です。元気出してください


あさぎ:[画像を送信しました]


白ちゃん:ひでぶっ!?


ひいろ:惨い……


きはだ:会心の一撃で草ァ!


ひいろ:まったく、かえってダメージを与えてどうする


きはだ:そうだよぉ?こういうときは歌でも歌って元気づけないと


あさぎ:歌?


きはだ:いそーべぬーれせんっ♪

   ざーらめあらーれ♪

   げんこつサーラダ、かきのたね♪


白ちゃん: くぁwせdrftgyふじこlp!!??


あさぎ:お煎餅にも色々あるんだなぁ


ひいろ:白ちゃん息してないぞ

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