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お別れ会に猛毒の花

作者: 葉沢敬一

毎週日曜日午後11時にショートショート1、2編投稿中。

Kindle Unlimitedでショートショート集を出版中(葉沢敬一で検索)

 ある政治家が死んだ。敵が多かった一方で、民衆に支持されていた政治家だ。Aと言う。

 Aは葬儀不要という遺言を残していたが、支持者が収まらなかった。是非、大きな葬儀をという声が高まり、遺族はその声に押されて一般人も参加できるお別れ会をすることになった。お別れ会に来た人は花を一輪、遺体に手向けることになった。


 当日、会場前で花を参加者に渡す団体が居た。花は各自購入して持ってくると言う手はずだったので、会場前で戸惑ってしまい、その団体から花を受け取って会に出る人が続出した。


「いやー、花の事すっかり忘れていた。喪服は着てきたんだけど」

「そうでしょ、そうでしょ。この花をどうぞ」

 花を配ってる人は妙なマスクをしていた。でも、みんな気にしない。


 花を遺体に手向けると、手を合わせて帰っていく人々。

――あの人が居なくなったら、この国はどうなるのだろう……

 不意に気分が悪くなった。帰り道、嘔吐し倒れた。


 テレビではお別れ会で倒れる人が続出しているという報道が流れ始めた。毒ガス散布の疑いが出てきた。


 自衛隊が出動し、花粉が猛毒の植物の花が大量に遺体に手向けられていることが判明した。


 大騒ぎになったが、花を準備した団体は敵対政治団体で、支持者を殺そうとしたとの噂が流れ……

 その団体は非合法化され、首謀者は刑務所に送られた。マスコミは何故か言論弾圧として抗議したが、花の栽培、入手、配送、配布、証拠の隠滅は個人ではできない。それを突きつけられ沈黙した。


 噂では隣の国が関与しているという話もあったが、証拠がないので公にはならなかった。

 あくまでも噂。


 先頭になって陰謀を追求していた政治家が今回亡くなったので、うやむやになってしまった。

 そもそもA氏の死因も心臓麻痺という話。死んだ人間は皆、心臓が止まっているという話なんだが。


 日頃、「話し合いで解決を」を言っていた団体が、物騒な手段に出たのでネットで突っ込まれることとなった。


Kindle Unlimitedの「気軽に読めるショートショート集第4号」に収録

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